最終更新: 2014年2月18日
(こう言っちゃ悪いけど)「ロキノン系優等生」だったデビュー時も今や昔、海外のインディー・エレクトロに触発されながら、同時に日本語詩の「歌」を大事にし、独自の音楽性を追求してきたガリレオ・ガリレイ。メジャーな立ち位置でこれほど近年の英米インディー・ロックと共振しながらそれをいかに自分たちなりに消化するか思念し、実践しているバンドもいないだろう。
本作『ALAMS』は、バンド・サウンドに回帰しながらも、エレクトロ路線で培った経験が生かされたものとなった。2ndアルバム『PORTAL』で見せたようなシンセの豊かな音色はあくまで最小限に止められているが、ギターポップ~ドリームポップ/シューゲイザーを自然体で通過した美しいリバーブ・サウンドが印象的で、アルバム後半はチルウェイヴ的。ソリッドだが、同時に温かみもある音像だ。ソング・ライティングにおいてはAメロ→Bメロ→サビといったような歌謡曲・J-POP的な曲構造は少なく、強いフックのサビが無い曲、もしくはもう一度盛り上がるサビが来るのかな?と思うところでスパッと終わるというストイックさ。
リリックは青春期の衝動、不安、悲恋、そして生まれ変わりをテーマにしているようで(ジャケットのイメージから喚起される部分もあるが)退廃的であり、一聴するだけでは簡単に意味が掴めないものとなっていて、何らかの映像的な物語を聴き手に自由に想起させることが目的のように思える。そういった部分に国内のメジャーな若手ロックバンドとは全く違う価値観やフックを提示しようとしていることが伝わってくるし、簡単に消費されていくような音楽ではなく、細部へのこだわりをリスナーがじっくりと楽しめる音楽を作りたかったことが充分理解できる。
だから本作は彼らをさらに(恐ろしいまでに)孤高の位置に押し上げる作品になったと思う。従来のファンが本作を支持するか戸惑うかは僕にはわからないが、ただ言えることは、本作が決して「ポップではない」わけじゃないこと。ここが彼らの本当の凄さで、ここまでストイックさを貫きながらもVo.尾崎の歌からは思わず大声でシンガロングしてしまうようなエモーションが、もしくはふと口ずさんでしまう切ないメロディーが今まで同様に、いやそれ以上にある。