最終更新: 2014年11月21日
アーティスト:田代瑞生(Vo), 石原悠二(Gt),三森真悟(Ba), 三森玄也(Dr), 三森優奈(Key,Vo) インタビュアー:yabori
※インタビューは電話にて行い、バンドメンバー全員立会いのもと、みんなの考えをまとめて真悟(Ba)さんと優奈(Key,Vo)さんに答えて頂きました。
ロックン・ロールって制約された音楽じゃないですか。昔のブラックミュージックのように制限された中でやるからこそ、良いものが出来るんだと思いますね。これが自由にやってくださいって言われたら、良いものが出来ないと思う(笑)。
-バンド結成のきっかけについて教えてください。
真悟:2010年の3月31日にThe Dead Weatherの来日公演を観て、バンドをやろうと思いましたね。それまでは田代(Vo.)と石原(Gt.)がバンドをやっていたんですが、真悟(Ba)が呼びかけてバンドの原型ができて。その1年後、優奈が加わり今に至りますね。
真悟:小さな城下町がありますが、基本的にド田舎ですよ。バンドメンバーもこの辺の出身で。小さな頃からみんな幼馴染です。
-以前マニさんがコラムでTHE SMITH & WESSONを取り上げていましたが、ほぼ全員が同じ工場で働いているらしいですね。
真悟:自分たちは3兄弟なんですけど、その親の会社で働いているんですよ。ボーカルとギターも勤めているっていう。偶然と言えば偶然ですけど、他の所に行っても働けないんですよね(笑)。それが思いの他、バンドをやる上で都合が良かったんですよね。毎日顔合わす訳ですから。
-先ほど田舎と言ってましたが、近くにスタジオや音楽的な設備はないような場所でしょうか?
真悟:ほとんどないですね。自分らで場所見つけて練習するっていう感じで、機材も全部自分たちが持ってるんですよ。働いている工場の中にも楽器がありますし、スタジオに入って演奏するって事はないですね。
-自分たちの工場の中でバンドの練習をしているということですか?
真悟:そうですね、仕事場の隣に楽器があるくらいで(笑)。
-そうなんですね。THE SMITH & WESSONというバンド名の由来について教えてください。
真悟:アメリカの銃の会社の名前なんですけど、これはたまたま坂本竜馬が持っている銃がSMITH & WESSON製のものだったことから来てるんですよね。
-歴史がお好きなんでしょうか?
真悟:そうですね。音楽も古いものが好きで、ブラックミュージック全般を聴きますね。
-アルバムタイトルは『Extended Play』との事ですが、これはいわゆるEPの正式名称ですよね。EPではなく、『Extended Play』とした意味について教えてください。
優奈:EPの名称ですね。これは文字で書いた時に良かったんですよ。
真悟:最初だし、奇をてらうよりもストレートな名前にしたかったんですよね。誰もが付けそうで、付けなさそうな名前っていう。
-アルバムの中では、田代さんと優奈さんが歌われている曲がありますよね。どういう基準で歌う曲の振り分けを決めているのでしょうか。
真悟:基本的に振り分けてる訳じゃないんですけど、曲ができた感じで、これは瑞生(田代)が歌うのか、これは優奈が歌うって振り分けが自然とできてきちゃうんですよね。曲が出来た時のフィーリングで自然と決まりますね。
-歌われる方がそれぞれ歌詞を考えられているのでしょうか。
真悟:そうですね。瑞生が歌うものは、瑞生が歌詞を考えるし、優奈が歌うものは優奈が歌詞を考えますね。
-お二人が歌う歌詞では“影ぼうし”や“ふるさと”等の言葉が出てきて、昭和っぽい雰囲気を感じる部分もありますし、詩を読んでいるようにも聴こえます。こういう歌詞はどのようなものに影響されて書いているのでしょうか。
優奈:本からの影響ですね。基本的に何でも読むんですけど、太宰治の作品や名作と言われている本はほとんど読んでいますね。言葉が綺麗だから、すごく勉強になります。
-サウンドからはホワイト・ストライプスをはじめ、ガレージロックやブルースの影響が感じられます。スミスのサウンドを簡単に言うと、ホワイト・ストライプス×昭和感だと思いますが、ご自身はどう思われますか?
真悟:ブラックミュージックに影響を受けいながらも、日本人的な要素も入れて音楽が作りたかったので、そう表現して頂くのはありがたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=5roz5-wdjBg
-昭和感という事で、日本の古い音楽だとどのような音楽を聴かれていますか?
優奈:フォークソングですね。親が聴いていた五つの赤い風船やかぐや姫がベースになっていると思います。
-これからの活動について聞きたいのですが、地元を基盤に活動されるのでしょうか。
真悟:ここから離れようという気はないですね。自分たちは田舎から出て来たんで、ここまで他の人たちから反応があるとは思ってもみなかったんですよね。音源も出せる事にもなりましたし、これから自分たちの中でも色々と動き出していくのかなと実感している所ですね。だからまだ具体的にこれをやろうというのはないですね。
-最近のバンドって東京に出ないと十分に活動できないとか、売れないって思うバンドも多いと思います。でもスミスのような存在がいる事で、地元でバンド活動をやってもここまでいけるんだって希望を持てる人も多いのではないかと思います。
真悟:そうですね。一度東京に出た事もあるんですが、都会にいればいるほど、大事なものを失っていく気がしたんですよね。バンドにしろ、何にしろみんな同じで、何がしたいのか分からないものが多くて。東京と言えば憧れの都ですから、想像もしないような事がきっとあるんだろうなって思って行ったんですけど、期待する程の事もなかったし・・・。
-東京から地元に帰ってきてどう思われましたか?
真悟:自分たちは力が入ってないのが良いのかなって思いました。東京で音楽やるとなれば、バイトしながら音楽をやるという道しかないんで、どうしても力んでしまうと思うんですよね。こっちだと余計な力を入れなくてもできるから、良いものが作れると思うんですよね。みんなが常に自然な状態でいるからこそ、クリエイティブな発想が出来るのかもしれないですね。田舎は囚われるものがないから。一方で自分たちは音楽活動以上に仕事が忙しくて。
-かなり仕事が忙しいんですね。
真悟:みんな休みがないくらいに忙しくて、夜中まで仕事するくらいで。逆にそれが良いのかなと思っていて。ロックン・ロールって制約された音楽じゃないですか。昔のブラックミュージックのように制限された中でやるからこそ、良いものが出来るんだと思いますね。これが自由にやってくださいって言われたら、良いものが出来ないと思う(笑)。
-なるほど。ブルースもルーツを辿れば、黒人奴隷が制約された社会の中で自由を求めて歌ったという背景がありますよね。
真悟:そうですね。自分たちもそういうルーツを理解してやっているつもりです。日本に居ながらにして、リアルなブラックミュージックをやりたいって思っているんで。自分たちには他人を説得出来るだけのバックグラウンドがあると思ってます。
【THE SMITH&WESSON 『Extended Play』リリースパーティー】
12月5日(金)@渋谷HOME
開場/開演 20:00
前売¥1,500 / 当日¥2,000 (共にD代別途)
マイケル
吉野大介