ロックンロールは、思いがけないようなところからやって来ることがある。平日木曜日のとある深夜にニコニコ動画から流れてきた「アイエエエエ!!」のシャウトで彼らを知った人も多いはずだ(かく言う筆者だって恥ずかしながらそうだ)。『ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨン』第3話のEDとして流れた「劇場支配人のテーマ」の、無骨なマイナー調ガレージロックとそして見事にぶっ壊れたボーカルの鮮烈な衝撃が、このTHE PINBALLSというバンドの名前を多くの人に強く印象づけたことは、今年上半期のひとつのトピックだった。

そして、その「劇場支配人のテーマ」も含んだ彼らの新作ミニアルバムが本作『さよなら20世紀』。結論から言ってしまえば、「劇場〜」から流れてきた人たちも、そしておそらくは旧来からのファンもがっちりと受け止める、痛快なロックンロール作品に仕上がっている(「痛快なロックンロール作品」なのは彼らの作品の常かもしれないが)。

冒頭の2曲(「ヤードセールの元老」「ママに捧ぐ」)の時点で、「劇場〜」並かそれ以上に吹っ切れたガレージロックを展開してくる。彼らのガレージロックの特徴の一つとして、歌詞に西洋史的・文系的なワードが数多く含まれた、不思議とファンタジックな言葉が飛び交うことがある。その言葉とささくれ立ったシャウトとのマッチングが、この暴力的な2曲で存分に発揮されている。

そして彼らのもう一つの魅力が、そのガレージなサウンドと相反するような、リリカルでポップなメロディセンスである。今作の実質タイトル曲「20世紀のメロディ」は、鮮やかで少し寂しげなロードムービーのように快走していくメロディとギターのサウンドが心地よく、そしてカラッとしたシャウトとリフレインが響くサビで持っていく、とても強力な“ポップソング”であり、彼らのかつての名曲の一つ「片目のウィリー」にも並ぶ楽曲だ。

彼らのポップセンスは「20世紀の〜」と同型の陽性ポップでよりノスタルジックな「スノウミュート」でもドラマチックに展開され、また彼らの得意な分野の一つ、マイナー調でスイングするロンドンスタイルな2曲(「法王のワルツ」「沈んだ塔」)でも絶妙な哀愁の色を示している。特に「法王の〜」については僅か3分弱の中にCメロも含めた多くの展開とカタルシスを用意してあって、ソングライティング・構成力の非凡さが伺われる。

かつてロックンロールとは、2、3分のうちに凝縮された鮮烈な衝撃であり、快楽であった。衝動とメロディの楽しさが出会う十字路に、いくつもの名作とそれを聴く悦びがあった。THE PINBALLSはその原理にとても忠実に、かつ言葉・メロディ両面での独特で不思議なロマンチックさを含ませた上でロックしロールさせるバンドだ。彼らが日本のロックンロールの救世主かどうかは分からないし知ったことではないが、彼らの衝動とメロディの楽しさが掛合った曲の数々は、そんな拘りがある人もそうでもない人も等しく、ロールでメロウな気持ちにしてくれるだろう。

【Writer】おかざきよしとも (@YstmOkzk)

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※Vol.4(hotspringとの対談表紙)、5、9にインタビュー記事を掲載。
Vol.4表紙

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