最終更新: 2020年5月14日

『Make Believe』インタビュー

Orca Shoreライブ写真

アーティスト:Shohei Megumi(Vo,Gt)、MishioHoriuchi(Vo,Gt,Syn)、Daiki Sano(Ba)、Koji Shibano(Dr,Cho) インタビュアー:桃井かおる子、yabori

-Orca Shoreというバンド名について聞きたいんですが、直訳すると“シャチ海岸”になりますね。どうしてこの名前にしたのでしょうか。
Megumi(以下M):2週間くらいバンド名のことで悩んでて。全然決まらなかったんですよ。
Horiuchi(以下H):Dirty Projectorsってバンドの『Bitte Orca』ってアルバムを聴いてて、Orcaってかっこええなって思って。意味を調べてみたらシャチだったんですけど、シャチって白黒だしかっこいいなって。
M:それでたまたまその時に、“Shore”をバンド名に入れたいって話してて。それで組み合わせると“Orca Shore”になって。その響きが気に入って決めました。
Sano(以下S):一ヶ月近くずっとバンド名を決めるだけでスタジオ入るって事もありました。なかなか決まらんなぁって感じでしたけど、一ヶ月後にぽんと決まって。

-最近のアメリカのインディー・ロックって、海を連想させるアーティストが多かったので、その影響もあるのかなと思うんですが、その辺は意識されましたか? 
H:多いですね。でも僕らはUKロックっぽいって言われることがめっちゃ多いんですよ。

-そうなんですね。では今回のアルバムタイトル『Make Believe』にはどういう意味が込められているのでしょうか。
M:『Make Believe』ってタイトルも直前まで決まってなくて。レコーディングが終わってから決まったんですよ。タイトル曲になった「Make Believe」もまだタイトルが決まってなくて。最初は「Jesus」って仮タイトルやったんですよ(笑)。

-この一曲だけ雰囲気が違いますよね。
M:宗教的な雰囲気があるんで、最初はそれっぽい仮タイトルをつけていて。この曲はKula Shakerの様なヒンディー語コーラスみたいなものを意識しています。実はこの女性コーラスのパートは僕の妹が担当しているんですよ。

-そうだったんですか!この曲はコーラスの重ね方すごいなって思って。
H:ミックスにすごい時間かかりました。
M:少し話を戻すと“Make Believe”っていう単語はかめ君(Horiuchi)が出してくれて。
H:アルバム名を考えるっていう時にまだ何も考えてなく。良いタイトルない?って話になって、僕が適当に作ったジャケットに“Make Believe”って言葉を入れてて。それ合うんちゃう?って。

-それはどういう発想で出てきたんですか?
H:音楽をやってたら影響受けてるものって、真似に近いじゃないですか。だからこの曲もアルバムに入ってるものも全部、その影響受けた曲から来ているんやなと思って。だから“Make Belive”ってタイトルにしました。
M:というのも、“Make Believe”ってイディオムで“ごっこ遊び”という意味があって、何かの役を演じるみたいな意味もあるんですよ。日本語にはっきり訳せないんですけど、真似をするとか成りきるみたいな。そういう“Make Believe”っていう字面だけだったら連想できない意味もあって。かめくんからこの言葉聞いたときにピンときて。
最後の「Make Believe」って曲は、途中で3拍子から4拍子にスイッチするんですが。

-確かにリズムが変わりますよね。
M:それは僕のJohn Lennonへの憧れからきてて。彼の曲は3拍子から4拍子にスイッチする曲がいっぱいあるんですけど、それがやりたくて。“Make Belive”って字だけ客観的に見たら、夢を作り出すって意味に思えるかもしれないですけどね。
H:バンド名と一緒でたまたま決まったみたいなところはありますね。

-“Make”と“Believe”って、あんまり英語が分からない人でも意味的にはつかみやすいですよね。
H:そうですね。シンプルゆえに深読みできる感じも出したくて。
M:タイトルもそうですけど、ジャケットもそういう部分がありますね。ジャケットの写真って化石燃料の発電所なんですよ。原子力発電所って思われることが多くて。これは何か深い意味があるのかってことを言われることが多いんですよ。これもラベルであって、本当はただの化石燃料の発電所っていう。その部分が“Make Believe”っていうのと同じで、タイトルはあくまでラベルっていうだけで。そういう演じるっていう部分があるんで。これも原子力発電所って思われるやろうけど、実際は化石燃料の発電所やもんなって話してたんですよ。そういう時に“Make Believe”って言葉が出てきて。意味的にもしっくりくるなと思って。

-この写真は自分達で撮ったんですか?
H:レコーディングしてる時に、エンジニアのパソコンのデスクトップにこの写真があって。全員がこれかっこええってなって。
S:エンジニアの人がスコットランド旅行に行った時、車の中から撮った写真らしいんですよ。旅の思い出の写真っていう。だから本当に偶然なんですよ。
H:この建物についてめっちゃ調べたんですけど、建てられた年が1969年らしいんですよ。僕らが大好きな音楽が始まった年っていう。また超運命的でした。

-このジャケットはどういう感じで作ったんでしょうか?写真をもらってそれを加工して作った感じがしますよね。
H:エンジニアからその写真をもらって知り合いのデザイナーに作ってもらいました。
S:僕は神戸の芸術系の大学に行ってて、その大学の先輩に作ってもらってるんですよ。その方はもう大学を卒業したんですけど、今でもデザインをやってもらってて。
M:デザイナーの方と作品をどうするかについては直接ディスカッションして、編集も一緒に同席してやってますね。

-結成のいきさつについて教えてください。
M:だいぶ遡るんですけど、小学校4年生の時にベースのSanoが転校してきて。そこからずっと友達で。音楽もオススメのものを交換していて。当時はWhite Stripesやガレージロック系の音楽をずっと聴いてて。大学になった時に僕がバンドを単独でやってたんですけど、そのバンドのライブにSanoが遊びに来てくれて。その時には神戸でSanoとかめくんが友達になってて。
S:大学が神戸なんで引っ越して、その先でかめくんに出会ったんですよ。
H:たまたま出会ってめっちゃ仲良くなって、家に行ったらKula ShakerのCDがあるし。Kula Shakerのコピーやってる友達がいるって教えてくれて。ライブを映像見たらめっちゃ上手くて、それがMegumiだったんですけど。そのバンドのライブを見に行こうって話になって、そこから友達になりましたね。
M:そこからSanoの家に3人で集まって遊ぶ機会が増えていったんですよね。この時点でまだKojiが登場してないんですけど(笑)。
一同:(笑)。
M:そこから半年して、僕らの前身バンドになるLauraってバンドを結成して。その時は僕ら三人とドラムとピンボーカルがいて。

-もともとはボーカルじゃなかったんですか?
M:そのバンドでは僕はボーカルじゃないんですよ。ドラムも他の人がいて。もともと僕は友達やったんですけど、先にこの二人(SanoとHoriuchi)とそのボーカルの人とドラムの人が4人でバンド組んでて。僕が遊びに行ったら急にバンドに入ることになって。その時は全部かめ君が曲を作ってて、僕ら二人はボーカルじゃなかったんですよ。
H:やりたいことばっかりずっとやってた感じのバンドで。結局色々あって解散したんですけど。
S:ドラムの人は就活とかもあって。

-そのメンバーは大学を卒業したら社会人になりますって感じでやってたんですね。
H:そうですね。僕ら三人は音楽をやりたいと思ってて。
S:そういう時にKojiさんと出会って。
Koji Shibano(以下K):僕は以前The fin. の前身バンドでドラムをやってたんですよ。

-え?あのThe fin.のメンバーと一緒にやってたんですか?
K:そうなんですよ。The fin.を抜けた後に誰か面白い人おれへんかなって探していたら、対バンしてたときに、たまたまかめが僕のTwitterをフォローしてくれてて。Twitterのプロフィールを見た時に、Radioheadの『In Rainbows』のジャケットがヘッダーに貼ってあって。あ、趣味合うかもしれんて。
M:そこだけで(笑)?
K:いきなりメッセージ送って、あの時対バンしたKojiやけど遊ばへん?って。喋ってみたら、好きな音楽のプロデューサーが同じってぐらい趣味があって。かめが自分のSound Cloudに作った曲をアップしてて、それがLauraでやってない曲も色々あったんで、そういう曲を音源化してやっていけたらいいなって思ってたタイミングで、お互いのバンドが行き詰まっていたんで。なら一緒にやろかって。
S:僕も大学で服飾やってたんですけど、服飾に戻ろかなってちょうど考えてた時期で。そのKojiさんに声をかけてもらって、真剣にバンドやろうやって事で。

-そこから頑張って音楽をやってみようと。
M:そうですね。Kojiが前にやっていたAstro Attackってバンドはバチバチのシューゲイズのバンドで、音もタイトでストナー系のロックっぽい部分もあって。
K:もともとバンドのやってた曲が、シューゲイザーやストーナー系の音楽が好きな人やって。僕のドラムもタイトでパワーヒッター系やったんですよ。ボーカルのMegumiもQueens of the Stone Ageがすごい好きやって、それで僕のドラム自体も気に入ってくれてて。

-そうなんですね。ではアルバムの話に移りたいと思います。まずOrca Shoreは日本のバンドなのに英語で歌っていますよね。これはどうしてでしょうか。
M:英詩で歌う理由は、曲作るときにメロディーを口ずさむじゃないですか。それが英語でしか合わないんですよ。曲に日本語がはまらないんですよね。それと海外の人にも聴いてもらいたいっていうのもあって。海外で注目されて、日本に逆輸入できたら最高だと思います。鍛えるためにも英語で全部作っていく感じですね。あと親が英語教師なんですよ。完全にネイティブレベルで喋れて、よく家に知人のアメリカ人が来たりしてて。英語の発音はずっと聴きなじみがあったんで。
H:聴いてきた音楽から来ているというのもあると思います。

-楽曲制作は二人が中心で進めていく感じでしょうか?またリズム隊の二人は楽曲制作の時にここをもっとこうした方がいいんじゃないとか、アイデアを出す事もありますか?
K:根本的なところはこの2人が中心に作って、それに対してスタジオで合わせてますね。ここをちょっと変えようかとか、2人の求めてるリズムがどういうのかなって考えてベースと一緒に広げていく感じですね。
S:ベースを弾いてからフレーズをスタジオに持っていって、そこからどんどん合わせていってます。そこからアイデアを試してみてという流れですね。

-4人で意見を出し合うっていう感じなんですかね?
H:アレンジも良いか悪いかみたいな感じは全員で決めて、4人の意見が同じだったらそのままいこうって。

-今回のアルバムで苦労した事はありましたか?
H:今回のアルバムはすごい時間がかかりました。今年の初めぐらいから曲は決まってたんですよ。だからレコーディングしてミックスっていう作業で止まって。

-ミックスに一番時間をかけたんですか?
H:そうです。一か月くらいずっとやってました。みんなやりたいことが多すぎて。
S:最初は3、4日で終わる予定やったんですけど、まとまらなくて。
H:ミックスの時に意見の食い違いが多くて。最終的にはこれが正解っていうか、辿り着いた所があって。
M:このアルバムは全員の意見が一致して、この一枚になっているんですよ。

-この曲作るの時間かかったっていうのはありますか?
M:「Make Believe」ですね。
H:レコーディングするまでに決まっていない部分がいくつかあったんですよ。だからレコーディングも時間がかかったし、ミックスにもすごい時間かかりました。

-この曲はコーラスの重ね方がすごいですよね。
H:ありがとうございます。
M:実はコーラスに関しては時間がかからなかったんですよね。曲ができた時点でメロディーと一緒にコーラスが浮かぶんで。この曲は4部構成くらいになってて、曲を分けるとそのアレンジが無限に出てくるんですよ。スタジオで作ってる時にどれが良いのか分からなくなってきて。それを選ぶのに一番時間がかかりましたね。もっと付けたした方がいいのか、もっと短くして2部構成くらいにした方が良いのか悩んで。4拍子に移るところで変わるのをもっと強調した方がいいのかなとか。逆に4拍子になってるけど、分からないようにした方がいいかとか。

-私はこの「Make Believe」ってアルバムに収録されてる他の曲と音質が違うなっていう印象を受けてて。すごく広がっていくイメージがあって、音が膨らんでいくように聴こえたんですよ。
M:そうですね、最後は管楽器の音も入ってるですよ。ギターと管楽器のフェイドイン・アウトの流れをめちゃくちゃ練ってあって。雲の中につっこんでいって、一番最後に抜けるっていうイメージで作ってます。そのイメージを出す為に僕の声がどんどんなくなっていって、最後は金管の音だけが残って。そこ辿り着いた時にはひずんでるギターの音も完全に消えてるんですよね。そういう風に広がりは感じてもらえるように工夫しました。

-なるほど。それでは今回のアルバムのコンセプトについて教えてください。
M:実は今回のアルバムは特にコンセプトを設けてなくて。この7曲を収録するために曲を作っていった訳じゃなくて、僕らが結成した時から作った曲を順番に入れただけなんですよ。
H:コンセプトはないんですけど、曲順はこだわりました。「Make Believe」で終わるか、「Higher In The Chamber」で終わるかっていう。この2曲はライブでよくやるんですけど、最後にくる曲はどっちかなんですごい悩みました。あとから気付いたんですけど、僕らのアルバムの曲順って昼と夕方と夜みたいな感じになってて。昼から始まって3、4、5曲目ぐらいから夕方になっていって。6、7曲ぐらいで夜になるみたいな。
M:トレイラーの映像があるんですけど、その映像もそのままそれを具現化してるんですよ。

-なるほど。最初のアルバムの始まりがテープレコーダーのスイッチの音っていうのも何か意味があるのかなと思って。
H:実はその曲だけ一年くらい前にレコーディングしてて。その時からイントロのイメージはずっとあって。ちょっと音がこもってる感じを出したかったから、そこはアナログみたいなイメージなんですよ。その時、スタジオに自分のカセットテープを持って来てて。この音入れたいってエンジニアの人に言ったら、入れようってことになって。実際に入れてみたら曲と合ってたんで、それを採用しました。親がちょうどカセット世代やったんで、もらったものを使いました。

-今回のアルバムはアナログ盤でも聴きたいなとも思える作品だと思います。このアルバムをレコード盤で出してみたいなって思いますか?
M:出してみたいって気持ちはあるんですけど、レコーディングはアナログでしてないんですよ。仮にレコードっていう形にできたとしても、CD用にレコーディングしているんで。レコードってもともとCDより情報量が多くて格段に音質がいいものじゃないですか。このままレコードという形にはできるんですけど、実際は情報量が変わらなくなっちゃうんでそれはどうかなと。
H:レコードにしてほしいってめっちゃ言われるんですよ。海外のバンドのレコード盤をよく聴くんですけど、CDと音質が全然違うんですよ。

-例えばどういう感じですか?
H:前にThe xxのレコードを実家のレコードプレーヤーで聴いたんですけど、音量を上げて聴いたら低音の幅があまりにも広くて。CDが10だとしたらレコードは100以上あるって思いました。
M:レコードに為のマスタリングをちゃんとしてるから違いが出るんですよね。だから海外のバンドって、レコードありきでCDを作っているそうなんですよ。

-なるほど。だから音に違いが出るんですね。それでは最近、関西のシーンでは愛はズボーンやプププランドを中心に盛り上がってきていると思います。でもOrca Shoreはそういうバンドとは一歩距離を置いているように思いますが、これはどうしてでしょうか。
M:コンセプトのあるイベントだったら、音楽的に並べられないんじゃないかと思いますね。フェスみたいに音楽性が全然違うバンドが集まるイベントなら一緒になるかもしれませんけど。でもプププランドのメンバーの人とは僕らみんな知り合いなんですよ。イベントに誘ってくれる事もあって。
H:プププランドの竜哉さんもよく海外の音楽を聴いてますね。僕らの音楽もすごい気に入ってくれて。めっちゃ嬉しいんですけど、そもそも一緒にブッキングされる事がほとんどなくて。
M:聴いてる音楽は同じなんですけど、アウトプットの仕方が違うんですよね。日本の土壌に合うメロディーと日本詞に、リバティーンズの様なバンドからのルーツを落とし込むっていうのもすごい面白いと思うですけど、僕らはまた違うやり方で音楽をやっているんで。
H:僕らも好きなんでフェスで一緒になったら嬉しいですね。

-そういった関西のバンドと比べると、Orca Shoreは東京っぽさを感じます。東京に出てみたいって思うことはありますか?
M:ありますね。単純に東京のほうがかっこいいなと思うバンドが多いんですよ。東京で気になるバンドだと下北沢で対バンしたTempalayってバンドがいるんですけど、今はそのバンドが一番気になりますね。
H:東京には知らないだけで、すごいバンドがうようよいるんじゃないかなと思って。東京に行くのがすごい楽しみですね。
M:でも僕らは東京に行って色んなバンドの一覧に入りたいって訳では無くて、ひとつの柱でありたいと思って。束の中にいるんじゃなくて、そこから一歩引いたひとつの柱でいたいんです。インディーロックやサイケデリック・ロックていうカテゴリーに入る事が多いんですけど。このバンドがああいう事をしているから、僕らもやろうみたいなのは一切なくて。

-シーンの盛り上がりの中心からは一歩引いた所でやっていきたいってイメージでしょうか。
H:それよりも全然違うところにいるみたいなイメージですね。自分たちは自分たちだっていう。海外で言うとTame Impalaみたいなポジションとか。

-なるほど。シーンの話がでてきましたけど、今回のBELONGではYOUTHWAVEって特集をやります。今の世代のバンドってデジタルネイティブと言われてて、生まれた時からパソコンやネットが身近にある世代の事なんですよ。それで言うとOrca Shoreはデジタルネイティブなのでしょうか。
M:そうですね。僕も小学校6年の時からiPodを使ってたんですよ。だからデジタルネイティブですね。

-それはまた早いですね。どういうきっかけがあってiPodを持つようになったんですか?
M:おじいちゃんからもらいました。「お前音楽好きやろ」って言っていきなり持って来て。誕生日でも何でもないのに置いて帰ったんですよ。じいちゃんに曲を入れてもらって、そこから使い方を覚えて。

-ハイテクなおじいちゃんですね(笑)。音楽もYoutubeやSound Cloudとかで調べて作っているんですか?
H:そうですね。気付いたら触ってましたね。
M:Youtubeでずっとネットサーフィンして、音楽を掘っていたのが中学生の時ですね。初めて見たときは、My Chemical Romanceの一番人気があった時期で。あの時、初めてYoutubeを見たんですけど、動画を見れるんだって思って。そこでサーフィンしまくって、メモしたものをTSUTAYAで借りてましたね。

-じゃあルーツになっているKula ShakerもYoutubeで知ったんですか?
M:Kula Shakerもそうですね。関連動画で「Grateful When You ‘re Dead」が出てきて。たまたまクリックしただけなんですけど、めちゃめちゃかっこよくて一瞬で惚れましたね。
H:僕は実家にKula Shaker のCDがあって、そのジャケがすごいインド感があって。インド音楽なんやろなって聴いたら、意外とロックで。そこからKula Shakerを聴き漁りましたね。

-Youtubeで聴いた音楽をどうやって自分らの音楽性に落とし込んでいってるんですか?
M:これがかっこいいから、僕らの音楽に取り入れようって明確に思うことはそんなにないですね。ただバンドのインタビューをYoutubeで見てて、意識している事を話してると思うんですけど、その内容はとても参考になりますね。Tame Impalaだとサイケなことしながら、ポップであることを忘れないって気持ちがあるってインタビューで話してて。

-なるほど。インタビューもYoutubeで見ているんですね。ライブ動画もよく見てますか?最近のバンドのレベルが上がってるのは、そのライブ動画にあるのかなとずっと思ってて。
H:それはすごく思いますね。色んな機材を使ってるのが分かるじゃないですか。
M:この音どうやって出してるんやろとか思いますね。
H:どの機材を使ってるんやろって思って、映像を見れたらすごい調べるんですよ。エフェクターとかも。だからライブ映像はよく見ますね。

-そこは前の世代のバンドと今のバンドとの一番の違いはそこだと思うんですよ。前はライブはなかなか見る機会はなかったけど、今はいつでも何度でも見放題っていう。
M:デジタルネイティブの世代になって、誰でもアクセスできるようになったじゃないですか。僕らはなってからしか知らないんですけど、昔だったら地元の先輩バンドを見るしかない時代だった訳ですよね。そのくらいしか学習する方法がない時代だったから、その場所によっての個性は強く出ていたのかもしれないですね。今は平均化されて底上げされてるなって思いますね。

-それと前回の特集の時に、デジタルネイティブの世代の人って古い音楽を今聴いても、逆に新しいて思う人も多いようなんですよ。
M:僕もJoy Divisionを聴いた時とか、新しいって思いました。
H:僕は親の影響で音楽を聴いてたんで、60~80年代の音楽ばっかり聴いてましたね。だから同世代で友達もいなかったっていう。
M:僕も同じような感じで。親から薦められたThe Beatlesをよく聴いてて。
H:親に教えられたものを聴いてたみたいな感じですね。
M:自発的に最初の音楽を聴く時の一枚目って、ずっと残ると思うんです。そこから何を聴いた時にどう衝撃を受けるかっていうのが変わってくるんで。僕にとってそれはThe Beatlesしか知らんくらいずっと聴いてたんですよ。ただThe Beatlesから一気にとんで、最新の曲を聴いたりしてたんで。それが一緒のプレイリストに入ったりしてたんですよ。小学校や中学校のときは何の偏見もなく音楽聴いてたんで、The BeatlesやThe Rolling StonesのプレイリストにThe Offspringがいきなり入ってきたり。音量の差がすごいっていう(笑)。ネットがあることによってバラバラにシャッフルされてる部分はありますね。

ルーツ

-Orca ShoreのRootsに当たるアルバム3枚について教えてください。またそれぞれどのような影響を受けているのでしょうか。


Tame Impala- Lonerism
H:4人が一致して好きなアルバムがTameImpalaの『Lonerism』ですね。このアルバムが出たくらいに彼らのことを知ってすぐYoutubeを見たらどハマりして。やっぱり60年代の空気もあってなおかつ今っぽいっていうのが良くて。僕らがめっちゃ好きな音鳴らしてるバンドなんですよ。そこから聴きまくっていたら、色んな音があるのを発見して。今のアルバムに繋がる部分が多々ありますね。例えば「Mind Mischief」っていう印象的なベースラインのある曲があって、「Riftel」は全然違うベースラインですけど。そういう印象的なベースラインを目立たせるようにしたいなと思って。なので曲の出し方みたいなところはほんまに影響受けてると思います。
M:皆、このアルバムは何回も聴いてますね。直接的なとこよりも今言ったように、音の出し方ですね。「Riftel」って曲も単純なスリーコードの曲なんですけど、ベースに耳が行くように作ってて。単純なただのスリーコードの曲で、ひねりも入れてないんですけど、ベースラインだけ聴こえるようにやったら面白いかなって思ったんでやってみました。

The Beatles – Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band
M:The Beatles『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』からの影響は出ているなと思いますね。
H:シンセを入れてるんで変なオルガンみたいな音が入ってるんですけど、そういう音が隠し味みたいな感じで。アイデアとしてすごい影響を受けたなと。
M:『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』に「Lucy in the Sky with Diamonds」
って曲があるんですけど、あの曲が3拍子から4拍子にスイッチするんですよ。そういう部分からも影響を受けていますね。


Kula Shaker – K
M:声のひねり出し方やあえて適当に歌って声裏返すのは、フロントマンのCrispianMillsの影響がありますね。
H:「Pixes」や「Make Believe」は、Megumiの妹にKula Shakerみたいなコーラスやってみてとか頼みましたね。ヒンディー的な感じで。
M:妹もすごい音楽聴くんですよ。音楽も教えることもあるんですけど、逆に教えてもらったりもするのも多いくらいで。たまにライブでもゲストボーカルで出てくれたりもするんですよ。

-それでは最後の質問なんですが、『Make Believe』をどのような人に聴いてほしいと思いますか。
M:僕は洋楽を聴いたことがない人に聴いてもらって感想を聞きたいですね。先入観がない人に聴いてもらいたいっていうのがあります。もちろん全員に聴いてほしいんですけど、あえて挙げるとしたらそういう人ですね。
H:僕も全員に聴いてほしいんですけど、音楽を英詩でやってるとこもあるので、海外の人に聴いて欲しいですね。海外の人がいつも通り聴いてる音楽と僕らの音楽とを一緒に聴いて欲しいですね。日本人だから若いからというのではなくて、音楽だけを聴いてこのアルバムを選んでもらったら最高ですね。
S:僕らって The Stone RosesみたいなUKロックバンドと比較される事が多いんですけど、そういうバンドってあくまで昔のバンドなんで。だから今のバンドとして聴いてほしいなって思いますね。
K:一枚目ということでこのバンドを知ってもらうために色んな人に聴いてもらいたいですね。それと洋楽が好きな人であれば僕もそうなんですけど、先入観ってのはどうしても初めに出てくるものやと思ってるんですよ。だから皆の先入観をつぶしていけるような音楽を作っていきたいですね。
H:早く次のアルバムを作りたいですね。そのためにこれを聴いといてほしい。次作は多分、全然違う音になると思うんで。

リリース

『Make Believe』

ライブ

2015/11/7 Fri 渋谷MilkyWay
BOYpresents”KID”vol.6
2015/11/14 Sat 神戸SLOPE
Orca Shore presents “Make You Believe”

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