最終更新: 2025年11月2日

ライブ活動とこれから


-Tomohiro Yabe:2024年10月に初のソロコンサートを開催してから1年が経ちましたが、前回のライブはいかがでしたか?ライブを行うことよりも作品を作ることに重きを置いているようですが、このスタイルになった理由があれば教えてください。

チョン・ヒチョル:去年10月の単独公演は、僕たちにとって一種の”出帆式”みたいな場だったんだ。以前から良い関係を続けてきた社長さんが運営する練習室兼公演場所で、主に知人の方々を観客としてお招きして進行したんだよ。公演より創作中心で活動してきた理由は、これまでに演奏者としての技術不足によってストレスをすごく受けてきたんだ。当時は良い音楽を作ることがもっと優先だと思っていたのも事実なんだよね。でも、もうアルバムが出た分、来年からは良いステージや仲間のアーティストの方々と一緒に意味のあるステージをたくさん作ってみたいんだ。オファーを待ってるよ。

『Artificial Sun』というタイトルの意味

-Tomohiro Yabe:『Artificial Sun』というタイトルの意味について教えてください。どうしてこのタイトルにしたのでしょうか。

ユン・ウンビン:少し長い話になるかもしれないんだけど、今回のEPを作りながら感じた出発点は、人間性がどんどん安く扱われる時代への不安感、まるで本当の”太陽”が消えてしまったような感情だったんだ。最近は、お互い違うという理由であまりにも簡単に嫌悪が作られて、性別、世代、階層ごとに線が引かれて誤解が深まる時代じゃない?だからといって”これはみんなの問題だ”みたいな両非論を言いたいわけじゃなかったんだよね。むしろ、どんどん疎外される人々への感覚が鈍くなっているという点を話したかったんだ。こういう文脈の中で、私たちがよく経験する孤独や挫折みたいな感情が、実はすごく個人的なことじゃなくて、私たちが置かれている時代的背景とつながっている感情だという考えをするようになったんだよね。つまり”個人の光”じゃなくて、公共の光、みんなに開かれていた太陽が消えた時代について話したかったし、その不在を代わりにする何かを私たちが手で作らなければならないという想像から『인공태양(人工太陽)』というアルバムが始まったんだ。ここで言う”人工”は科学技術の産物というより、本当に平凡な人々がスクラップをカンカン叩いて作った太陽に近いんだよ。平凡で大変な一日を生きている人々が、まるでポケットに入れて持ち歩ける小さな太陽のように、いざという時にはイヤホンを挿して取り出して活用できる、手の届くところにある希望のような存在であってほしいんだ。

トゥ・グニョン:最近、韓国、日本だけじゃなくて世界中が混乱している時期みたいだね…僕たちはただ、こんな憂鬱な状況の中でも本当に小さな希望でも人々に伝えたかったんだ。人工太陽はそういう意味で、僕たちが手作りした、あるいは僕たちじゃなくても誰かが一人で小部屋で手作りした太陽、つまり希望を象徴してるんだよ。人々が僕たちの音楽を聴いて慰められることまでは望まないよ。ただ、一日でも多く耐えられる希望を伝えたいんだ。

キム・ジェチャン:最近は本当に”平和”という言葉をどこでも見つけられないみたいだね。戦争と暴力、麻薬、数え切れない恐怖が未来を描けなくしているみたいなんだ。希望というメッセージを人工太陽というキーワードで解き明かして、希望を持っていって作っていけたらいいなと思うよ。

日本のファンへのメッセージ

-Tomohiro Yabe:『Artificial Sun』をどんな人に聴いて欲しいと思いますか。

トゥ・グニョン:この世界を生きていく動機を失ってしまった人たち。無責任な言葉かもしれないけど、ただもうちょっとだけ…もうちょっとだけ耐えてみたら良い日が来るんじゃないかな?僕はそうやって生きてるよ。みんなファイティン!

ユン・ウンビン:このインタビューを見ている、まさにあなた。

キム・ジェチャン:人生の方向を見失ってしまった方々と、人生の方向がない方々に聴いていただきたいです。聴いて、あなたの方向が生まれますように!

-Tomohiro Yabe:最後に私たちを含め、あなた達のEPを聴いていたり、来日公演を楽しみにしている日本のファンがいます。彼らにメッセージを頂けますか?

チョン・ヒチョル:もし僕たちの音楽を聴いてくださって公演を見たいと思ってくれる方々が日本にいるなら、あなたたちの存在を知らせてほしいんだ。そうしたら僕たちがステージを通じて応えるよ。

ユン・ウンビン:愛してます。すぐ会おう〜

キム・ジェチャン:日本語の勉強を頑張ってるよ。会う日に楽しく挨拶してね 🙂

Post Inner Circleアルバムリリース

1st EP『Artificial Sun』

発売日: 2025年10月13日 18:00 (JST)
収録曲:
1. Mountain Dew
2. Dream Tomorrow (내일꿈)
3. Poignant (애틋)
4. Mumbling Dreamlike Shimmers (꿈결 반짝이게 멈블)
5. Eternity (영원)
6. Artificial Sun (인공태양)
7. Flashback
Spotifyで見る

Post Inner Circleバンドプロフィール


Post Inner Circleはソウルを拠点に活動するバンドで、ポストロック、ドリームポップ、シューゲイザーの可能性を探求している。5人の親しい友人たちは、異なる個性、趣味、さらには起床時間を持つが、そのうちの4人が声を音楽へと昇華させ、残りの1人がそのサウンドを視覚へと変換する。2024年10月の初の単独コンサート以来、バンドは馴染みのある境界線を打ち破り、線と線の間に存在する人々のため包括的な音楽的基盤を築くことに尽力してきた。彼らは2025年6月にデビューシングル「Angel」をリリースし、現在は10月に初のEPを、続いて11月にはショーケースコンサートを控えている。今後も多岐にわたる活動が計画されている。

Post Inner Circleライブ情報

イベント名:Post Inner Circle EP『Artificial Sun』Showcase
日時:2025年11月8日(土)
会場:Gongssang Ondo (ソウル麻浦区東橋路23キル40 B1 / 東橋洞203-11)
出演:Post Inner Circle
スペシャルオープニングゲスト:Zzzaam (@zzzaam_official)

ライター:Tomohiro Yabe(yabori)

BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。

趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

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Twitter:@boriboriyabori