最終更新: 2021年3月7日
「The Smiths、Aztec Camera 、The Housemartins 、The La’s 、The Pains Of Being Pure At Heart 、Belle and Sebastian好きなら是非!デンマークからキラキラ系、北欧ネオアコ・ギターポップが到着!」とか、輸入レコードショップにポップがあったりして、「ホントか~?」って視聴したら、「こ、これは!?」とビビッて即買ってしまう、即効性のあるヤバいやつである。
THE BIRDSやTHE WHOのような60年代ブリティッシュロック、MODS感も彷彿とさせるオーセンティックながらセンチメンタルのツボをつきまくるギターアルペジオやリフ使い。自然と体を揺らしてしまう軽快なベースライン。ブレッドアンダーソンを思わせるような鼻にかかった伸びやかな歌声。このアルバムはネオアコ/ギターポップ好きには文句なしにドンズバな、特級品のジャグリーポップな曲で満載だ。しかも、ギターポップっていえば、サラサラボブヘアー、ボーダーシャツ、デッキシューズ、声張らない、汗かかなくて、ちょっとクネクネ動くステージング、友達同士みたいなMC、ステージドリンクにストローさしてある、ベレー帽、輸入家具、カメラ、ゴダール、村上春樹、和光学園という、当方の勝手なイメージ(薄い偏見)がある。
このバンドも音源を聴く限りは、パリっとしたオックスフォードシャツを着た綺麗な顔した北欧男子たちが演奏してるんだろうなーって、「Virgin Suicide」のMVなんかはそのイメージどおり。全員そろいの白いタートルネックを着てて、いかにもだねーっていう系譜かと思いきや、実はライブ映像を見ると違うのである。寝巻きみたいなTシャツと短パンで出てきて、ハードコアパンクバンドの如くエモーショナルな動きで演奏する、うちの近くのイオンのフードコーナーに溜まってそうな、ローカル・チンピラ風のキッズたち。で、音はやっぱスゲーかっこいい。あっやっぱこっち側の人らなんだ!だって、名前からして”Virgin Suicide”って、田舎の暴走族みたいなバンド名してんだもん。安心した!下町のあんちゃんぽいという意味ではThe La’sがやっぱ近いのかな?前に紹介した、同じくコペンハーゲンのCommunionsもどうやら相当のチンピラ揃いみたいで、コペンハーゲンのヤンキーの間ではセンチメンタルなギターポップバンドをするのが流行っているのだろうか?よくわからない。Oasisだって、BLANKEY JET CITYだって、強そうで可憐なところに、とても真似できない”ヒーロー”を感じた。”綺麗なメロディの音楽をする不良”というのには相変わらず心惹かれてしまう。
また、ファーストにしては出来過ぎてる、インディ好きが過ぎる音使い。ミックスは、センチメンタルでロマンチックなロックンロールサウンドを作らせたら天才、同郷、コペンハーゲンのThe Raveonettesのスーン・ローズ・ワグナー先輩によるもの。Communionsもそうだったんだけど、コペンハーゲンは上下関係やコミュニティがしっかりしてる。特攻の拓で言うところの先輩に組んでもらった単車に乗る、みたいなものか。だからVirgin Suicideのメロディは集合管から漂う排気ガスのように、危険で甘いにおいが漂っている。この度発売される国内流通盤にはテキサスのガールポップバンドSixpence None The Richerのヒット曲「Kiss Me」を収録。独特の切なさをボーイズバンドとして再現している好カバーだ。また、遂先日に現地リリースしたアナログシングル盤には打込みとシンセサウンドを取り入れた、アルバムとはまた違ったアプローチのポップな曲を発表しており、これもまた秀逸。
【Writer】TJ(@indierockrepo)
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