!!!_piper_ferguson-2015
アルバムタイトルに込められた『As If』が意味するように、“もしこれが・・・だったら”という想像力を働かせた今作は、Diana Rossやエリカ・バドゥだけでなく、テイラー・スウィフトやカニエ・ウエストなどの名だたるアーティストからポップさのエッセンスを汲み上げ、!!!史上最高のポップアルバムを作り上げた。彼らが追求したポップさについて、フロントマンのニック・オファーに聞いた。

アーティスト:ニック・オファー(Vo) インタビュアー:yabori 通訳:原口美穂 写真:Piper Ferguson 2015

-新作アルバムのタイトル『As If』にはどのような意味があるのでしょうか。
ニック:このアルバムに収録されている曲にはそれぞれ特徴があって、制作中は、全ての曲に違いをつけることを意識していたんだ。”もし(As if)この曲がモータウンバンドの曲だったら”とか、”もしこれが90年代のハウス・レコードだったら”、”もしこれがテクノのプロジェクトだったら”…そんな感じで曲を作っていった。つまり、この”As If”は、その曲がどんな曲なのかを想像させる言葉なんだよ。もう一つは、ちょっと生意気な”気にしてられるか!”っていうスラング。その2つの意味を持ったのが新作のアルバムタイトルなんだ。

-「Freedom! ’15」はLoleatta HollowayやDiana Rossの楽曲がベースにあるそうですね。これらの曲を!!!の楽曲へ落とし込むときに、工夫した事があれば教えてください。
曲を作っている時は、ただアコースティック・ギターに乗せて歌を歌っていただけ。!!!風にするために、何か特別なことをするわけじゃないんだ。!!!らしさというものはもうバンドのDNAの中に存在しているから、自然とそうなるんだよ。だから、あるスタイルを取り入れたい時は、それを研究する必要もない。受けてきた影響は自分の中に染み付いているから、そのフィーリングを基に!!!として曲を書くだけなんだ。

-色々な要素をミックスして一つにまとめるのは難しいのかと思っていましたが、!!!にとっては意外と簡単だったり?
簡単とまでは言わないけど、そういう作り方の方が興奮するんだ。特に、今まで試した事のない要素を取り入れる時なんかはね。それって、俺たちにとってはすごくエキサイティングなことだから。

-またこの曲について“できる限りありのままの姿になろうと、装飾を削ぎ落としている”とおっしゃっていましたが、こうしようと思ったのは何かきっかけがあるのでしょうか。またどうしてこうしようと思ったのでしょうか。
その考えは、常に頭に置いておくべきアイディアだと思う。プロセスの中には、常に振り返るべき瞬間があるんだ。特にポップ・ソングを書く時には、ミニマルさが重要になってくる。本当に必要な役割を果たすものだけを残す必要があるんだよ。複雑すぎたり、厚すぎてはいけない。だから、装飾を削ぎ落として音の本来の姿を活かそうと思ったんだ。

-”原点に帰る”という考え方とはまた違うんですよね?
違うね。”原点回帰”はウータン・クランのアルバムが良い例だと思う。皆ファースト・アルバムが大好きで、それ以降のアルバムはあまり受け入れられていなかった。だから彼らは原点回帰を試みて、ファースト・アルバムと同じサウンドを作ろうとしただろ?俺たちは、それは絶対にやらない。俺にとっては、それをやることの方が逆に怖いね。

-なぜ、「Freedom! ’15」に関して装飾を削ぎ落とそうと思ったのでしょうか?
いや、この曲にかぎらず、シンプル化という考え方は常に意識しているよ。このアルバムは、他の作品よりも特にそれを意識したかもしれない。『Myth Takes』あたりからそれを意識し始めて、それ以降のアルバムはもっともっとシンプルになっていったと思う。今までの!!!の作品の中でも、「Sick Ass Moon」が一番シンプルなんじゃないかなと思うしね。プロセスが自然とそうなっているんだよ。

-「Sick Ass Moon」の解説では、ヴォーカルの鳴り方や雰囲気を変えてみてもいいなって思ったとおっしゃっていますが、どうして変えてみようと思ったのでしょうか。
これは面白い曲で、ラファエルがR&Bのサンプルを使っているんだけど、それでラファエルが、”この曲はR&Bっぽいヴォーカルでいこうと思ってるんだ”と言ってきた。それで彼がGoogleで”R&B アカペラ”を検索したんだけど、最初にヒットしたのがエリカ・バドゥの曲だったんだ。俺たち全員が彼女のファンだし、とりあえずそれを基に一晩中かけて色々と試してみることにした。それが始まりだったね。なんか、一瞬で自分が行くと思わなかったけど行きたかった場所に移動したような、そんな感覚ってあるだろ?そんな感じだった。だから、ソングライティングはすごくスムーズだったんだ。その音楽のファンだからこそその書き方が出来るんだと思う。その音に瞬時に魅力を感じて、そこが曲作りの原点になるわけだからね。”もしこのジャンルだったら”という考え方で曲作りを初めても、上手く行く時と行かない時がある。この場合は、エリカの曲というアイディアを見つけてからどんどん曲が出来上がっていったんだ。

-ヴォーカルの鳴り方や雰囲気を変えた結果、今までで一番ポップなアルバムになったのではないかと思います。レコーディングで聴きやすくする為に工夫した事があれば、教えてください。
確かに、ここまでポップになるとはね(笑)。さっきと同じで、工夫は特にないよ。ただ制作過程を楽しむだけさ。ポップな作品を作るということ自体が正にチャレンジなんだ。俺にとってのポップとは、その作品の中で全の音が機能している作品。例えば、テイラー・スウィフトの作品は、全てがきっちりとデザインされているから飽きることがない。「Every Little Bit Counts」もそれと似ていて、全てがすごいスピードで進んで、常に何かが加わってくる。だからある意味、あの曲は複雑でもあるんだ。さっきシンプル化の話をしたけど、超シンプルというわけではない。ポップを作るアーティストには2つのタイプがあると俺は思っているんだけど、まず一つは金を稼ぎたいというタイプのアーティストたち。そしてもう一つのタイプは、ソングライティングが上達していって、より効果的なサウンドが作れるようになるから結果的にポップが出来上がっていくというタイプ。俺たちは後者で、今までで一度も金のためにポップを作ろうと話し合ったことはない。そういうことはやらないっていうのはメンバー全員が百も承知で、俺たちは、ただ自分たちに出来ることをやっていこうという方針なんだ。そうやって出来上がったのがこのレコードなのさ。

-先ほども少し話しましたが、!!!の音楽はロックからクラブ・ミュージックだけでなく、ジャズまで幅広い音楽性があると思うのですが、多くの音楽を!!!の音楽として、まとめていく作業はとても大変ではないかと思います。どのようなプロセスを経て、1つの楽曲を仕上げているのでしょうか。
俺たちの曲作りは、とにかく何でもアリ(笑)。出来るだけ沢山のプロセスに挑戦しようと心がけているんだ。だからこそ、レコードに変化が生まれる。ドラムマシンの周りに音をつけていくだけじゃなくて、俺が作ったものをラファエルに送ったり、ラファエルが作ったものを俺に送ってきたり、俺がインストを作って彼がボーカルを作る時もあれば、俺がボーカルを作って彼がインストを作る時もある。そこからグループでジャムしたり、ループをカットしたりする。ジャムは、バンドにとって重要な要素の一つ。そこから色々な音が生まれるから、曲作りにおける大事な側面なんだ。

-曲が出来上がる期間もプロセスによってそれぞれ違うんですね?
そう。10分で出来上がる曲もあれば、10ヶ月かかる曲もあるよ。

-以前のインタビューでは、色んなアーティストの新作から影響を受けると聞きました。この前はカニエ・ウェスト 『YEEZUS』から影響を受けているとのことでしたが、最近ではどのような新作の影響を受けましたか?
今回はカニエの「All Day」(笑)。

-またカニエなんですね(笑)。
「Freedom! ’15」を作っている時で、その為に丸一日ずっとディスコを聴いていたんだけど、カニエの「All Day」を聴いた瞬間、ああいうベースが欲しくなったんだ。あのトラックを聴いた瞬間、皆で興奮したよ。まあ、君が言う通りいつもカニエだな(笑)ヴィンス・ステイプルズとか、ケンドリック・ラマーとか、フューチャーとか、最近はよくヒップホップを聴いてる。あとは、ニーナ・クラヴィッツとかメイシオ・プレックスとか、ダンス・ミュージックも常に聴いてるよ。

-『As If』はどのような人に聴いてほしいと思いますか?
賢くて、自分の人生を生きている人たちに聴いて欲しいね。音楽は、コミュニケーションをとるために作るもの。つまり、誰とコミュニケーションを取りたいかってことだよな。そうなると、答えはそこになる。超クールで、知的で、ゴージャスで綺麗な人たち(笑)。

-おバカさんたちはどうでしょう(笑)?
超バカで、つまんない奴らはゴメンだね(笑)。

-最後に!!!のライブを楽しみにしている日本のファンへメッセージをお願いします。
出たよ、この質問(笑)。日本のインタビューにはこの質問があるってわかってたから、その時に何て言おうか考えててそのままだった(笑)。何て言おうかな…優しさを忘れずに。MP3をダウンロードしまくって、人に優しく(笑)。だな。

-すみません。もう一つだけ聞かせて下さい。BELONGには、“Roots Rock Media”というコンセプトがあるので、!!!のルーツに当たるアルバムについて3枚教えて欲しいです(3人に共通してルーツだと言えるアルバムを挙げるのが難しい場合は、今回のアルバムの制作時に参考にしたアルバムを教えてください)。またその3枚はどのような部分であなた方の音楽とつながっていますか?
シックの『C’est Chic』に、ソニック・ユースの『Washing Machine』。あとは…ミッシー・エリオットの『Supa Dupa Fly』。シックは、俺たちがパンク・ロッカーだった頃に初めて理解したディスコだから。あのアルバムは常に聴いてきたし、ギターでも大きく影響を受けてるんだ。それに、あのレコードの存在があったからこそダフト・パンクを理解出来た。変わった音楽だと思っていたけど、面白みを感じるようになったんだ。彼らのレコードを知っているのは自分たちの周りで俺たちだけだったっていうのもクールだと思ったしね。ソニック・ユースは、俺たちに曲というものがどこまで大きくなれるかを教えてくれたバンドのひとつ。『Washing Machine』に収録された曲には、全て大きなスペースがある。「Me and Giuliani Down by the School Yard」なんかは、あのアルバムに大きくインスパイアされてるんだ。ミッシー・エリオットのアルバムは、パンク・ロックにハマってから、しばらくポップが嫌いな時期があったんだけど、あのアルバムを聴いて、”このアルバムはなんてポップでキャッチーなんだろう!”と興奮した作品。あのアルバムを聴いてから、またポップ・アルバムをエキサイティングだと思うようになったんだ。

【Live】
大阪公演:
2015.10.08 THU @ FANJ TWICE
GUEST: 空きっ腹に酒

東京追加公演:
2015.10.09 FRI @ LIQUIDROOM
GUEST: KINDNESS (DJ SET) / YOUR SONG IS GOOD / KZA / Dorian / Carpainter / tomad / !!! DJs

『As if』 NOW ON SALE

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