最終更新: 2021年5月2日


アーティスト:Kindness、高橋海(LUCKY TAPES) インタビュアー:ohamu 撮影:MASAHIRO ARITA

-お二人の音楽を聴いた印象を教えてください。
Kindness(以下、K):LUCKY TAPESはファンキーかつクールで、演奏している全員が楽しんでいるような音楽をやっていると思ったね。
高橋:Kindnessは、洗練されたビートが心地いいインディーダンスミュージックといった印象。特にホーンの使い方が特徴的な「World Restart」が大好きです!

-お二人の音楽に共通しているのはブラックミュージック、特にファンクやディスコミュージックではないかと思います。Daft Punkの「Get Lucky」以降、そういった音楽の価値は見直されつつあります。どうしてそういった音楽をやろうと思ったのか教えてください。
高橋:ブラックミュージックは両親が好きだったので、小さい頃から家で流れていました。慣れ親しんできた音楽ですし、自然と出てきた感じです。メンバーもブラックミュージックが好きなので、バンドとしても意識せずにやっています。
K:自分も同じで父親が60年代にDJをしていたので、ジャンルに限らず色んな音楽に囲まれている環境で育ったんだ。今、大人になって振り返ってみると、魅力的だと思った音楽の一つがブラックミュージックだったから、自然と出てきているんだと思うね。

-お二人とも自分の作品をヴァイナルでリリースしていますが、どうしてヴァイナルで出そうと思ったのでしょうか。
高橋:CDが売れなくなっている時代の中で、CDよりもヴァイナルの方がモノとしての価値があるんじゃないかと思います。ジャケットや再生する時に針を落とすのが好きで、ずっとヴァイナルで自分の音源を出したいと思っていたのが、ようやく叶いました。
K:ミュージシャンとして、大きくて重みのあるものを形として残せるのは素晴らしい事だと思うし、音楽ファンもヴァイナルを手に取りたいんじゃないかと思うね。

-ヴァイナルの魅力について教えてください。
高橋:モノとしても価値があると思いますし、何よりヴァイナル独特の温かみのある音が好きです。
K:レコードショップでCDを探す時と違って、ヴァイナルは形やデザインがユニークなものが多いから、探すだけでも面白いし、魅力があるんじゃないかと思うね。

-ヴァイナルは最近息を吹き返したと言われています。どうして今、ヴァイナルが注目されていると思いますか?
K:音楽だけでなく、アートワークが魅力なんだと思う。実際にライブ会場に足を運んでくれたお客さんはプレイヤーを持っていないのに、ヴァイナルを買う人もいるくらいだから、モノとしての魅力があるんだと思う。
高橋:音楽だけじゃなくて、本も何もかもがデジタル化していっている時代じゃないですか。手に取れるモノが無くなっていく中で、改めて物理的なモノが重要視されてきているのではないかと思います。

-普段どのように音楽を聴いていますか?またレコードを聴きたいと思う瞬間はありますか?
K:普段はヘッドフォンで集中して音楽を聴くのが好きなんだ。レコードを聴く時も同じだね。
高橋:僕は別の作業をしながら聴く事が多いです。SoundCloudやYouTubeなどのインターネットがやはり最新の情報を得られるので、新しい音楽を見つけたり、過去の音楽を掘ったりします。その中で気になったものがあれば、CDやヴァイナルで買うようにしています。ヴァイナルはゆっくり音楽に浸りたい時に聴きますね、お菓子なんかをつまみながら(笑)。

-ヴァイナルにまつわるエピソードがあれば教えてください。
K:アメリカのレコードショップで買い過ぎたので、日本ではあまり見ないようにしてて(笑)。前回は日本のレコードショップで買いまくったから、今回はそれ以外の事にトライしようと思うよ(笑)。
高橋:レコードに触る前の話なんですけど、欲しかったCDをWebで注文しました。タイトルがEPだったのでシングルかなと思っていたら、ヴァイナルで届いてびっくりした思い出があります(笑)。それが初めて買ったヴァイナルという事になります。

-本日お持ち頂いたヴァイナルについて伺いたく思います。それぞれのアルバムについて教えてください。またこれらのアルバムで自分の音楽に参考にしているところがあれば、教えてください。
高橋:一番影響を受けたのは、Wouter Hamel『Lohengrin』というアルバムです。オランダのミュージシャンなんですけど、もともと彼のプロデュースをしていたベニー・シングスのファンで。彼はジャズやソウルを昇華しているアーティストなんですが、それをよりポップにしたのがWouter Hamelの作品。そういった部分が今のLUCKY TAPESに大きく影響しているかと思います。K:最近までアメリカにいたんだけど、それぞれ住んでいた街でレコードを買っていったんだ。昔のレコードも探して買っていたんだけど、最近ではCDを持っている新しいアーティストのレコードも買おうと思ってね。そんな時に買ったのが、Kendrick Lamarの『Good Kid M.a.a.D City』なんだ。ヒップホップなんだけど、プロダクションと熱意がこもっているのが好きでね。ここ何年かで、このヴァイナルに一番影響を受けているよ。