昨年彼らが自主制作で発表した初音源『Glowing Red On The Shore EP』の衝撃はすごかった。ドリームポップ、チルウェイブなど00’s以降のインディーロックの最先端を咀嚼している上に、ビージーズ~パッションピットなど日本人が愛する洋楽に共通するファルセットを効かせたキャッチーなメロディ(そりゃ彼らも日本人(宝塚出身)やからね)。この頃はまだライブも少なく、主戦場としていたSoundCloudやAno(t)raksで多くの楽曲は無料で聴けたものの、売り切れ間近の中、FLAKE RECORDSに買いに走ったことをよく覚えている。

それからたった一年、前述のEPが全国流通されたことを契機に、フジロックなど大型フェスで観客を沸かし、神戸から上京、来年にはSXSWの出演も決まった。そんなThe fin.から届けられた1stアルバムは自分たちの目指す音楽をとことんソリッドにして表現された作品となっている。

前作で強調されていたのがメロディだとしたら、本作で前に出たのはビート。心地よいミドルテンポで常に平熱が保たれている。その落ち着きにより作品全体の豪華絢爛な雰囲気を形成しているのだが、ドリームポップやチルウェイブの手法とは相反して、意図的に積み上げた音を“ぬく”美学の追求によってサウンドは一層華やかになっている。必要最低限の音のみに厳選し、その音の余白にYuto Uchino(Vo・Syn)の声が入ることでとことんロマンティックに、夢心地に響く。「Night Time」、「Without Excuse」は例外として煌びやかなメロディ・音色が押し出されているが、この2曲は前作発売時にすでに公開されていたものであることから、やはり本作では意図的にビートの響かせ方に注力したのだろう。前作からの流れをくむこの2曲が本作ではフック的な役割を果たし、ダウナーかつラグジュアリーな彩りがつけ加えられている。

最後に収められた1分半ほどのタイトル曲「Days With Uncertainty」は曲の途中であっけなくフェードアウトしアルバムは突如終幕を迎えてしまう。“不確実性と共にある日々”という意味を含めてこの仕掛けは彼らの不安の表れか、遊びに行ってくるよと言わんばかりに楽しもうとするヤンチャな遊び心であり人生賛歌か。どちらにしろこれから世界に打って出る名刺として申し分のない夢のような音楽である。

【Writer】峯大貴(@mine_cism)

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