最終更新: 2025年9月23日
サウンドの進化、そして未来へ

ヘレナ:私たちはダンスビートとポップサウンドを並行して作業しているの。ほとんどの場合、どういうサウンドにすべきかというのは(私たちの心の中では)すでに計画されているのよ。言葉にするのは少し難しいんだけど、私たちは人々がイメージを見るようにサウンドを”聴いて”いて、それを狂ったアーティストのように描き出していくんだ。プロセスは曲によって違うけど、まだリリースされていない曲もたくさんあるから、9月17日にアルバムがリリースされたら、みんなにも体験してもらえると嬉しいな。楽しみにしていてね!

-滝田優樹:今回のアルバムにおけるブレークスルーとなった楽曲、もしくは最も変化や進化を感じさせる楽曲はどれですか?個人的には「Oyster」が神秘的で実験的なエレクトロニックを展開するアグレッシブさを感じるサウンドでも、着地はポップミュージックといった編集力に、あなたたちの底力を感じることができると思ったからです。
ヘレナ:そう聞かれたら、私も「Oyster」がブレークスルーであり、変化と進歩を示していると答えたいわ(それに、ライブで演奏するのが最も難しい曲の一つでもあるの!)。私たち一人ひとりが、それぞれ違うビートで各楽器を演奏しているんだけど、その下にある各レイヤーが理由あって存在していて、すべてが丸く、そしてサウンドとしてまとまって出てくる。実は、かなり誇りに思っているトラックなんだ。もう一つ、私たちが個人的に好きなのは「Sonic Boom」という未発表曲。この新しいアルバムの(曲順で)最初の曲になるんだけど、クラシックなサウンドを取り入れつつ、グルーヴィーで宇宙をテーマにしたサウンドを引き出しているんだよ。
-滝田優樹:タイの4人組バンド、H3Fが参加した「Everybody」も今作におけるハイライトでした。H3Fとあなたたちの関係とコラボしたきっかけ、そして制作時のエピソードがあれば教えてください。
ヘレナ:H3FとKIKIは、もうすごく長い付き合いの親友なの。お互いを知ってから、もう10年以上になるわね。この話は、私たちが共にノミネートされた授賞式に出席したとき、駐車場で会ったことから始まったの。“いつか一緒に曲を作ろうよ”という何気ない会話が、1年以上もそのままになっていたんだけど、またお互いに連絡を取り合って“ついにやろう!”ってなったのよ。
これは、ゼロから作られた最初の曲の一つなの。スタジオに集まってジャムセッションを始めて、正しいコードやリフを探しながら、Max(H3Fのドラマー)がビートの即興演奏を担当してくれたの。そのセッションで即興で演奏したものはすべて録音して、家に帰ってから、ラフなデモを手にもう一度会ったの。歌詞は、Gong(H3Fのボーカリスト)と私が最後に取り組んだ部分ね。私たちは最初からラブソングは書かないって決めていたの、ラブソングはなしよ!だから、私たち二人が経験した何か別のことを歌詞に投影して、それぞれの言葉で表現したんだ。
このトラックに対する彼らのハードワークと献身に感謝している。本当に最高で、才能があって、一緒に仕事をするのが最もリラックスできるバンドの一つ。ぜひH3Fをサポートしてね!
KIKIからのメッセージ
-滝田優樹:『Death of a Daisy & Birth of an Oyster』をどのような人に聴いてほしいと思いますか?
ヘレナ:私たちが作る曲はすべて、すべての人のためのもの。音楽はすべての人のものであるべきだから、特定のグループを想定することはあまりない!でも、このアルバムがリリースされたとき、みんなをがっかりさせないことを願っているし、私たちが愛するのと同じくらい、みんなにも愛してもらえるといいな。もちろん、このアルバムをリリースした後も、私たちは仕事を続けて4枚目のアルバムに進むよ(急いでないけどね)。できる限りの最高のものを作るために、必要な時間をすべてかけて。
-滝田優樹:9月26日と9月27日には日本でのライブを控えているので、そちらに対する意気込みと、最後に日本のリスナーにメッセージをいただけますか?
ヘレナ:今年もまた日本を訪れて、みんなのために演奏できることを、ものすごく楽しみにしているわ。私たちの始まりから今までずっとサポートしてくれている人たち、あるいは最近私たちを見つけてくれた人たちへ、いつ私たちとの旅を始めてくれたかに関わらず、心から感謝しています。9月26日に東京の月見ル君想フで、27日に東京プレイグラウンド(歌舞伎町タワー)で、そして28日にはMusic City Tenjin(福岡)でライブをするの。もしこの期間に時間があったら、ぜひ一緒に踊りに来てね。みんなに会えるのをいつも楽しみにしているわ。また会える日まで、最大の愛を送ります。
このインタビュー、本当にありがとうございました。共有するには少し時間が経ってしまった思い出を振り返ることができて、とても楽しかったし、そうする機会をもらえて感謝しているわ。このインタビューを読んでくれている人が、元気に過ごして、よく眠れて、良い夢を見ていますように。また会う日まで。
愛を込めて、
KIKI
KIKIアルバムリリース
3rdアルバム『Death of a Daisy & Birth of an Oyster』
発売日: 2025年9月24日(ストリーミング配信 – 9月10日)
フォーマット: 12インチヴァイナル(イエローカラー)
価格: 4800円(税込)
※イニシャルオーダーは9月15日まで
収録曲:
Aside
1. Sonic Boom
2. Baby
3. Good Day
4. Everybody (with H3F)
5. Love is so unreal
Bside
6. Together
7. Sick
8. Daisy
9. Walk away
10. Say it
11. Oyster
BIG ROMANTIC RECORDSで見る
KIKIプロフィール
バンコクで結成されたHelen(Vo.)、Boss(Gt.)、Nont(Gt.)からなる3人組エレクトロポップバンドである。その音楽は、オルタナティヴなディスコシンセポップサウンドにメロウなボーカルが融合し、R&Bやソフトロックのエッセンスも感じさせる未来的なダンスミュージックだ。2022年の1stアルバム『METAMORPHOSIS FINAL STAGE』リリース以降、国内外で注目を集め、フランス、香港、韓国のフェスティバルにも出演。2023年には2ndアルバム『POST-EXISTENTIAL CRISIS』をリリースし、よりディープでミニマルな世界観を獲得。進化を続ける彼らは、今や世界的なニューカマーとして話題沸騰中である。
KIKI来日公演詳細
イベント名:KIKI live in Tokyo
日時:2025年9月26日(金)
開場・開演:19:00 / 19:00
会場:東京・青山月見ル君想フ
出演:KIKI、DJケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)
料金:adv 5500円 / door 6000円 +Drink代
※整理番号順入場
※既に発表となっている新宿歌舞伎町「TOKYO PLAYGROUND」への出演と併せての来日公演
チケット:
peatix https://250926.peatix.com
ライター:滝田優樹
1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。
そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。
その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。
退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。
それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。
猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
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Twitter:@takita_funky