最終更新: 2020年5月31日

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BELONGをご覧の皆さん、はじめまして。こんにちは。わたしは加藤マニという27歳の男性です。今回BELONGのボス、yabori氏より届いた「マニさんが見たインディーロックバンドの最前線をテーマにコラムをお願いします」という内容で、このような連載を頂けることになりました。最前線、というのもちょっと烏滸がましいですが、単純に”最近のお気に入り”という形でご紹介できたらと思っています。

第一回は、栃木県那須烏山市出身の5人組、THE SMITH&WESSONを紹介します。まだ正式な音源リリースはありませんが、昨夏に開催されたロッキング・オン主催のバンド・コンテスト、”RO69 JACK 2012″に入賞し、そのコンピレーションCD用に完成させた音源が待たれるバンドです。

こちらのURLにて、入賞曲である”Apple Tree”を聞くことができます。先日20歳になったばかりとは思えない、EGO-WRAPPIN’、LOVE PSYCHEDELICOの登場に感じた衝撃と並び得る、強烈な個性を放つ三森優奈のボーカルと、それを支える田代瑞希のコーラスは、日本語詞でありながら、限りなく海の向こうのサウンドに違和感なくマッチします。

とは言え、彼らはこうしたラウンジ調ポップだけではなく、耳をつんざくファズ・ギターによるブルースを基調としてハード・ロックにもまた本領を発揮します。こちらのURLでは、昨今の個人的ギター・ヒーロー・ランキングのトップに君臨する石原悠二による鮮烈なリフが特徴的な”Black Hat”のライブ映像を観ることができます。ジャック・ホワイトを思わせる、ブルースをルーツとして租借した、現代的なロック・ミュージックであり、同時に前世紀末に隆盛したヘヴィロックにすら通じかねない重厚なグルーヴは、洗練されつつも、どこか東京のバンドにはない土着的なフィーリングを纏っているように思います。

5人のうち3人は兄妹で、ほとんど全員が同じ工場で働いているというエピソードも、何とも日本人離れしているというか、アメリカ南部のムワッとした雰囲気を感じざるを得ません。彼らのライブは一度ご覧になれば、新しい世代の洋楽的インディーバンドを旗手となり得る、という言葉が嘘ではないと納得して頂けると思います。彼らの音は、何というか、説得力が違うのです。

【Writer】
加藤マニ(manifilms)

1985年東京生まれ。インディーズ、メジャーを問わずミュージックビデオ等の映像制作、広告デザインやウェブデザインによって口を糊する他、ロックバンドPILLS EMPIREおよびLowtideのキーボード兼にぎやかし担当、及びDJやVJ、レビューやエッセイ執筆等のオファーは来るもの拒まず、インディ精神を忘れない、立派な大人を目指して自活中。