最終更新: 2020年6月21日

GLIM SPANKY(グリムスパンキー)がデビューアルバム『SUNRISE JOURNEY』をリリースした。

今回のインタビューは松尾レミ(Vo./Gt.)、亀本寛貴(Gt.)にデビューアルバム『SUNRISE JOURNEY』について、前編・後編に分けて聞いた。

後半は今作『SUNRISE JOURNEY』の歌詞へのこだわりについて、松尾レミに聞いた。

インタビュー前半はこちら

歌詞へのこだわり

GLIM SPANKY

アーティスト:松尾レミ(Vo/Gt)、亀本寛貴(Gt) インタビュアー:桃井 かおる子 撮影:Masahiro Arita

-そうなんですね。今作に収録さている楽曲は歌詞に“僕”や“私”という言葉を使っているものが多いですが、なぜこのような主観的な表現が頻繁に出てくる内容になっているのですか?
松尾:これはGLIM SPANKYのテーマでもあるんですけど、聴いた人が自分の曲だと思って欲しいし、いつの時代であってもこれは自分の事を歌っている歌だなと思って欲しいからですね。例えば“僕”って使うのも理由があって。“俺”だと男だし、“私”だと女の子みたいだし、“僕”が男女問わず使える言い方だと思うんですよね。

-確かにそう思います。特に最後に収録されている「リアル鬼ごっこ」の歌詞も女の子が聴いても、男の人が聴いてもテンション上がりますよね。
松尾:歌詞には“乙女”って書いていますけど、全ての人を“乙女”の中に落とし込みたかったんですよね。人は何かに向かって頑張っている時が一番輝いて見えるし、あきらめることなく死ぬまで走り続けていれば、一生青春だと思うんです。
亀本:こちらから聴き手を限定したくないというのがあって。歌詞もそうですし、サウンドも誰でも聴ける普遍的なものを作りたいというのがテーマとしてありますね。

-そうですね。今作に収録されている曲のほとんどは疾走感があって、歌詞の内容も等身大なものが目立つ中、4曲目に収録されている「MIDNIGHT CIRCUS」は歌詞もメロディーも他の曲よりも大人っぽい印象を受けました。どうしてこの曲も収録することにしたのですか?
松尾:実はこういう曲の方が得意だったんです。疾走感のある曲というのは、アルバムを作る為に書いた曲で。
亀本:「MIDNIGHT CIRCUS」みたいな雰囲気の曲は上京して2年目くらいで作ってましたね。
松尾:こういう曲こそがGLIM SPANKYの“GLIM”の部分なんです。初めてのデビューアルバムなんで、普通はキャッチーな曲ばかり入れるはずだと思うんですけど、そうじゃなくて自分たちの元からある部分も入れたかったんです。この曲も煙にまかれるようなイメージで、真夜中の幻の世界を描きたくて入れました。

-こういう曲があれば、アルバムにもメリハリがつきますよね。
松尾:ありがとうございます!引き出しが多ければ、多いほど良いと思っているので、色んな曲を見せていきたいですね。

-少し話は変わりますが、実はGLIM SPANKYの事を知ったのは、Analogfishの「Nightfever」で歌ってて知ったんです。その後にもCMでJanis Joplinの「Move Over」のカバー曲を歌われていましたし、その後に「焦燥」を聴いて、これ全部同じ人が歌っていたんだ!ってなりました。Analogfishに参加された時は、どういう感じで歌われたんですか?
松尾:すごい!全部繋がっているんですね!Analogfishの曲で歌った時は、いつもとは違う感じで、黒人のゴスペルっぽい感じで歌ってくれって言われて。もともとゴスペルを歌っていたんですよ。近くに教会があったんですけど、超フランクな場所だったんですよ(笑)。そこでゴスペルチームに入って歌っていたんです。それが今の歌に繋がっている部分はあるかもしれないですね。

-曲によってボーカルの出し方が違うと思うなという印象を受けましたね。
松尾:言葉やサウンドのイメージも違うので、歌い方は感覚の部分が強いですね。
亀本:(松尾の)歌唱のスタイルは日本のポップスのルーツがあると思いますね。歌のメロディーが日本のポップスになっているのかなと思いますね。だからこそ現代の日本でも通用するんだと思います。好きな音楽のジャンルもあるんですけど、それだけに捉われないようにしていますね。
松尾:世界に向けた音楽を発信していきたいからこそ、洋楽寄りにするのは意味がないと思っていて。世界に行きたいから英語で歌うとか、サウンドを洋楽に寄せるってなると海外には勝てないと思うんですよ。日本独自の土台がないと、オリジナリティにはならないと思うし。でもサウンドは世界に通用するようなロックで、歌詞は外国の人が聴いても子音と母音で気持ち良く聴けて、サウンドで景色を見せられるような音楽を作っていきたいと思います。日本と今までにあった洋楽ロックとの組み合わせで、世界に通用するような音楽を作りたいと思いますね。

-今作をどのような人に聴いてほしいですか?
松尾:このアルバムは制作途中にターゲットを決めなかったんですよ。実際、私たちのライブも比較的、年上の男性も多いんですけど、若い女の子も多くて、30歳くらいの親が小さな子供を連れて来たりもするんです。だから自分たちの客層ってどういう人たちって聞かれても、実際よく分からなくて。このアルバムも中学・高校で受験しなきゃいけなくて、これからどうしようって思っている子にも、もう就職してこれからどうしようって背中を押してほしい人にも、自分にとっての始まりを見つけて、自分にとってのテーマソングにしてくれたらって思いますね。例えば日本じゃなければいけないのかというと、そういう訳でもなくて。洋楽でもサウンドから勝手に情景を想像して、涙が出るってことがあると思うんですけど、同じように海外の人がサウンドから景色を想像できるってこともあり得ると思うんですよ。なのでこのアルバムは全人類に向けて作っています。
亀本:全世界のどんな人にも聴いてほしいですね。強いて言うなら、ロックが好きな人には是非とも聴いて欲しい。
松尾:夢を見たい人は多いと思うんです。日本のロックはダメだって言われる事もありますけど、少しでも挑戦したいって思ってくれるロック好きの人はいると思うんで、そういう人たちと仲間になって、一緒にでかいステージに向かっていきたいですね。私たちがお客さんに夢を見せて、私たちもお客さんに夢を見せてもらって、上がっていけたら最高ですよね。そういう人に聴いて欲しいし、もはや情熱と野望しかないアルバムです(笑)。

「大人になったら」

-確かにそうですよね(笑)。最後に言い残した事はないですか?
松尾:あ、あと最後にこれだけ言わせてください。このアルバムは100%完成させたくなくて、次が見える作品にしたかったんです。最初は10曲目の「大人になったら」で終わろうと思ってて。「焦燥」という曲は高校生の時に、“大人になる”という事に焦燥感を覚えて作った曲なんですけど、「大人になったら」は20歳を超えた自分が、「焦燥」を書いた時と同じテーマで書いた曲だったんです。16歳で思った事を、20歳を超えた時に同じテーマで歌った曲をアルバムの最初と最後に持ってきて、その流れでゴールにしようと思っていたんですけど、綺麗過ぎてつまらないなと(笑)。そんな時に映画『リアル鬼ごっこ』で曲を作る機会があって、できた曲は今まで作ってきたものとは違う感覚があるなと思って。それをあえて完成されたアルバムの最後に入れて、次を予感するものができたらと思って収録しました。
亀本:このアルバムの次に自分たちのバンドがどういう感じに転がっていくだろうって考えるとすごく楽しくて。もしかしたらフォークロックに行くかもしれないし、もっとヘビーになるかもしれないし。

-確かに「リアル鬼ごっこ」が収録された事で、一回閉じた幕がまだ上がるって感覚がありますね。
松尾:ありがとうございます!本当にその通りになればと思ったんで、そう思ってくれて嬉しいです!

プロフィール

グリムスパンキー(GLIM SPANKY)

“ロック、ブルースを基調にしながらも、新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす男女二人組ロックユニット。
アートや文学やファッション等、カルチャーと共にロックはあることを提示している。
ハスキーで圧倒的存在感のヴォーカルと、 ブルージーで感情豊かなギターが特徴。
ライブではサポートメンバーを加え活動中。”

引用元:GLIM SPANKY HP

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Magazine(グリムスパンキー掲載号)

BELONG Mediaが発行するVol.22,25にて、グリムスパンキーのインタビューを掲載。

  • Vol.22(500部限定)
  • 有料雑誌化第一弾となるVol.22の表紙はVol.5で表紙を飾ったTemplesと、グリムスパンキーの独占対談を掲載!

  • Vol.25(500部限定)
  • 有料雑誌化第4弾となるVol.25の表紙はフルアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』をロサンゼルスでレコーディングしたグリムスパンキー!20ページ超で彼らが影響を受けたUS西海岸カルチャーを特集。音楽の背景だけでなく、松尾がいきつけの古着屋HAIGHT&ASHBURYにも60’sファッションの魅力について聞き、ルーツとなったカルチャーのバックグラウンドを徹底的に検証する。

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