最終更新: 2025年11月2日
楽曲に込められた意味と制作背景

-Tomohiro Yabe:「Mountain Dew」の歌詞には”Look at that mountain dew / I’ll drink it up”というフレーズがあり、とても印象的です。また、”Mountain Dew”という言葉には、”山のしずく”という意味や日本では”炭酸飲料のブランド名”として馴染みがあります。一方で、本来の意味は”ウイスキーと割るための密造ウイスキーを指すスラング”だという説もある、とても面白い言葉です。この”Mountain Dew”は何を意味しているのですか?
ユン・ウンビン:密造ウイスキーだなんて…!これは参ったね。元々は飲み物のマウンテンデューだったんだけど、これからはその説明を使わせてもらおうかな。(ありがとう)
チョン・ヒチョル:最初は単純に飲料ブランド「Mountain Dew」を思い浮かべたんだ。作業しながら”山の露”という直訳のイメージも思い浮かぶようになって、その二つが合わさって緑の爽やかなイメージが込められたんだと思うよ。
-Tomohiro Yabe:今作の収録曲のタイトルは、ほとんどが英語と韓国語が併記されています。その中でも「Mountain Dew」と「Flashback」の2曲のみ英語だけのタイトルになっています。曲のタイトルを決める際、どのような基準で言語を選んでいるのでしょうか。
ユン・ウンビン:決まった基準があるわけじゃなくて、普通はただ曲の雰囲気や単語から来る感じで決める方なんだ。特に「Flashback」の場合は、単語からFlashが与える強い光の印象とか、まるでカメラのフラッシュが炸裂してすごく速く場面が過ぎていく感じが強く響いたんだよね。1番から6番トラックまでの感情—挫折、喪失、希望みたいなものが最後に一瞬で巻き戻されるように過ぎていく感じがして、単に”回想”という韓国語の単語より「Flashback」という単語がより正確にぴったり合ってると感じたんだ。だから今回は特別に英語単独タイトルとして残すことになったんだよ。
トゥ・グニョン:僕は特に基準はないかな。ただ曲を一番よく表現できる単語や文章を使っているうちに、英語のタイトルもあるんだと思うよ!
「Eternity (영원)」について
-Tomohiro Yabe:全曲の作詞を担当されているユン・ウンビンの歌詞は、悠久の時の流れを感じさせる壮大なものだと思うのですが、「Eternity (영원)」の歌詞には父や母についての言及があり、とても個人的で内省的な内容になっていると感じました。この曲について、どのような思いを込めて書いたのでしょうか。また、歌詞のインスピレーションはどこから得ているのかについても教えてください。
ユン・ウンビン:時には、ただ口に残る単語や文章が歌詞になることもあるんだ。偶然みたいだけど、時間の中で長く巡っていた言葉が自然に音楽になるんだと思ってる。でも、ある曲はもっと明確な場面と深い感情から生まれるんだけど、『영원(Eternity)』はそういう方式で書かれた曲なんだよ。久しぶりに実家に帰った時、私をどこかへ連れて行ってくれる父の後ろ姿が小さくになっていることを改めて感じたんだ。日ごとに質素になっていく母のコートと、そのコートのポケットに私が全部は知らない歳月と寂しさが込められているって思ったんだよね。そういう全てが悲しくて、またまだとても美しくて、美しいのに永遠じゃないからあまりにも悲しいんだと思ったんだ。どれだけアイロニックだろう?美しさと非永遠性、そして悲しみがまるで人生を支える三脚台のように一緒にあることがさ。時々は、そんなアイロニーさえも美しく感じられる時があるんだよ。
-Tomohiro Yabe:EPの中で「Mumbling Dreamlike Shimmers (꿈결 반짝이게 멈블)」と「Artificial Sun (인공태양)」がインストゥルメンタルになっていますね。どうしてこの2曲は歌詞を入れずに仕上げたのでしょうか。
ユン・ウンビン:ある歌は説明が必要ないこともあると思う。未完成で説明されないからこそ説明になるって言うべきかな。今回のアルバムではその二つのトラックがそうだったし、特にアルバム全般的に他のトラックの世界をつないで説明する役割だから、なおさら歌詞が不要だったんだ。
トゥ・グニョン:この二曲は実は今回のEPのためにウンビンが作った曲なんだ!最初から演奏だけで成り立つ曲があったらいいなって思って作ることになったし、またこれから僕たちがバンドサウンドだけじゃなくて様々なジャンルに伸びていくことを予告する礎になる曲でもあるんだと思うよ。
-Tomohiro Yabe:本作は、一曲目から最終曲までが繋がっている一つの作品であり、一冊の小説のように感じました。 実際、意図的にインスト曲を配置し、曲と曲との繋がりも計算されて作られていると思います。1つのコンセプトが作品を貫く構成になっていると思うのですが、どうしてこのような作品を作ろうと思ったのでしょうか。
ユン・ウンビン:「애틋(Tender)」から「꿈결, 반짝이게, 멈블(Mumbling Dreamlike Shimmers)」、そして「영원(Eternity)」から「인공태양(Artificial Sun)」、最後の「Flashback」へとつながりながら、いろんな悲しみを経験して最後のトラックに到達した時、その前の全ての曲が回想の一部になるように構成したんだ。こういう構造の中でだけ表現できる感情があると思うんだよね。もう一つ付け加えるなら…単純にそういう構造が”かっこいい”と思ったんだ。音楽は結局時間芸術だからね。ただ曲を並べるんじゃなくて、流れる時間の中で場面を一つずつ採集していく感じ、トラックが変わっても前の曲の感情が拡張されたりつながる世界があるってこと、それ自体がロマンチックで、音楽を作りながら一番好きなポイントでもあるんだ。
EPのジャケットのデザインについて
-Tomohiro Yabe:EPのジャケットはメンバー4人が空を見上げているコラージュ風のデザインとなっています。このデザインは前述したビジュアルを担当しているキム・ヒョンスさんによるものでしょうか?また、このデザインにした意図があれば教えてください。
キム・ヒョンス:外部に委託しようか悩んだんだけど、気がついたら僕が作ってたんだよね。今回のジャケットの場合、三つの意図を設定して進めたんだ。一つ目は初EPである分、バンドのアイデンティティを明確に見せたいということだったし、二つ目はジャケットを見る人がジャケットにいる人物たちのように自分だけの人工太陽を探してまた発見して見つめてほしいという意図が込められてるんだ。目で確認することはできないけど、心の中に大切にしまっている自分だけの人工太陽をね。最後に、人工太陽という言葉を聞いた時、よく浮かぶ機械的なイメージでアプローチする場合が多いだろうと思うんだ。そして別の意味があることを知った時も、それを一度で理解するのが難しいということも認識してるよ。だから制作する時から、ある程度意味を類推できるように助けてくれるガイドラインの役割をしてほしいと思ったんだ。
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