最終更新: 2025年11月2日

英語で歌う理由について


-Tomohiro Yabe:Post Inner Circleの楽曲の一部は英語で歌われていますが、どうして韓国語ではなく、英語で歌う曲があるのでしょうか。英語で歌う理由があれば教えてください。

ユン・ウンビン:時には英語で話す方がもっと正確な感情があるような気がするんだ。ちょっとした距離感が必要な時にね。(どうしても私たちは韓国語が母国語だから…)実はまだ英語詞は「Mountain Dew」しかないんだけど、もっと増やしていこうと思ってるよ。

チョン・ヒチョル:今まで発表した曲の中では「Mountain Dew」だけが英語歌詞で、残りは全部韓国語なんだ。ただ、これからは英語歌詞の曲をもう少し作ってみようか考えてるんだよね。韓国だけじゃなくて、もっと多くの人たちに僕たちの音楽を聴かせたい気持ちがあるからね。

ルーツとなった3枚のアルバム


-Tomohiro Yabe:私たちはDiscordというコミュニケーションツールで音楽にまつわる多国籍コミュニティを運営しています。そこで、アルゼンチンの音楽ライターがいるのですが、今回彼からあなたたちへの質問をいただきましたので、回答をお願いします。”Post Inner Circleの音楽を聴いて、すごく気に入りました!ドリーミーなサウンドがとても好きです。あなたたちはどのような音楽から影響を受けていますか?ルーツとなったアルバムを3枚教えてください。また、それぞれのアルバムについて、エピソードがあれば教えてください。”

Sweet Trip『You Will Never Know Why』

チョン・ヒチョル:僕たちが”ポストインナーサークル”という名前を持つ前、それぞれ好きな音楽ややりたい音楽の質感がバラバラで、どんな方向の音楽をやるべきか見当がつかなくて確信が持てなかったんだ。そんな中、偶然Sweet Tripのこのアルバムに触れることになって、聴いた瞬間”僕たちがやりたがっている音楽ってこういうものじゃないか”っていうヒントを得たんだよ。二人のボーカルのハーモニーと美しいメロディ、和声進行、そして電子音とノイズ、グリッチなどIDM的な要素が結合している点が印象的だった。僕たちそれぞれが好きなものが一つのアルバムの中で調和的に共存しているという感じだったんだ。

Jeon Ja-Yang『Day Is Far Too Long』

ユン・ウンビン:Jeon Ja-Yangは初期は一人バンドで、今は4人バンドの形で活発に活動してるんだ。私はJeon Ja-Yangの初期ホームレコーディングアルバムを聴きながら、ボーカルの質感、空間がそのまま込められたアンビエンス、アコースティックギターサウンドが作り出す”部屋の中の空気”みたいな感じが好きだったんだよね。蒸し暑い夏、家の中の空気に似た質感が印象的だったんだ。それにハン・ヒジョン、キム・サウォルみたいなフォークミュージシャンたちの音楽を昔から好きだったから、その感受性とホームレコーディングの質感が結合したJeon Ja-Yangの音楽がより響いたんだ。だから私たちも作業する時、ノイズや部屋の音、ギターの生音みたいな質感を隠さずにそのまま溶け込ませたんだ。

Parannoul『To See the Next Part of the Dream』

キム・ジェチャン:パラノールを知ったのは2年くらい前だけど、その前は深く聴くアーティストじゃなかったんだ。すごく鋭いドラム音とノイズが僕の好みじゃなかったからね。でもその後、僕が去年の1月に鎖骨を怪我して6ヶ月くらい何もできなくなったんだよ。起き上がることも、服を着ることも、誰かの助けが絶対必要だったから、すごく辛かったんだけど、夜中に散歩しながらこのアルバムを聴いて、大事なのは僕の意志だってことに気づいて、リハビリ運動も頑張ってやって、その時から毎日リピート再生してたと思う。その後はパラノールをはじめ、Asian Glow、Della Zyrみたいな韓国のシューゲイズミュージシャンたちのサウンドに大きな影響を受けたんだ。単にサウンドだけじゃなくて、彼らが音楽を作る方式と態度からも多くのインスピレーションを得たよ。

『Artificial Sun』


-Tomohiro Yabe:ここからはEP『Artificial Sun』について伺いたいと思います。EPの解説に”すでに到来したディストピア的な世界における小さな希望の光”とあります。また、”巨大な科学装置とは異なる、より小さな太陽”や”ポケットから出したくしゃくしゃのガムの包み紙のような些細な形で昇る太陽”という表現がとても印象に残っています。この世界観はどのようにして生まれたのでしょうか。また、もし現代社会に対して伝えたいメッセージがあれば教えてください。

ユン・ウンビン:少し長い話になるかもしれないんだけど、今回のEPを作りながら感じた出発点は、人間性がどんどん安く扱われる時代への不安、まるで本当の”太陽”が消えてしまったような感情だったんだ。最近は、お互い違うという理由であまりにも簡単に嫌悪が作られて、性別、世代、階層ごとに線が引かれて誤解が深まる時代じゃない?だからといって”これはみんなの問題だ”とは言いたいわけじゃなかったんだよね。むしろ、どんどん疎外される人々への感覚が鈍くなっているという点を話したかったんだ。こういう文脈の中で、私たちがよく経験する孤独や挫折みたいな感情が、実はすごく個人的なことじゃなくて、私たちが置かれている時代的背景とつながっている感情だという考え方をするようになったんだよね。つまり”個人の光”じゃなくて、公共の光、みんなに開かれていた太陽が消えた時代について話したかったし、その不在を代わりにする何かを私たちが手で作らなければならないという想像から『인공태양(人工太陽)』というアルバムが始まったんだ。ここで言う”人工”は科学技術の産物というより、本当に平凡な人々がスクラップをカンカン叩いて作った太陽に近いんだよ。平凡で大変な一日を生きている人々が、まるでポケットに入れて持ち歩ける小さな太陽のように、いざという時にはイヤホンを挿して取り出して活用できる、手の届くところにある希望のような存在であってほしいんだ。

トゥ・グニョン:最近、韓国、日本だけじゃなくて世界中が混乱している時期みたいだね…僕たちはただ、こんな憂鬱な状況の中でも本当に小さな希望でも人々に伝えたかったんだ。人工太陽はそういう意味で、僕たちが手作りした、あるいは僕たちじゃなくても誰かが一人で小部屋で手作りした太陽、つまり希望を象徴してるんだよ。人々が僕たちの音楽を聴いて慰められることまでは望まないよ。ただ、一日でも多く耐えられる希望を伝えたいんだ。

キム・ジェチャン:最近は本当に”平和”という言葉をどこでも見つけられないみたいだね。戦争と暴力、麻薬、数え切れない恐怖が未来を描けなくしているみたい。希望というメッセージを人工太陽というキーワードで解き明かして、希望を持っていって作っていけたらいいなと思うよ。

デザイン:つでん
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