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アーティスト:ジャック・テイタム(Vo,Gt) インタビュアー:yabori,kyupi 撮影:本田裕二

-今回のミニアルバムは前作に引けを取らないほど、完成度が高くかつバラエティ豊かな作品でとても楽しく聴かせてもらいました。今作への手ごたえはいかがだったでしょうか?
ジャック:ありがとう。今回はEPという形態ではあるんだけど、フルアルバムに近い作品だと思ってるよ。というのもアメリカでいうEPは今まで収録できなかった楽曲をまとめた形でリリースするというのが多いんだ。だけど今作は楽曲を寄せ集めたものというのではなく、フルアルバムとは全く別の作品として作りたかったんだよね。一枚のアルバムの中に流れを作りたかったし、自分のキャリアとしても積み重ねていくものにしたかった。今までの自分の作品にはない、全く新しいものを作る気持ちで作ったよ。

-以前読ませて頂いたインタビューで、あなたはどうしても日本に来たいとおっしゃっていましたね。日本のどういった所が好きなのでしょうか?
自分が住んでいた所から、一番遠い場所というイメージが日本にずっとあったんだ。もちろん地理的にも、文化的にも、全然知らない場所だからずっとどんな所だろうって想像を膨らませてた。あとは昔から日本のアートやデザインが好きで、最近ではグラフィックデザインに興味があるんだ。ニューヨークの近代美術館で日本の戦後のアート作品の展覧会があって、凄く興味を持った。今回のEPにも「ハチ公」という曲もあるしね。アメリカではレコードに帯を付けるという習慣がないんだけど、このEPには帯を付けようと思ってるよ。

-自分もレコードの帯にはこだわりがありますね。レコードもついつい帯があるのを買ってしまいます。
そうなんだ。昨日、新宿のディスクユニオンで買い物をしたんだけど、日本だと価格の安いUS,UK盤の方が人気があるよね?でも自分達にしれみれば、帯があるのが面白いからそればっかり探してたよ。持ってるレコードでもわざと帯があるのを買ったくらい(笑)。

-今作のアルバムはまとまりのあった前作(『ノクターン』)に比べて、バラエティ豊かな楽曲が並んだ意欲作だと思います。今作に収められた曲は、前作ができた時にはもうできていたのでしょうか?それとも前作を作った後にできた曲なのでしょうか?
前作を作った時には全然できていなくて、この3ヶ月でレコーディングした新曲ばかりだよ。

-そうなんですね。前作にはディアハンターやアニマル・コレクティブを手掛けたプロデューサーが付いていたそうですが、今作は誰と制作したのですか?
今回一緒にやったエンジニアはアル・カーソンという人で、ダックテイルズというバンドのアルバムのプロデュースをしてるよ。このEPをレコーディングすると決めた時、彼はスタジオのエンジニアだったので、一緒にやろうと決めたんだ。彼の経歴で決めた訳ではなく、凄く良いエンジニアだって聞いていたし、自分のやりたい事に彼が手助けしてくれたから。というのも自分は今、セルフプロデュースすることに興味があるんだ。今回は自分のやりたいことをやって、誰かが手助けしてくれるっていう状況でやりたかったんだよね。

-前作は深夜に書かれた曲が中心で落ち着かないという感覚から生まれたものだと聞きましたが、今作はどのような感覚から生まれたものでしょうか?
まだ自分の中でもまとまってないんだけど、落ち着けるポップレコードといった感じかな。音楽のジャンル的に多彩なものがある中でも、一つの流れを作りたかった。正式なアルバムではやりにくいアンビエント的な要素に挑戦してみた。様々なジャンルの音楽が押し寄せては返す、海のようなレコードではないかと思ってるよ。

-アルバムタイトルの『Empty Estate』とはどういう意味なのでしょうか?
このタイトル自体は2曲目の「Ocean Repeating (Big-eyed Girl)」という曲の歌詞の一部なんだ。歌詞の中ではからっぽの住宅地で誰かを追って歩いてるというイメージで書いてるんだけど、廃墟になった住宅地というか、誰も住んでいないからっぽの世界というのが凄く気に入った。このEP自体が自分のリリースしたアルバムとは、別世界というイメージでこのタイトルを付けたんだ。

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-昨日は初の日本公演でしたが、日本でのライブはいかがでしたか?
自分にとって三カ月ぶりのツアーということもあって久しぶりにライブが楽しいと思ったよ。それと初めての場所で演奏できたというのも楽しかった。昨日のライブについて言えば、観客が全ての期待に応えてくれる感じがあって。地球の裏側に住んでいるにも関わらず、自分の音楽にコネクトしてくれるというのは嬉しかったね。それを昨日、自分が目の当たりにして、嬉しいを通り越してブッとんだよ。日本の観客は静かで礼儀正しいというのは聞いていて、音楽を楽しんでいるのはもちろん、みんなからいいエネルギーをもらうことができた。ステージでもずっとニコニコしてたはずだよ。

-来日公演ではTHE NOVEMBERSが前座でしたが、彼らとはどういったきっかけで知り合ったのですか?
ほとんどのライブはプロモーターが決めることなので、実際自分は関わってないんだ。日本のバンドってアメリカで知るのは難しいから。今回彼らをステージの袖で観させてもらったんだけど、今まで観たどんなバンドよりもギターペダルがたくさんあって、まるでマイ・ブラッディ・ヴァレンタインみたいだと思った。演奏ではディアハンターのような瞬間があって、凄く楽しかった。実際彼らと話してみたら、本当に自分たちのファンなんだという事が伝わって来て、嬉しかったよ。

-彼ら以外に好きな日本のミュージシャンはいますか?
やっぱりアメリカにいるとよっぽどでない限り、日本のミュージシャンを知る機会はないんだ。自分は詳しいとは言えないけど、アメリカでもコーネリアスは人気があるよ。高校の時に自分も聴いて、気に入ったし。

-今回、BELONGのテーマは『My Generation』というものでやらせてもらっています。あなたの世代の音楽とはどのようなものなのでしょうか?
自分は今24歳なのでインターネットで育った最初の世代だと思う。今思い出すとインターネットが始まったのが12歳くらいで、そこからハイスピードのデータ通信やナップスターが出て来て。当時は一曲ダウンロードするのに30分くらいかかったんだけど(笑)。自分の10代の初めはスケートボートのカルチャーが流行ってていて、自分もやっていたよ。それに付随したポップパンクなんかも聴いてたし。今振り返れば恥ずかしい過去なんだけどね(笑)。高校からロックミュージックに入れ込むようになって、インディーロックというもっと良い音楽にハマっていって。15歳くらいの時に出会ったブロークン・ソーシャルシーンは自分にとって重要な音楽になった。自分たちの世代って音楽をダメにした最初の世代かもしれないね(笑)。本当に正直に言うと、イリーガルなダウンロードもしたし、そういう事にそこまで反感がある訳でもないんだよね。自分達がそういったオンラインの音楽カルチャーみたいなものを作っていった世代だと思う。それによって音楽をどんどん消費して音楽の価値を変化させたのかもしれない。そういう世代が育ってきて、きちんと音楽を文化として守っていこうとしている人とが共存している世界だと思うよ。

-今回のライブに来たファンや来れなかったファンもたくさんいると思いますが、彼らに向けてのメッセージを頂けたらと思います。
本当に日本に来れて光栄だと思ってるよ。昨日来てくれたファンも来れなかったファンにも言いたいのは、世界の裏側に住んでる自分の音楽をこれだけ楽しんでくれる事が本当に嬉しい。自分はやってる音楽に対して、そこまでエゴイスティックではなくて。これだけ愛してくれる人がいて好かれる事自体にびっくりしているし、その期待に応えたいと思う。またいつか必ず日本に戻って来て、ライブやりたい。昨日のライブがソールド・アウトだったので、もっと大きな場所でやりたいし日本の他の街にも行ったみたいね。

『Empty Estate』

【BELONG Vol.3にWild Nothingの記事を掲載】

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【Roots】Wild Nothingが選ぶルーツロックアルバム

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