最終更新: 2020年6月21日
GLIM SPANKY(グリムスパンキー)がデビューアルバム『SUNRISE JOURNEY』をリリースした。
今回のインタビューは松尾レミ(Vo./Gt.)、亀本寛貴(Gt.)にデビューアルバム『SUNRISE JOURNEY』について、前編・後編に分けて聞いた。
今作『SUNRISE JOURNEY』を松尾レミは“決意と始まりの歌”と表現したが、それが意味するものとは?
目次
GLIM SPANKYとは
アーティスト:松尾レミ(Vo./Gt.)、亀本寛貴(Gt.) インタビュアー:桃井 かおる子 撮影:Masahiro Arita
-GLIM SPANKYという名前の由来について教えて下さい。
松尾:高校一年生の時にケルト文化が好きで、イギリスやアイルランドの妖精や古城とか森には伝説があるみたいなんですよ。その記録を研究者が綴った本を読んでいたんです。その中にゴブリンみたいな鬼が持つともし火をグリムって言うそうで、そのグリムって幻想的な言葉と、スパンキーという音楽業界に一発殴りこんでやるっていうのを掛け合わせて、GLIM SPANKYにしました。この名前には幻想的な曲もあるけど、攻撃的な曲もあるよっていう音楽性も表現していますね。
結成のきっかけ
-お二人は同じ高校に通われていたそうですが、結成について詳しく教えて下さい。
松尾:高校一年の文化祭でコピーバンドをやりたくてGLIM SPANKYを結成したんです。その文化祭が終わった後にメンバーの交代があって、校内中探し回ってギターとベースが
新たに入ったんですけど、その時に亀本に出会ってオリジナル曲を作り始めました。その後は大学進学とともに東京でやってやるぞって上京を決めていたんですけど、亀本は1学年上でもう名古屋に進学していたんです。だけど東京に来ないかと電話したら行くって言ってくれて、そうしたら大学を辞めたんです。
亀本:名古屋の大学には一年の夏まで行っていたんですけど、東京に行くってなってから、大学を受け直しました。
松尾:その時に就職する人と東京行く人に別れて、それまで4人だったのが今の2人になりました。
-松尾さんから東京へ来ないかとお電話かかってきてどうでしたか。
亀本:名古屋に進学した時は、こっちで別のバンドやろうかなってメンバー探していたんですけど、なかなかいい人がいなくて。(松尾は)ボーカルもいいから東京でもやれるんじゃないかと思っていたんで、どうせやるならそっちの方が良いなと思っていたんです。だから迷いはなかったですね。絶対成功するというか、物になると思っていたので行こうって決めました。
-相思相愛だったんですね(笑)。
松尾:そうですね(笑)。そうじゃないと音楽を作れないので、すごくいい関係だと思います。
『SUNRISE JOURNEY』の意味
-それでは今回のアルバムの話に移りたいのですが、今作のタイトル『SUNRISE JOURNEY』には、どのような意味が込められているのでしょうか?
松尾:この曲を作ったきっかけはメジャーデビューしてすぐの時だったんです。上京してきてからの4年間はライブハウスでお客さん1人や2人でやってきたんですけど、周りの友達のバンドは先にデビューしたり、解散したり、変化していて。それがバンドにとって自分たちの前をバスが通り過ぎていくような気分だったんです。その間にいろいろな事務所からオフォーが来る事もあったんですけど、それは自分たちが乗るべきバスではないと思い続けて待っているような感じだったんです。メジャーデビューの話が決まって、ついに自分たちが乗るべきバスがやってきたと思えて。今から行き先は分からないし、どこに着くかも分からないけど、自分たちのための太陽が昇って、これから旅がはじまりますというタイトルと曲にしました。決意と始まりの歌です。
-今作はプロデューサーに亀田誠治さんといしわたり淳治さんを迎えていますが、なぜこのお二方を起用することになったのですか?
亀本:レコード会社のディレクターが、最初の1枚目は絶対に淳治さんがいいって提案してくれて。淳治さんは新人バンドをデビュー当時からやっているのが多いからいいなと。亀田さんもシングルやタイアップで多く人に初めて聴いてもらう楽曲に、お!っと思わせるようなサウンドのチャームポイントをうまく作ってくれるプロデューサーだと思うんで亀田さんに頼みました。
松尾:デビューする前に、亀田さんの主催するイベント(子亀祭)に出させていただいて。面識もありましたし、デビュー前のGLIM SPANKYも知ってくれているんです。その時に音の話もしたことがあって、信頼関係が出来上がっていたので、お願いしました。今考えるとあの時、亀田さんと出会っていて良かったと思いますね。
-7曲目に収録されている「さよなら僕の町」は、収録曲の中で唯一、ご自身によるプロデュースの曲ですよね。お二人の母校の美術室で録音された音源のようですが、なぜこのようにして作ることにしたのか詳しく教えて下さい。
亀本:アルバムにバリエーションを持たせたかったので、アコースティックの曲を入れようと思っていたんですよ。でも普通のスタジオで録っても面白くないんで、どうせだったら自分たちの母校の思い入れのある場所で録った方が面白いんじゃないかって話になって。さらに別々に録るんじゃなくて、一本のマイクで一発録りでやろうよって決めて、もう音作りも何も無いただの演奏なんですけど(笑)。
松尾:音を録るっていうよりも空気感を録るというレコーディングにしたくて。「さよなら僕の町」は高校3年の終わりに書いたんですけど、上京する時の決意とかを込めていて。デビューアルバムだからこそ、これを入れるべきだと思っていて。きっと一枚目じゃないと、この曲は多分もう入れることはないだろうと思ったら、この感情を音に込めるには一個一個マイクで録ったきれいなサウンドじゃなくて、ライブ音源をそのままいじれない状態で録った方が伝わるんじゃないかって気がしたんです。GLIM SPANKYはサウンド面で生々しさを大事にしているんです。人が演奏している熱を感じられる音楽が好きで、最近の傾向だと技術も発達して、すごくきれいに耳に入る音が多いと思うんですよ。そういうものもいいんですけど、自分たちがやるなら生で人が弾いてるんだなっていうのが分かるようなのにしようっていうテーマがあって。今までもデビューミニアルバムから一発録り音源を入れ続けていたんで、今回もアルバムの中にそういう音源を入れたいっていうのはありましたね。
-小学校の音楽室で合唱を録音して皆で聴いてみようっていう、あの感じを思い出して、皆が懐かしくなれる曲だなって思いました(笑)。
松尾:そうですよね、やっていることは同じなので(笑)。音量を大きくして聴くと、実は外の野球部の音やギターが何かにぶつかってカタカタ震える音とかも入ってるんです。全てが聴こえるように教室のど真ん中にマイクを立ててやっていたので。そういうのも良しとしてレコーディングしました。
-空気感を大事にしているんですよね。他の曲も雰囲気作りにこだわった部分はありますか。
亀本:他の曲というか今回の曲作りにいえる事なんですけど、パソコンでデモ音源を作って、それを淳治さんに渡して作業するって感じなんですよ。その時点ではスタジオで音作りはしていなくて、デモの段階だとあんまり空気感が出なかったりして。でも自分の出したいアンプでドーンって音を出してみると、しっくりきたりするんで、そういう質感って大事なんだなって改めて思いました。
松尾:アンプにマイクをどれだけ近づけるとか遠ざけるとか、そういう加減はエンジニアさんがやってくれるんですよ。空気感を録ってほしいって要望だと、普通はアンプに近づけて録ったりするんですけど、あえてかなり離して鳴っている空気まで録るって方法も提案してくれたり、エンジニアさんもすごくこだわってやってくれているんです。なのでいい意味で隙間のある生々しいサウンドになっているかなって思います。亀田さんの場合だと、レコーディングの部屋が広いので、それぞれ下を向いてでも録音できるんですけど、バンド感を出そうって事で、「輪になってー!みんなー!いけるかー!」みたいな感じで亀田さんが盛り上げてくれて(笑)。周りにいるスタッフをすごく信頼してできる環境にいるので、リラックスしてストレスフリーに活動できていますね。
リリース
シングル『ストーリーの先に』
発売日: 2019/11/19
レーベル: UNIVERSAL MUSIC LLC
収録曲:
01.ストーリーの先に
02.Breaking Down Blues
03.Tiny Bird
4thアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』
発売日: 2018/11/20
レーベル: UNIVERSAL MUSIC LLC
収録曲:
01.4 Dimensional Desert
02.Love Is There
03.TV Show
04.ハートが冷める前に (アサヒ飲料「WILKINSON」コラボレーション曲)
05.The Flowers (三越伊勢丹グループ『2018花々祭 WILD FLOWERS~花を愛する人々~キャンペーンオリジナルソング』)
06.In the air (モバイルのために生まれたオーディオブランド『GLIDiC』タイアップ曲)
07.愚か者たち (映画『不能犯』主題歌 / AbemaTV『格闘代理戦争2ndシーズン』主題歌)
08.Hello Sunshine (メ~テレ『デルサタ』『デルサタ11』番組テーマ曲)
09.All Of Us (テレビ朝日系列ドラマ『警視庁・捜査一課長 season3』主題歌)
10.To The Music (NHKワールドJAPAN・BSプレミアム『J-MELO』エンディングテーマ)
11.Looking For The Magic
3rdアルバム『BIZARRE CARNIVAL』
発売日: 2017/9/13
レーベル: Universal Music LLC
収録曲:
01.THE WALL
02.BIZARRE CARNIVAL
03.The Trip
04.吹き抜く風のように
05.Velvet Theater
06.END ROLL
07.Sonntag
08.ビートニクス (映画『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』主題歌)
09.美しい棘
10.白昼夢
11.アイスタンドアローン
2ndアルバム『Next One』
発売日: 2016/7/20
レーベル: Universal Music LLC
収録曲:
01.NEXT ONE
02.怒りをくれよ
03.闇に目を凝らせば
04.grand port
05.時代のヒーロー
06.話をしよう
07.NIGHT LAN DOT
08.いざメキシコへ
09.風に唄えば
10.ワイルド・サイドを行け
1stアルバム『SUNRISE JOURNEY』
発売日: 2015/7/22
レーベル: Universal Music LLC
収録曲:
01.焦燥
02.サンライズジャーニー (※テレビ東京「Crossroad」番組テーマ曲)
03.褒めろよ (※テレビ東京「太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~」主題歌)
04.MIDNIGHT CIRCUS
05.踊りに行こうぜ
06.夜が明けたら
07.さよなら僕の町
08.WONDER ALONE
09.ロルカ
10.大人になったら
11.リアル鬼ごっこ (※山田悠介原作・園子温脚本/監督映画「リアル鬼ごっこ」イメージソング
プロフィール
“ロック、ブルースを基調にしながらも、新しい時代を感じさせるサウンドを鳴らす男女二人組ロックユニット。
アートや文学やファッション等、カルチャーと共にロックはあることを提示している。
ハスキーで圧倒的存在感のヴォーカルと、 ブルージーで感情豊かなギターが特徴。
ライブではサポートメンバーを加え活動中。”
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インタビュー記事
ルーツ記事
Magazine(グリムスパンキー掲載号)
BELONG Mediaが発行するVol.22,25にて、グリムスパンキーのインタビューを掲載。
- Vol.22(500部限定)
- Vol.25(500部限定)
有料雑誌化第一弾となるVol.22の表紙はVol.5で表紙を飾ったTemplesと、グリムスパンキーの独占対談を掲載!
有料雑誌化第4弾となるVol.25の表紙はフルアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』をロサンゼルスでレコーディングしたグリムスパンキー!20ページ超で彼らが影響を受けたUS西海岸カルチャーを特集。音楽の背景だけでなく、松尾がいきつけの古着屋HAIGHT&ASHBURYにも60’sファッションの魅力について聞き、ルーツとなったカルチャーのバックグラウンドを徹底的に検証する。