最終更新: 2025年8月30日
【要点】この記事で書かれていること
・この記事から得られる3つの発見
1)SNSの数字に一喜一憂する活動から抜け出すヒント
2)ファンを“観客”から“最強のチームメンバー”に変える方法
3)なぜ、ファンとの交流拠点としてDiscordが最適なのかが分かる
「この投稿、どれくらいの人が見てくれたんだろう」「今日のライブ、何人予約が入ったかな」。
スマートフォンの画面に表示される数字に、一喜一憂する毎日。丹精込めて作り上げた楽曲や、想いを込めたメッセージが、気まぐれなアルゴリズムの波に飲まれてファンに届かない。
そんなもどかしさを感じているのは、あなただけではない。
何を隠そう、筆者である私も自分の運営しているメディアであるBELONG/A-indieの投稿がどれくらい拡散されているか常に一喜一憂している。
X (旧Twitter)やInstagramは、確かにバンドの情報を広く知らせるためには有効なツールである。
しかし、タイムラインを流れゆく断片的な投稿だけでは、あなたのバンドが持つ”人間味”やメンバー一人ひとりの魅力、そして音楽に込められた深い物語を伝えきることは難しい。
ファンは本当に「フォロワー数」や「再生数」という数字の向こう側にいる、顔の見えない”観客”なのだろうか?
もし、あなたが今の活動に限界を感じ、ファンとの間に見えない壁を感じているのなら、たった一つだけ、これからの活動に取り入れるべきことがある。
それは、ファンと共にバンドの物語を創り上げる“共創型コミュニティ”を持つことである。
そのコミュニティづくりにおいて、Discordは最も強力なツールである。
実際に音楽メディアのDsicordコミュニティを作った私が失敗例を交えて、全3回にわたってお伝えしていきたい。
初回である今回は前編無料。2、3回目は一部有料でお届けするので、最後まで読んでもらえると嬉しい。
Discordは、バンドとファンが繋がる”秘密基地”

最近、ライブ以外でファンとの”共同体験”を設計できているだろうか?
終演後の挨拶やSNSでの短い交流だけでなく、もっと深く、継続的にファンと関われる場所。それが、今回私たちが提案するコミュニケーションツール、Discordである。
「Discordって、ゲーマーが使うやつでしょ?」と思うかもしれない。その認識は半分正しく、半分間違っている。
簡単に言えば、Discordは「特定のテーマや目的を持った人たちが集まる、招待制のオンライン上の会員制ラウンジ」のようなものである。
LINEのグループチャットのように気軽に話せるだけでなく、話題ごとに「部屋(チャンネル)」を分けたり、音声やビデオでリアルタイムに交流したりと、極めて自由度が高いのが特徴である。
XやInstagramが、情報がどんどん流れていってしまう「フロー型」のツールだとすれば、Discordはバンドとファンの会話や思い出が記録され、蓄積されていく“ストック型の秘密基地”と言える。
そこは、ファンがただ情報を受け取るだけの場所ではない。バンドの活動に「参加」し、自分がその一員であるという”帰属意識”を持てる特別な空間なのである。
世界のインディーシーンでは、もはや常識
この”秘密基地”作りは、既に世界のインディーシーンではスタンダードになりつつある。
例えば、フロリダを拠点に活動するインディーバンド、Pool Kids。彼らは2025年8月に新しいアルバム『Easier Said Than Done』をリリースした際、公式SNSでDiscordサーバーへの参加を積極的に呼びかけた。
彼らはサーバーを「重要なニュースを先取りできる特別な場所」だと位置づけ、ファンとの直接的な交流の基盤を築いている。
DisclosureやFred Again..といったアーティストも、Discord上に熱心なファンコミュニティを形成し、リリース情報やツアー告知を誰よりも早く共有する場所にしている。
これは単なる情報伝達ではない。最も熱心なファンに対し、「あなたは”特別”な存在である」というメッセージを伝え、より強固な信頼関係を築くための戦略なのである。
このように、海外のアーティストはDiscordを駆使して、ファンとの間に”共犯関係”にも似た強い絆を結び、コミュニティの熱狂を原動力に活動をスケールさせているのである。
日本でも始まっている、新たなうねり

この動きは、決して海外だけの話ではない。
何を隠そう、私たちBELONG Mediaも、このDiscordという名の”秘密基地”の持つ可能性に賭けている当事者の一人である。
正直に告白すると、私たちのサーバーも以前は全く機能していなかった。
作ったはいいものの、コメントやリアクションはほとんどなく、メンバー全員が様子見状態。私自身も「空の部屋で独り言を言っているような気分」に陥り、コミュニティをゼロから育てることの圧倒的な難しさに直面していた。
以前、フジロックの中継配信をサーバー内で企画したこともあったが、コミュニティが未熟だったため運営のやりにくさから早期に挫折した苦い経験もある。
その最大の原因は、無意識のうちに作ってしまっていた「壁」にあった。
しかしその「壁」の存在を気づかせてくれたのもこのDiscordサーバーで出会ったフリダシ太郎という一人のユーザーとの会話がきっかけだった。
実際のところ、DiscordではSNSでは出会えなかった・深く交流できなかったユーザーと出会うことができた。
その真骨頂はBELONGのサーバーに参加してくれたアルゼンチンとオランダのユーザーだった…というお話はまた別の機会に。

話を戻すと、当時の自己紹介チャンネルはインディ系楽曲中心の内容を求める雰囲気があり、ある程度の音楽知識がない人にとっては参加しにくい空気を自ら作り出してしまっていた。
そこで私たちはサーバーを根本から見直し、コンセプトを「あなたの”好き”が、誰かの”扉”になる」へと変更した。スタッフが主導するのではなく、「コミュニティ参加者が主人公となり、私たちはそれをサポートする」という体制に切り替えたのである。
例えば、「ふりだしクエスト」というラジオ番組風の企画。これは、音楽知識ゼロの”勇者”が、BELONG Mediaの膨大な過去記事という”迷宮”を探検する内容だ。
これは、運営側が「完璧ではない」という弱みを見せ、参加者と同じ目線に立つことで心理的な距離を縮める試みである。
このように、Discordでは“共同体験”を設計することで、単なる情報交換の場を超えた、温かいコミュニティを育てることができる。
参考までに私たちのDiscordサーバーの参加方法を記載するので、実際に参加してもらうのが一番早いと思うので、この機会に是非参加して欲しい。
参加方法

Discordアカウントを持っていない方は、GIGAZINEのアカウント作成手順解説記事を参考に、ぜひアカウントを作成して欲しい。
以下のリンクから参加することができる
🔗BELONG / A-indie公式Discordサーバー招待リンク🔗
Discordに参加する
“エンジン”を手に入れろ

もし、あなたのバンドがレーベルやライブハウスに依存せず、自らの足でシーンを駆け上がりたいと本気で願うなら、この”共創型コミュニティ”は最強の武器になる。
Discordは、単なるファンサービスのためのツールではない。ファンを”観客”から”最強のチームメンバー”へと変え、バンドの活動そのものを未来へ向かって加速させる“エンジン”なのである。
「でも、具体的にどうやって始めたらいいんだ?」
その声が聴こえてくるようである。心配はいらない。
予告: “箱”を作るだけでは意味がない。次回は、あなたのバンドだけの特別な”秘密基地”を作り上げるための具体的な『設計図』を、前半は無料、後半は有料として余すことなく公開する。あなたのバンドの物語は、ここから始まる。
次回もお楽しみに!
BELONG Media/A-indie編集長
Tomohiro Yabe
これまでのプロインディーの記事について
ライター:Tomohiro Yabe(yabori)

BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。 ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻 これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。 過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。 それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。 現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。 今まで執筆した記事はこちら Twitter:@boriboriyabori