最終更新: 2020年5月16日


10.ストレイテナー – Behind The Scene
旧曲リメイク→原点回帰的セルフタイトル→ベストアルバムの流れで、「新しいベタ」を追求している彼ら。あの手この手を繰り出しながら今までの音楽要素をアップデートしている。彼ららしいアルバムではあるがもう少しブッ壊れた彼らも見たいな、とも思った。


9.U2 – Songs of Innocence
パンク・ロックへ敬意を称したリード曲や、そもそもこのアルバム・タイトル。今だにロックンロールの衝動を忘れないという意志が感じられてそこは素晴らしいと思うのだけれど、全体的にはベタなスタジアム・ロックをわずかに回避しようとしているという印象で、悪くはないんだけどアンセムもっと欲しかった。まぁ、いろいろ話題作だったしね。


8.The Pixies – Indie Cindy 
新しいことが必ずしも素晴らしいわけではない、などと最近思うのは僕も年をとったからか。90年代における彼らは確実に新しい音楽を提示していたけれど、今の彼らにそれを求めるのは流石に酷じゃないか。ピッチフォークで2.5点とか知るかっつーの。ギターワークとメロディーが妙に泣ける。


7.For Tracy Hyde – In Fear Of Love 
フリッパーズ・ギターやスパイラル・ライフ、C86やシューゲイザーを、00年代のギターロックとアニメ・カルチャーで育まれた人間の手で、なおかつ昨今の英米インディーの空気の中で蘇らせる。その思想はラブリーサマーちゃん加入でどう転がっていくのかこれからも目が離せない。ラストはちょっと中村一義を思い出すほど、ポップミュージックを信用している彼らの姿を見ることができる。


6.LOSTAGE – Guitar
刃のような轟音の中で綴られる敗北者たちへの鎮魂と、敗北すら出来なかった人たちへの手紙。


5.銀杏BOYZ – 光のなかに立っていてね
銀杏BOYZであることを引き受けならがらも、ノイズや電子音楽、近年の海外インディーなどへの音楽的興味を反映しているのが刺激的。9年前の1stよりもセカイ系的ボーイ・ミーツ・ガールが純化していて、更に現実にズタズタに引き裂かれまくっている姿を、まだどう受け止めたらいいか分からない。


4.Syrup16g – HURT
変わっていないことに安心した。この人たちも未だにロックンロールを信用しているんだなぁと思った。


3.Gotch – Can’t Be Forever Young
インディー趣味全開でいろいろやって欲しいとずっと思ってたのが叶った。これが1位でも良かった。殆どの曲のテーマが「喪失」だが、「それでもここから始めようぜ」という瞬間に、胸を熱くせずにはいられない。


2.ASIAN KUNG-FU GENERATION – フィードバックファイル2
今改めて、一周回って、彼らなりのベタなギターサウンドを追求する、という路線には少し寂しさを覚えなくはないが、ここ数年の彼らのモードを再確認するにはうってつけのB面集。「スローダウン」や「夜を越えて」のアウトロから発せられるキラキラした多幸感、こういう所が他のギターバンドには出せないなと。


1.ART-SCHOOL – YOU
僕がこのバンドに望んでいるのは、誤解を恐れずに言えばOasisみたいな、もしくはeastern youthのような音楽。聴いてて思いっきり歌ってしまいたくなるようなアンセム。クソみたいな日常から一瞬だけ解き放ってくれる、涙を振り払ってくれるアンセム。ポップで冷たくて暖かくて切なくて優しくて、どこからどう見てもアートスクールな一枚。歌え。

【Writer】たびけん(@02tabiken02)