1970年代、ウエスト・ロード・ブルース・バンドや憂歌団ら日本のブルースの草分けとなったバンドたちが切磋琢磨した地・京都において、立命館大学在学中4人組ブルースバンドといえばまるで京都音楽界のサラブレッドのように思われてしまいそうだ。しかしフォグランズ初の全国流通盤である本作で鳴らすブルースの中には、文化のるつぼである京都の地縁であったり、くるり・キセルらを輩出したロックコミューンを始めとする、大学生特有のサークルで音楽に明け暮れたような青春感はあまり感じられない。

トム・ウェイツばりの退廃的なオルガンとピアニカの音色が響く冒頭「Caricature」から、クレズマーを感じさせる「Limelights Cast Your Shadow」、モータウンビートの「Back Ward Pawn Blues」まで幅広い全編英詞の5曲。しかし共通して、サイレント映画がかかりタバコとウィスキーの香りのするパブで、夢への希望とやさぐれをにじませながら演奏する座付きバンドのような臭いがする。それはチャック・ベリー~ドクター・フィールグッド~ザ・リバティーンズ~アークティック・モンキーズと連綿と続く、ガレージ/ブルース・ロックの系譜の現在形をジェイク・バグやザ・ストライプスらと共に体現しているホンモノの印であるかもしれない。何でも節操なく取り入れることが出来る“youtube世代”では片づけられない音楽、演劇、映画、ライフスタイルといった文化全体への興味が、サブカルチャーを超えてトラディショナルでヴィンテージなサウンドをものにしている。

1年ほど前には心斎橋HOKAGEに定期的に出ていた彼ら。たった15人ほどの客の前で、ステージもなく絨毯の上でギラつきながら演奏する姿が美しかった。そこから彼らのブルースは拡大を見せ、HAPPY、The fin.らと共に洋楽志向の強まる、関西インディーシーンを彩るキーパーソンの一組になりつつある。京都でこじんまり収まっているようなタマじゃない。

【Writer】峯大貴(@mine_cism)

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