最終更新: 2022年1月23日
独自の活動を続けるロックバンド・オワリカラ主催の都市型ライブハウスサーキットイベント『渋谷モンパルナス』が、第一回の熱狂から2年ぶりに復活!渋谷スペイン坂の隣接したライブハウス3つに、オワリカラが出会ってきたバンドたちが集結する。オワリカラという特殊なプラットフォームを中心に、バンド主催だからこそ集められる“今、ここでしか見れない組み合わせ”が実現する。オワリカラのフロントマンであり、イベントの主催者であるタカハシヒョウリに『渋谷モンパルナス』をもう一度企画した背景だけでなく、イベントを通じて発信していきたい事を聞いた。
アーティスト:タカハシヒョウリ(Vo./Gt.) インタビュアー:yabori
-どうして自主企画イベントを始めようと思ったのでしょうか?
タカハシ:一回目の“渋谷モンパルナス”というイベントを始めたのが、2013年4月20日なんだけど、この日がオワリカラの初ライブからほぼ活動5年に当たる日で。今までオワリカラってあまりシーン的なものに属さずにやってきたんですよ。メジャーでもアンダーグラウンドでもない、自分たち独自の面白いものをやりたくて。そういう感じで今までやってきたんだけど、恵まれてる事に良いバンドと出会う事が多かったんだよね。それを5年間やってきた事によってこのイベントができたし、出演バンドを俯瞰したら、オワリカラの歴史というか、一つの生き物が見えるフェスをやってみようと思ったんだよね。
-そうなんですね。“渋谷モンパルナス”というイベントのタイトルにはどのような意味がありますか?
モンパルナスってフランスにある道の名前なんだけど、“モンパルナス通り”というのがあって。駆け出しの芸術家が集まって共同生活しながら、作品を発表していたらしいんですよ。それをまねて日本でも“池袋モンパルナス”っていう、日本の芸術家が集まるムーブメントがあったそうなんだよね。そこでウルトラマンの怪獣を作っている高山良策っていう、初代のウルトラマンの造形を作った人がいるんだけど、その人もそこの出身で。これから世に出る芸術家が出て来るっていうのが、自分たちのやりたいイベントのイメージと重なったし、渋谷でやるっていうので“渋谷モンパルナス”という名前を付けたんだよね。
-今回のBELONGは、「バンドの自主企画」こそがロックシーンの“最先端”ではないかという特集をやっています。一見すると、テレビやネットが情報の最先端かのように思われがちですが、バンドが選りすぐった出演者を選び、同じ目的に向かって進んでいく自主企画こそ、自らシーンを生み出しているエネルギーがあるという意味で、最先端なのではないかという内容です。それにちなんで聞きたいのですが、今回のイベントを通じて、自分たちの周りから何か発信していきたい事はありますか?
モンパルナスはイベントを一つの生き物みたいにできたらっていうのがありますね。来てくれるお客さんも一つの細胞というイメージで、スペイン坂一帯が生命体になるっていう。僕がバンドを始めた時、自主企画って「夢」があった。「かっこいいバンドはかっこいいバンドを呼んでいる」って、ずっと思ってて。他のバンドには組めないようなイベントをやっている人たちって面白いし、かっこいいと思ったんですよ。しかも心意気が感じられるイベントがあれば、見ていて痺れることもあったし。それと意外性は大事にしてますね。そことそこが上手くハマると、こうなるんだ!っていうのを発信していきたいですね。
-まさに発表されたDE DE MOUSEとカーネーションが同じイベントに出るってすごいなと思いました。数多くのバンドの中から、出演者を選んでいると思うのですが、どのような基準で出演者を選んだのでしょうか。
もはや呼びたい人を呼んでいるって感じですね(笑)。このイベントはオワリカラの脳みその中を見せるって意味もあるんで、自分たちが呼びたいって思えば全部正解というか。このバンドとこのバンドがいたら、集客がどうなるんだろうってことはあんまり考えてなくて。一つのバンドがやってるっていう意図をダイレクトに伝えるのがモンパルナスの良さなんじゃないかなって思います。それは曲作りでやっている事と全く同じなんですよね。
-曲作りをするのと同じ感覚で、ブッキングしているって事ですか?
そうだね。このバンドを呼びたいってメンバー間で意見を出し合うのも、セッションみたいな感じで。音源の事もジャケットや、自主企画のアイデアもオワリカラだけでやっているので、自分たちで考えて声かけてという感じですね。
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-話は戻るんですが、前回のイベントはやってみていかがでしたか?
イベントが終った後、改めてタイムテーブルを見た時にね、この組み合わせは他のバンドにはできないものができたなって実感はありましたね。例えば、あがた森魚とキュウソネコカミが同じフェスに同じ感じで出るのって、他にないじゃないかと。オワリカラってバンドが自由な活動をやってきた証なのかなと思って、ほんの少しだけど誇らしかったですね。イベント自体は全てがかみ合って上手くいって、お客さんの数も完璧だったんですよ。ちょうどソールドアウトくらいで、全ての会場がまんべんなく満員になるかなっていう。出てくれたバンドに対しては感謝しかないですね。普通では出れないような条件だけど、オワリカラがやるってことでイベントに出てもらったりしたんで。大変だから二度とやりたくないなとも思ったんだけどね(笑)。これだけの納得できるメンツをもう一度揃えるのは無理なんじゃないかと思って。5周年のタイミングだったっていうのもあって、全てが上手く行ったのかなと。
-大変だったのに、もう一回モンパルナスをやろうと思ったのはどうしてでしょうか。
オワリカラでやってきた5年と同じくらい、この2年間は濃かったんですよ。だからこの2年の間に知り合ったアーティストに出てもらったら、もう一回できるんじゃないかと思ったのがきっかけで。ちょっとしたこだわりとして前回出てもらったアーティストには、まだブッキングしてないんですよ。そのせいで今すごく大変な事になっているんですけど(笑)。2回目ということで、今回は若手のバンドも呼びたいという思いもあって、関西からはプププランドが出ますし、水戸で活動しているMARQUEE BEACH CLUBも出ますね。そういう若手と、上の世代のカーネーションと、真ん中のオワリカラが出てるっていう、世代を問わない感じを目指して。
-プププランドも出るんですね!今、関西のシーンも盛り上がってきていますよ。
関西のバンドは横のつながりを大事にしているって気がしますね。東京だとライブハウスごとにシーンはあるんですけど、それがつながってくるってのはなくて。東京はバンドの絶対数が多いから、シーンはできにくいかもしれないんだけど。それと思うのは音楽性が似ているから、一つのシーンになったというのだとあんまり面白くないんだよね。音楽ではなくて、バンドの温度感やムードで集まる方が面白いと思っていて。例えばキュウリにハチミツをかけるとメロンみたいで美味しいんだよという感じで、新しい足し算を作るというか。『OH!MYコンブ』ですけど。それをバンドが提示するという事で、今まで自分にとっては色褪せて見えていたものが、組み合わせによって鮮やかになるって可能性があるじゃないですか。それがシーンを作るという事だと思うんだけど。言い換えるなら覚醒って事だと思うんだけど、それを自分の作る音楽にしろ、イベントにしろ求めていますね。
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-なるほど。今回のイベントでこだわっている部分はありますか?
タイムスケジュールは見ようと思ったら、全部のバンドを見れるようにしますね。もちろんフルでは見れないけど、頑張り様によっては少しだけでも全部見れるっていう。それとバンドの持ち時間は普通のフェスよりも長くしようと思ってて。代表曲をやるだけというのではなくて、それぞれの持ち味を出せるくらいの時間配分にしたいというのがありますね。それとイベントは無味無臭じゃなくて、バンドの体臭を感じられるようなものにできたら良いかなと思いますね。どうしてもイベントが大きくなると、無味無臭になるじゃないですか。みんな出ている、という。でもモンパルナスはせっかくオワリカラという匂いのあるバンド主催だから。どんなに消臭剤をかけても匂うようなイベントって、バンドがやらないと出来ないのかなと思って。
-なるほど。それでは最後に今回のイベントはどんな人に来て欲しいと思いますか?
お、良い質問ですね。そうだな・・・。オワリカラの事を信頼している人はもちろん来て欲しいんだけど、一番来て欲しいのは何も知らないけど、ムードに惹かれちゃったって人に来て欲しいですね。一つのムードの中、色んなバンドの演奏で踊ったり、歌ったりして新しい世界と出会う事ができたら最高だと思いますね。
※インタビュー後半は後日公開。内容はカナダでのライブとシングルについて
【Event】
オワリカラpresentsスペイン坂ロックフェスティバル『渋谷モンパルナス vol.2』
2015年9月12日(土)東京・渋谷の3会場(WWW / GARRET / CYCLONE)
※3会場往来自由
出演:People In The Box / SuiseiNoboAz / つしまみれ / プププランド / オワリカラ / DE DE MOUSE / カーネーション / 撃鉄 / カラスは真っ白 / MARQUEE BEACH CLUB …and more
チケット料金:3,800円(1ドリンク代込み)
※チケット一般発売中:e+ / ローソン / ぴあにて
※オワリカラのライヴ会場およびGARRET・CYCLONE店頭にてリストバンド直接販売中
【プロフィール】
2008年結成。gt.voタカハシヒョウリの歌世界とメンバー4人のアンサンブルは激しく耽美、変幻自在。「終わり」と「始まり」二つの言葉が示すとおり、ポップとアヴァンギャルド、未来と過去の架け橋となる「最重要」ロックバンド。
【BELONG Magazine Vol.12は特集ページにて、オワリカラのインタビュー掲載】
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