最終更新: 2022年10月16日
インディーポップ・アーティスト12選はこれまでに紹介した“indie weekly”の記事を1つにまとめたものである。
ここで紹介しているものはどれも基本的に、bandcampでジャケットとジャンル名を頼りに試聴し、ピンときたものだけをピックアップしている。
アーティスト名で検索すると、日本語で情報が出ないものが大半だ。それゆえここで紹介するのが日本で初というアーティストも少なからずいるだろう。
偏見なく未知のアーティストの音楽に触れてもらい、彼らの無垢な楽曲で感動してもらえるととても嬉しい。
目次
インディー・ポップ・アーティスト12選
Deerhunter
奇才ブラッドフォード・コックス率いる、アメリカ・アトランタ出身のインディーロックバンド、ディアハンター(Deerhunter)の新曲。
10分を超える曲だが、丹念に練られた曲展開とコックスの悲痛なボーカルが胸を打つ。
バンドは今年自身の所属する4ADの40周年記念イベントで来日し、1月には新作『Why Hasn’t Everything Already Disappeared?』をリリースしている。
ディアハンターの最新作インタビューはこちら
https://www.youtube.com/watch?v=O5WpcvWxw0I&t=0s
Garcia Peoples
アメリカ・ニュージャージーのサイケデリック・ロックバンド、Garcia Peoples。
彼らは今年の10月に3枚目のアルバム『One Step Behind』をリリースしている。
アルバムと言っても3曲収録で1曲30分を超えるというストリーミング全盛時代に中指を立てる痛快な仕様となっている。
今回紹介する新曲「One Step Behind」は、その30分を超える曲の中からシングル1曲分を抽出したというもの。
それでも約8分あるが、まだもの足りない人は1曲30分ノーカットのジャムセッションで異世界にトリップしてみては?
Beps’n’Johnnies
THE NOVEMBERS meets Daughterと言うと褒め過ぎだろうか。
チェコ共和国、第二の都市であるブルノ出身の3ピースバンド、Beps’n’Johnnies。
彼らは2015年に結成したバンドで、2017年に1枚のEPとこれまで3枚のシングルをリリースしている。
来年の1月にはデビューアルバム『Bare Bones』をリリースし、今回紹介するのはこのアルバムのタイトル曲「Bare Bones」。
先にDaughterを引き合いに出したように、憂いを湛えたボーカルをフィードバック・ノイズで引き立てる具合が素晴らしい。
ジャンル的にはシューゲイザーであるが、その枠には収まらない豪快なロックサウンドも同時に味わえるのがこのバンドの醍醐味。
世界中で活躍するバンドになるのはもはや時間の問題だろう。今のうちにチェックを!
Astral Brain
北欧×ドリームポップという組み合わせにハズレなし!
今回紹介するAstral BrainはEinar EkströmとSiri af Burénの二人からなるプロジェクトで、北欧はスウェーデンのストックホルムで活動している。
彼女たちは2019年の4月に2曲入りのシングル「From Above」をリリースしたばかりで、「Five Thousand Miles」がシングル2作目となる。
メンバーのEinar Ekströmは北欧のインディーバンド、Le futur pompisteのメンバーでもあり、2作目といえども完成度はとても高い。
デビュー作「From Above」は勢いで作った感は否めないが、今作では軌道修正し、非の打ちどころのない作品に仕上げているのが素晴らしい。
ドリームポップの新星として是非チェックして欲しい!手作り感満載のチープなMVも必見です。
Shana Falana
ヘビーシューゲイズバンドとは何ぞやと語るとき、これだけは外せないという3拍子がある(あくまで個人的に)。
シューゲイザーの中でも暗い・重い(サウンドが)・ボーカルが良いという3つは欠かせない。
今回はそんなヘビーシューゲイズで飛び切りかっこいいバンドを紹介したい。
今回紹介するのはニューヨーク・ブルックリンのShana Falana。
彼らはShana FalanaとMichael Amariによる、デュオという編成で活動している。
今までに2枚アルバムを出しており、今年の10月25日にサードアルバム『Darkest Light』をリリースした。
アメリカのシューゲイズバンドと言えば、The Pains Of Being Pure At Heartのようなギターポップに寄せたものが多い印象がある。
しかし彼らはひたすら前述した3拍子を徹底的に追求している。
ただビジュアル面がダーク過ぎるゆえ、近寄りがたい印象を与えているのは少しもったいない。
逆に言うとそれだけ自分の表現に忠実なバンドとも言え、それゆえに完成度が高いものを作れるのだろう。
今後、注目していきたいバンドの一つだ。
Michael Seyer
アグネスチャン!?みたいなジャケットが印象的なマイケル・セイヤー(Michael Seyer)の新作がリリースされた。
マイケル・セイヤーはカリフォルニア・ガーデナ出身のアーティスト。
これまでに数々の作品を発表してきているが、11月8日に『Nostalgia』EPをリリースした。
聴いてお分かりの通り、彼の音楽はノスタルジックで脱力したサウンドが魅力的。
しかし脱力しまくったあまり、Facebookによると自身のジャンルはfart step(直訳すると屁の歩み?)と書いているほど(笑)。
ジャンル名にはやや難ありだが、作曲センスは十二分にあり、楽曲のクオリティも高い。
彼のことを調べていると、中には元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎大先生と比較している記事もあったほど。
知れらていないのがもったいない程の有望株なので、是非いち早く押さえて頂きたい。
後藤慎太郎
なんだろう、この田舎丸出しのジャケットは・・・と思い、bandcampで試聴して出会ったのがこの後藤慎太郎のソロアルバム『もったいなくないよ』。
後藤慎太郎は大分在住のシンガーソングライターで、調べてみるとSOLARや国(すごい名前だなぁ)といったバンドをいくつかやっているようだ。
さてこの『もったいなくないよ』についてなのだが、日本人特有の四角四面なサウンドではなく、脱力感満載のサウンドが気に入った。
音楽的にはローファイなシューゲイザーと言った趣で、悟りを開ききった初期スーパーカーとも言える。
今回紹介する「挨拶」はとにかく曲が良かった。スーパーカーでいう所の「cream soda」と比べても見劣りはしないほどではないか!
しかしながらどこか調子の外れた曲展開やアレンジを詰め切れていない部分があるにはあるが、そこはご愛嬌。
前述した初期スーパーカーや初期Yuckファンなら確実に刺さるサウンドなので、是非チェックを!
Fever Machine
よくよく考えて欲しい。このFever Machineっていうバンド名、めちゃくちゃダサくないか!?モー〇ング娘。の「LOVEマシーン」じゃあるまいし。
Fever Machineはアメリカ・サンディエゴの新人バンドで、2018年に結成したそうだ。
バンドはBijan Farahani、Jovan Gael、Marv Jimenez、Crystal Mendozaの4人で活動している。
セルフタイトルEPとして、今年の11月10日に自身初となる音源をリリースした。
本作を最初から最後までよくよく聴いてみると、ギターワークや曲の終わり方がThe Strokesを彷彿させる部分が多々ある。
これはもしや、彼らはThe Strokesの名盤『Comedown Machine』が好きなのではないか!?
だとしたらモー〇ングとか言ってごめん!でもその名前のチョイスはさすがにダサいと思う。
随所からThe Strokesを思わせるフレーズが連発する本作だが、チルウェイヴの要素も巧みに取り入れており、全体としてドリームポップサウンドに落とし込んでいる所に新鮮味を感じられた、
バンド名に騙されずに最初から最後まで聴いて欲しい。
Poolblood
なんだろう、この占い師風の怪しげなジャケットは・・・・。
ジャケ的に呪術的なソウルなのか?とか、ひょっとしてこれは駄盤ではないだろうか?と邪推してしまったが、特大の大当たりであった!!
今回紹介するPoolbloodはMaryam率いるカナダ・トロントのドリームポッププロジェクト。
11月8日にAccidental Popstar Recordsからデビュー作『Yummy』はリリースしたばかり。
The Cure風のドリームポップもあり、ポップ色の強いパンクソングも含まれており、いずれもミニマムな4曲収録。
曲数は少ないながらも、どれも聴きごたえがある。
曲が良いのもさることながら特筆すべきはボーカルで、透明感があり音数の少ないサウンドにマッチしている。
そういった意味では化粧していないPale Wavesと言った形容もできそうだ。
デビュー作で粗削りは部分は否めないが、それを差し引いても全体の完成度と美しいボーカルは唯一無二と言ってもいい。
今後の活躍を追っていきたい。
ODDLY
京都の新人インディーロックバンド、ODDLY。彼らは11月8日デビューシングル「Loaded」をリリースしたばかり。
My Writes
一聴して好きだ!と言える爽快さが魅力のシンガポールのインディーギターポップバンド、My Writes。
初期のThe Pains of Being Pure At Heartを思わせる無垢な音楽だけが持ちうる高揚感と、ほんの一握りの憂鬱を表現した楽曲はインディーならではの魅力に溢れている。
Takara Araki
神奈川県在住のトラックメイカー兼シンガーソングライター、Takara Araki。ラナ・デル・レイから影響を受けており、ダークなダブステップサウンドが異彩を放つ。
2nd EPとなる『DIE FOR ME』は11月28日(木)、岐阜県多治見市の音楽レーベル・Tanukineiri Recordsからデジタル配信リリースされる。
リリース情報
Deerhunter – Timebends
Garcia Peoples – One Step Behind
Beps’n’Johnnies – Witch(『Bare Bones』収録曲)
Astral Brain – Five Thousand Miles
Shana Falana – Darkest Light
Michael Seyer – Nostalgia
後藤慎太郎『もったいなくないよ』
Fever Machine『Fever Machine EP』
Poolblood『Yummy』
ODDLY『Loaded』
My Writes『The Way Back: 12 Years of My Writes』
Takara Araki『Die for Me』
著者紹介
BELONG Media編集部
インディーロックを中心に日本や欧米、アジアの音楽を取り上げる音楽専門メディア。“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。2021年2月、J-WAVEのSONAR MUSICにゲスト出演。最近はYouTubeで気になるアーティストを見つけるとすかさずチャンネル登録をしています。SNSはこちら