最終更新: 2020年5月16日
前作『Torches』から2年が経つにも関わらず、「Helena Beat」や「Pumped Up Kicks」が未だにアパレルショップでリピートされている。
それほど前作が成功していてメインストリームで機能しているfoster the peopleには、今作のアルバム名「スーパーモデル」という言葉はぴったりなのだ…と書こうとして手が止まった理由は、そのジャケット画像にある。
はち切れそうなチェーンでつなぎ留めた台座、その上に置かれた金塊に乗り不安定な足元を見ている女性と、女性を撮影する触手のようなパパラッチ。
”一度登りつめてしまえば安心”ではないその状況は、foster the people自身を象徴しているようだ。
彼らは「Pumped Up Kicks」が巻き起こしたブームから2年という月日をかけて、シーンに帰ってきた。
ただでさえ復活は大変だっただろうに、今作も本当に素晴らしい。
ついつい歌いたくなるキャッチーな歌メロとメリハリある展開、我々の心をぐっと掴んで離さないコーラスワークなど日本人も好むポップスの姿がある。
アフリカ音楽直系のAメロが印象的な「Are You What You Want to Be?」、近作のダフト・パンクを思わせる「Nevermind」、
Gabrielle Aplinばりのアコースティックナンバー「Goats in Trees」など前作よりも曲の幅が圧倒的に広がっており、聴きごたえ抜群。
何よりも「Pumped Up Kicks」のイメージで聴くことができるのは「Best Friend」(今回のアンセム的ナンバー! )くらいで、いずれも彼らの音楽性の進化を感じられる楽曲ばかりだ。
ネットひとつで誰でも彼らのようなスーパーモデル(良くも悪くも)になれる世の中に対する皮肉と、プレッシャーも恐れず立ち向かえる勇気を与えてくれる彼ら。これからが心機一転、本当のスタートだ。
【Writer】梶原綾乃(@tokyo_ballerina)