最終更新: 2020年1月31日

DYGL
こないだ国内で活動していたかと思えば、あっという間にアメリカまで行ってしまったDYGL。彼らはどうして海外で活動することにこだわるのか!?はたまた気になるYkiki Beatとの決定的な違いは!?Skypeにて太平洋の向こうにいるボーカルのAkiyamaとギターのShimonakaに聞いた。

アーティスト:Nobuki Akiyama(Vo./Gt.)、Yosuke Shimonaka(Gt.) インタビュアー:まりりん

-まずはDYGLというバンド名の由来について教えてください。
Akiyama:バンド名の由来答えられる?
Shimonaka:・・・。なんだっけ(笑)。
Akiyama:今までに3回バンド名が変わってるんですけど、一番最初はデナーダっていう名前で始めて、その後にDYGLになって、Leatherという名前に変えた後、最終的にまたDYGLに戻ってきました。それぞれの名前に理由があったんですけど、DYGLにしたのはたまたま見つけた“Dayglo”って単語に“蛍光色”って意味と“安っぽくて派手”っていうダブルミーニングがあったんですよ。そのイメージがバンドのサウンドに合ってるなと思って、この名前にしました。「ディーワイジーエル」って読み方もされるけど、「デイグロー」がちゃんとした呼び名です。

-DYGLはYkiki Beatと同じメンバーがいますが、結成のきっかけは別々なのでしょうか。
Akiyama:そうですね。それぞれ別のバンドとして始まったんですよ。Ykikiの方が先に始まったんですけど、DYGLは最初から外でどんどんやっていこうという事で組んだバンドで。その半年後くらいにDYGLのギターのShimonakaと今のドラムのKamotoがサークルの定期演奏会用のバンドをやろうっていう流れになって。それにもともと俺はドラムで誘われたんですけど、しばらくやってるうちにメンバー編成が今の形になりました。その定期演奏会で1回組んだだけのサークル用のバンドだったんですけど、思ったより曲がうまくできてきて。続けていけば面白いものができそうだなっていう手ごたえを感じたんで今も続けてます。

-メンバーが被ったのはたまたまなんですか?
Akiyama:そうですね。サークルやその周辺に深い音楽を共有できる人があんまりいなくて。そうやってバンドをやっているうちに自然と2つのバンドになったので、偶然といえば偶然なんですけど、そうならざるを得なかったとも思います。

-Ykikiが活動している間はShimanakaさんのやることがないんじゃないですか(笑)?
Shimonaka:それは間違いない(笑)。そういうこともありますけど、今はDYGLをメインでやっているんで暇することなくやってます(笑)。

-それでは今作『Don’t Know Where It Is』はCD、ヴァイナル、カセットでのリリースですが、なぜ三形態で出すのでしょうか。
Akiyama:ヴァイナルとカセットにすごく憧れがあったんですよ。この2つをかっこよく出しているアメリカのバンドは多くて、これは絶対にやりたいと思ってました。CDに関して言うと日本の市場を考えた時にほとんどの人がCDを聴いているので、海外と国内で活動することを考えるとこの三形態全部でリリースするのが現実的だと思って、この3つでリリースしようと思いました。

-カセットだけリリースが一ヶ月早いのはどうしてでしょうか。
Akiyama:『Don’t Know Where It Is』をレコーディングしたのがロサンゼルス(以下LA)にあるlolipop recordsというところに併設されているlolipop studioなんですけど、そのlolipop recordsがストアも持っていて。そこはカセットテープ専門のストアなんですよ。そこがレーベルとして今回、DYGLのカセットをリリースをして流通もしてくれることになったので、そういういきさつがあってカセットだけは別枠で動いているんです。あと僕らがアメリカでツアーを始めているので、こっちにいる間になるべく早くひとつの形態は出しといたほうがいいと思って挑戦しました。

-CDとヴァイナルの発売日(5月4日)には帰国してるんですか?
Akiyama:まだ帰国してないですね。発売から1カ月してようやく日本に帰ります。今後もいる場所関係なくやっていかないといけなくなると思うので。日本でのツアーも遅くなると思います。先にアメリカでリリースツアーをやるのでちょっと変則的ではありますが。でもまだカセットが届いてないんでリリースツアーとは言えないんですよ(笑)。ライブは始めて、届いたら現地で販売していこうと思います。

-昨年発売した自主制作音源もカセットでしたが、カセットにこだわりがあるのでしょうか。
Akiyama: CDだと聴いている音源としては、結局デジタルの配信と変わらないんですよね。自分が長いこと聴いていたのはCDなんで、CDというフォーマットが嫌いな訳じゃないんですけど。そういう意味ではアナログでレコーディングされたヴァイナルやカセットのほうが価値があると思ってて。特にアメリカではそう考えている人が多くて、ほぼCDを持ってないって言う人も多いくて。日本ではカセットで出すと効率悪いかもしれないんですけど、そういう活動のスタイルも含めてバンドで表現できたらいいなと思うんで。だからカセットプレーヤーを買ってください(笑)。

-私買いましたもん(笑)。日本でも少しづつカセットを出すバンドが増えてきてて(笑)。
Akiyama:日本でもそうじゃないですか。海外だけじゃなくて日本でもApple Musicのようなストリーミングサービスが少しずつ主流になってきて、そうなるとCDで聴いているのと全然変わらなくなっちゃう。それを考えるとヴァイナルやカセットとかアナログでレコーディングされたものをリリースするほうがいいのかなって。ストリーミングも素晴らしいと思うんですけど、それが主流になっているのであれば作品として出すのは、それ以上の価値があるものを出さないと意味がない。だからカセットとヴァイナルは外せないんですよ。

-なるほど。ではアメリカでのレコーディングはどうでしたか。
Akiyama:新鮮でしたね。Ykikiの時は日本でレコーディングしたんですけど、DYGLではまだやった事がなくて。ニューヨークではなくて、LAっていうのもあるかもしれないんですけど、東京とは違う雰囲気で置いてある機材も違ってて。アナログレコーディングと呼ばれる昔ながらの機材を使ったので、新しい体験をたくさんできたと思いますね。エンジニアを務めてくれたのがほぼ同い年、23歳くらいのバンドマンだったんですよ。MR. ELEVATOR & THE BRAIN HOTELってバンドをやってるTomas Dolasという人がエンジニアをしてくれて。実際にアメリカやイギリスでバンドやってる人と作業するのはすごく新鮮でしたね。いつかやってみたいと思ってたことだったんで。考え方をひとつ取っても、アプローチの仕方にしても面白い部分がありましたね。

Tomas Dolas from Mr. Elevator and the Brain Hotel
Tomas Dolas from Mr. Elevator and the Brain Hotel(Strange Pursuitsより)

-そうなんですね。DYGLの音作りへのこだわりについて教えてください。
Akiyama:自分たちが音楽をやる上で参考にしたり、自分たちのルーツになっている音楽っていうのは、直近2000年代からもっと古く1960年代から様々な音楽を参考にしていて。そういう音楽から影響を受けていて参考にする上でも、今ある現状の音楽より一歩先に進んだものになったらいいなと思っているんですよ。だから昔あった音楽の焼き増しでは終わらないところまで持っていけたらいいなと思っています。DYGLは特にクラシックなロックの楽しさを必ず反映したいと思っているので、その中心にあるロックの良さを残しながら、それをどこまで新しく持っていけるのかっていうのが音作りで考えているところですね。
Shimonaka:「Thousand Miles」はマイクの使い方を色々と試したよね。
Akiyama:こっちのアナログレコーディングを通して今まで使って来てない機材でやらせてもらえたというのはあって、ハプニング的に面白いなって気づけることが多かったんですよ。このEPの6曲目の「Thousand Miles」を録音するときはTomasがスタジオにあるいろんなマイクを持ってきてくれたので、いくつか試している中で、そのマイクを通しただけで他のエフェクターはいらないってくらいいい音が出る瞬間があって。機材を試したって意味ではこの曲はぴったりハマった瞬間があったんですよ。
Shimonaka:全てアナログというのがあって全体的にオーソドックスなやり方が多かったんで、すごい派手なこだわりは今回なかったと思うんですけど、6曲目に関してはデジタルだと出ない音になったと思います。

-アナログとデジタルではどちらのほうがやりやすいですか。
Shimonaka:やりやすさで言ったらもちろんデジタル。
Akiyama:そうだね。やりやすさだけで言えばデジタル。パンチイン(既に録音された音を部分的に差し替える録音の方法の事)も楽勝だし、デジタルはそういう意味では完璧なんですよ。さっきの話と一緒で、それだったら誰がやっても一緒でつまらない。アナログでレコーディングをする人が多いっていうのは、実際にやってみて分かりましたね。あとレコーディングで特に挑戦したのがボーカルのエフェクト。やっぱりこっちのサウンドって特徴があると思うので、エンジニアのTomasにエフェクトを作ってもらった時に自分たちが工夫してやるよりもすぐに海外の音になったりして。こっちに来て学べた事はたくさんありますね。

『Don’t Know Where It Is』
〔CD・ヴァイナル〕5月4日(水)発売
〔カセット〕NOW ON SALE

【Profile】
dygl0
2012年に大学のサークル内で結成。メンバーはYosuke Shimonaka(G)、Nobuki Akiyama(Vo, G)、Kohei Kamoto(Dr)、Yotaro Kachi(B)の4人で、すぐさま東京でライヴ活動を開始。2015年には『EP#1』をカセットとバンド・キャンプで自主リリースし、その年の秋にはアメリカはLAの注目レーベル〈Lolipop Records〉のスタジオでレコーディングを決行し、6曲入りファーストEP『Don’t Know Where It Is』が完成した。

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