最終更新: 2020年5月16日
自分たちの本分で音楽活動を続けている、The Cribs(クリブス)の最新作『For All My Sisters』がついに完成!
最高のパートナーたちと共に作り上げた、自分たちのヴィジョンに忠実な音楽がここにある。
昨年、バンド結成10年目の節目を迎えたTHE CRIBS。レーベルを、長年在籍したウィチタからSONY REDに移籍。2015年3月に心機一転の6枚目のオリジナル・アルバム『FOR ALL MY SISTERS』をリリースした。このバンドには2つの側面があり、ポップからの影響とパンクロックからの影響の2つの側面のコンビネーションに、他の要素を加えながら、自由に行き来したサウンドを作っている。最高のパートナーたちと共に、自分たちのヴィジョンに忠実な音楽を常に作り続けてきた。
今作はクリブスが常に持っていたポップ性が特に前面に出た作品である。そして今まで同様に、80年代のUSインディからの影響もキーになっている。「子供の頃聴いてたような。ダサいとわかっていながら聴いてしまうポップミュージックとか。リプレイメンツみたいなパンクロックを混ぜ合わせて曲を書いたんだ」と、ゲイリーが語るように、ちょっとダサいかもしれないナードなポップ要素が、非常に効果的な泣きエッセンスになっている。
しかも今回のプロデューサーはリック・オケイセック。The Carsのフロントマンでありながら、プロデューサーとしても、90年代にはWEEZERの『The Blue Album』でパワーポップの金字塔を打った。ジャンルは違えど、どれもリック特有のポップさが効いている。彼の”MAGIC”で、クリブスのちょっと汗臭いパワフルな演奏は、オーデコロンをふりかけたような、甘く爽やかな、耳触りの良い音に仕上がっている。
「アンダーグラウンドな音を取り入れつつ、ビートルズのようなポップな曲をつくる(『THE CRIBS』ライナーノーツより抜粋)」。彼らのヴィジョンはデビュー当時からブレていない。何がインディだとか、何がメインストリームだとか、そういうのを関係なく、彼らの本分で音楽活動を続けている。だからこそ彼らを理解して、協力する人、付いてくる人たちがいる。”誰かのために燃えてるんじゃない”まさにそのとおり。『FOR ALL MY SISTERS』が証明してくれている。
『For All My Sisters』
【Writer】TJ(@indierockrepo)
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