最終更新: 2026年1月18日
暗いニュースが立て続けに起こった2024年に世界的にもマーケットの縮小が顕著になった映画界を少しでも元気づけたくて企画された”年間ベストムービー”。
そんな気概をよそに2025年も映画界は失速しつづける。
米ワーナー・ブラザース売却とワーナー・ブラザース・ジャパンの年内日本国内の劇場配給業務終了。
そして日本国内における主要外国映画の劇場公開見送りの多発。
昨年の見出しでも語った”近い将来映画館で映画を観ること自体が特別なことになるのではないか”が今年現実になった。
要因はさまざまでそのすべてを否定も肯定もできない。
なぜならそんな外国映画の失速と終息を横目に日本映画の世界的かつ歴史的なヒットを連発していることもあるからだ。
国内だけで見ると『国宝』の興行収入が邦画実写作品の歴代最高記録を22年ぶりに更新し、アニメにおいては『鬼滅の刃 無限城編』第一章 猗窩座再来が全世界興行収入1000億円超えを記録。
『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』も全世界興行収入は300億円に迫る快挙。
国内作品が国内における空前絶後の大ヒット連発を飛ばしていることも喜ばしいことだが、世界的な大ヒットは夢物語のようだ。
そんな悲しいニュースと嬉しいニュースを抱えながら、今年も年間ベスト映画企画でBELONG Mediaなりに総括する。
最後に余計なお世話を。
どうかこのランキングをきっかけに好きな作品に出会えたなら、1本でもいいので2026年は劇場で好きな映画を見つけてみて欲しい。
映画館で映画を観るのは体験だ。あなたが自らの行動で体験した素敵な体験はきっと人生を豊かにしてくれるはず。(滝田 優樹 Yuuki Takita)
桃井かおる子 2025年の映画ベスト10

10.白雪姫
監督名:マーク・ウェブ
9.ナイトフラワー
監督名:内田英治
8.フロントライン
監督名:関根光才
7.港に灯がともる
監督名:安達もじり
6.宝島
監督名:大友啓史
沖縄修学旅行でずっと私の中にあった異和感の答えがこの作品にありました。
この歴史を私事として受け取めるのは難しいけど、この歴史を知った上で私の心にどう留めるか、考えることはできると教えてくれた作品です。(桃井かおる子 Kaoruko Momoi)
5.35年目のラブレター
監督名:塚本連平
これもまぁ、そうなんですけど、言葉を教える立場として言葉を書いて話せることの“あたり前”だった感覚を当然のことと思ってはいいけないと教えてくれた作品で。
私を指導して下さる先生から 「自分の話す言葉から見直したらいい」と言われた、その言葉、その意味がこの作品ではありました。(桃井かおる子 Kaoruko Momoi)
4.Dear Stranger/ディア・ストレンジャー
監督名:真利子哲也
日本語指導をしているからか、母語でないで言葉で生活することを迷んでおきながらぬぐえない歯がゆさ(また漢字が。)というものをこの映画が教えてくれました。
言葉や文化がどうしても越えられない目に見えない何かがこの作品の中にはあって。その何かをどう受け止めるか。日本語を留学生に教える立場として忘れてはいけない何かがありました。(桃井かおる子 Kaoruko Momoi)
3.ミーツ・ザ・ワールド
監督名:松居大悟
出会うはずのない人とどんなキッカケで出会えるか誰も分らない。
それをちょっとした楽しみにして毎日を生きてみるのも良いんじゃないかって、私の心の引き出しと言うか、心の余白がもう少し広くなったような。
そんな気にさせてくれる作品です。見えない人とのつながりの中に私がいる、そんなことを思います。(桃井かおる子 Kaoruko Momoi)
2.遠い山なみの光(A Pale View of Hills)
監督名:石川慶
New Orderのオープニング曲(「セレモニー (Ceremony)」)に合わせて流れる、戦後の長崎市民の生活を写した写真達。
出だしから心をわしづかみ(あっ、また漢字が。)されました。主人公の目線の先に今の私がいる、あの作品を見てから毎日そんなことを思ってしまいます。
私の背筋を押ばしてくれる作品です、きっと。(桃井かおる子 Kaoruko Momoi)
1.国宝
監督名:李相日
ああー、もうダントツでした。3回目行けず終い、そのくらいくり返し見たくなる、キラキラまぶしい(漢字が出ない)だけじゃない歌歌舞伎の世界をホント浴びると言うか。
目の前が流れていくような、“浴びる”感覚を映画で感じたのはこの作品が初めてです!(桃井かおる子 Kaoruko Momoi)
桃井 かおる子の個人的総括
以上が2025年の年間ベスト10です。そういえば昨年は、洋画をあまり観ていない。
偏った映画観賞しかできない自分がホントはずかしいと言うか、 これで映画ファンと言えるのか…。
よりフラットな心で映画を見れるようになりたいです。(桃井かおる子 Kaoruko Momoi)
まりりん 2025年の映画ベスト10

5.大長編 タローマン 万博大爆発
監督名:藤井亮
4.フロントライン
監督名:関根光才
3.落下の王国4Kデジタルリマスター
監督名:ターセム・シン
近年リマスターや再上映が多くなっていますが、まさか落下の王国を映画館で観ることができるとは思っていませんでした。
自然も、人の営みも、この世界は美しいと教えてくれる映画です。
数年前の地上波放映時にそれを知っているつもりでしたが、映画館の、それもグランドシネマサンシャインという国内屈指の映画愛に溢れる映画館で観て、改めてこの世界の美しさに触れることができました。(まりりん maririn)
2.ヴァージン・パンク
監督名:梅津泰臣
『A KITE』で梅津泰臣に惚れ込んでから、彼の作品を片っ端から見ては『A KITE』ほどの昂りは得られないと悲しんでいましたが、ついに来ました。
作り込まれたメカデザイン、美しい背景美術、魅力的なキャラデザ、それら全てを吹き飛ばす暴力!梅津泰臣はやはり女の子とバイオレンスが最高。続編が楽しみです。(まりりん maririn)
1.教皇選挙
監督名:エドワード・ベルガー
バチカン市国の中、教皇選挙の様子がわかるだけで宗教好きとしてはたまりませんが、人間味に溢れておりストーリーも抜群に面白かったです。
今年4月に帰天されたフランチェスコ前教皇が好きなので、映画でも彼と同様に人の悲しみを知り人と共に悲しむ人がキリスト教という大きな宗教のトップに選ばれたことを喜ばしく思います。(まりりん maririn)
滝田 優樹 2025年の映画ベスト10

10.F1®/エフワン
監督名:ジョセフ・コシンスキー
9.劇場版 チェンソーマン レゼ篇
監督名:原達矢
8.エディントンへようこそ
監督名:アリ・アスター
7.ファーストキス 1ST KISS
監督名:塚原あゆ子
6.罪人たち
監督名:ライアン・クーグラー
5.名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
監督名:ジェームズ・マンゴールド
4.アフター・ザ・ハント
監督名:ルカ・グァダニーノ
3.ブルータリスト
監督名:ブラディ・コーベット
約3時間半の長尺で15分のインターミッションがあるという前情報だけ携えて劇場に観に行った今作。
前半100分上映後のインターミッション中にも劇盤が流れ本編の一部の演出として機能する。
また入場時にはその休憩中に読む用の特製ミニブローシャが配布され、内容は建築家である主人公ラースロー・トートの歴史を解説したものであった。
そのミニブローシャの内容がとにかく秀逸でまるでラースロー・トートが実在した建築家であるように彼が劇中で設計建築した創造物を解説していた。
それゆえに後半から終わりにかけては虚構と現実の境目がわからなくなり帰りしなにはラースロー・トートをもっと知りたい気持ちにすらさせられた。3時間半でも足りなかった。
それほど没入させる仕掛けと構築美に満ち溢れた作品だ。
第二次世界大戦下における反ユダヤや建築などの知識があればもう少し物語の奥行きを感じられたのだろうが、それがなくても長尺でも飽きさせず観るものをひきこむ細かな巧みさに満ち溢れた映画だった。(滝田 優樹 Yuuki Takita)
2.ワン・バトル・アフター・アナザー
監督名:ポール・トーマス・アンダーソン
いきなり個人的な話から。ポール・トーマス・アンダーソンは現役の監督のなかでも5本の指に入るほど大好きな監督だからスピルバーグじゃないけど映画館で3回は観ようと思っていたのだけど、ちょうどはやり目を患っていたときに公開された作品で後遺症もあって視力が低下したからしばらく劇場で観るのが叶わなかった。
それがようやく年の瀬に下高井戸シネマで観ることができました。
公開されて約2カ月も経つのに130席近い劇場は満員完売。
それだけで今作及びポール・トーマス・アンダーソンの凄さがうかがえる。
劇場でしかも満員の中、映画を観れる喜びをかみしめながら今作は期待を裏切らず興奮と感動を与えてくれた。
ポール・トーマス・アンダーソン印の相変わらずのクスッと笑えるユーモアを担保しながら巧妙なショットとカットを展開しながらつむがれる追走劇。
とくに高低差がある波打つような長い一本道を3台の車が繰り広げるカーチェイスシーンは画期的であれが撮れるのはポール・トーマス・アンダーソンだけ。(滝田 優樹 Yuuki Takita)
1.ANORA アノーラ
監督名:ショーン・ベイカー
映画館で腹がよじれるほど笑ったのはこれがはじめてでした。
物語を簡単にまとめるとセックスワーカーの主人公アノーラとロシアの御曹司との格差のあるドタバタ恋愛劇。
社会格差や差別、権力などシリアスなテーマも見え隠れしてそういった文脈で語られていることも多いけど今作の魅力はそこじゃない。
ドタバタに次ぐドタバタがとにかく面白くて笑ってしまう。何かわからないけど滑稽すぎて面白い!
無理にまじめに語らなくても、笑える映画!それだけで十分じゃないだろうか。
はちゃめちゃな登場人物とシークエンスだらけで今作のハイライトは間違いなく家での乱闘シーン。それだけで今年の年間ベストは確定していた。
とはいえとにかくアノーラの立ち居振る舞いすべてに心奪われるし、それを活かすためのショットが完璧。
それなのに全体的に美しく映像に仕上げてしたのも緊張と緩和として上手く機能していた。何よりあれだけ面白く笑っていたのに最後のシーンでハッとさせられてしまうのも今作のずるいところ。
近年のロマンティックコメディ作品のなかでも群を抜いて面白かった!(滝田 優樹 Yuuki Takita)
滝田 優樹の個人的総括
人生史上もっとも映画館で映画をみた2024年から今年。
外国映画の公開本数が減ったこともあり、劇場に足を運んだ回数も少し減った。
ただ、今回の年間ベストは昨年よりも選出がとても難しかった。今年は個人的に好きな外国映画監督の作品が多かったことに加え、国内でも思わぬ傑作が多かった1年だった。
だからこそ選出外の作品についてもピックアップせずにはいられなくまとめを。
まずは選出したベスト10本について、正直なところベスト3本以外の作品4位から10位まではほぼ順不同。きっと明日また順位付けしたら入れ換わっているだろう。
それゆえ脚本や劇伴、ショット、カット割、シークエンスのあれこれで考えるのはやめた。
それぞれに点数を付けて算出したならばきっと結果的に総合点は一緒になりそうだったから。
それだけバリエーションも豊かでさまざまな角度で個性的な魅力と巧みさを兼ね備えた作品が多かった印象だ。
7位にある『ファーストキス 1ST KISS』についてはタイムリープものでその設定がゆえ、物語に複雑性が加わって入り込みにくかった。
だけど松たか子演じる硯カンナに恋をせずに居られなかったし、 松村北斗演じる硯駈の言葉ひとつひとつに涙せずにいられなかった。
9位の『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』もアニメーション映画である意味を全うするほどはちゃめちゃなアクションシーンの演出は非常に心躍ったし、
ラストシーンの神妙さはアクションシーンの軽快さを無にするほど重厚感を醸し出して見事だった。まだまだ日本のアニメーションには未来がある。
ここからは選出外の作品を。
ここでリストアップした作品はランク外であるものの個人的には年間ベスト10に値する作品であるとともに過去未来においても重要作品である。
『サブスタンス』(コラリー・ファルジャ)、『国宝』(李相日)、『教皇選挙』(エドワード・ベルガー)、『ハウス・オブ・ダイナマイト』(キャスリン・ビグロー)、『片思い世界』(土井裕泰)、『平場の月』(土井裕泰)、『8番出口』(川村元気)、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』(鶴巻和哉)。
ライター:桃井 かおる子

スマホ、SNSはやっておらず、ケータイはガラケーという生粋のアナログ派。
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まりりん(@Igor_Bilic)

音楽イベントの企画運営やメディアでの取材を手掛ける音楽好き。
DaisyBarでのスタッフ経験を経て、個人企画“SECOND SUMMER OF LOVE”を主催。
ライターとしてはBELONG MediaでSuchmosやYkiki Beat、Never Young Beachなどのインタビューを刊行。
さらに、レコード会社での新人発掘、メジャーレーベルでの経験を背景に、多角的な視点で音楽シーンを追い続ける。
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ライター:滝田優樹

1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。
そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。
その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。
退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。
それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。
猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
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Twitter:@takita_funky










