Bloc Partyにとって、エレクトロ・ミュージジックとロックの融合は長年の命題であった。“リアム・ギャラガーがクッションに向かって15分間泣き続けた”という逸話もある2nd『A WEEKEND IN THE CITY』で地位を確立した以降、エレクトロの可能性に目覚めた。3rdの『Intimacy』では急激に音楽性を変え、ほとんどエレクトロアーティストのアルバムのようになった。しかしここでバンドは方向性を失い一時活動休止に。4年後、バンドは再開し、ギターサウンド中心のアルバム『FOUR』をリリース。Vo.ケリーは別プロジェクトとして2枚のエレクトロ・ダンスアルバムを作った。Bloc Partyとしてはエレクトロとは距離を空けるのかと思われたが、今作『HYMNS』は、過去の挫折を取り戻すように、再びエレクトロ・ミュージックへのアプローチを見せている。

「エレクトロミュージックの影響を受け、それをまったく異なった環境でバンドなりに表現した」とコメントがあるように、今作はシーケンサーで表現する部分とバンドサウンドで表現する部分のバランスに非常に気を遣い最適な昂揚感を探るような内容になっている。

“私たちに愛を使い果たしなさい”,”ハイになりたいんでしょ?”というアッパーなリリックのM1『The Love Within』。まさにアルバムの幕開けに相応しい。クラブヒット的な軽快なメインのリフは、一見シンセのようで、実はギターのエフェクトで出している音らしく。なるほど言われてみれば、この特有の躍動感はギターのカッティングのリズムであり、ダンスミュージックとバンドサウンドのハイブリッドとしては新鮮な手法だ。またM4『The Good News』はボトルネックのスライドギターと屈強な男性たちのバックコーラスによるこれでもかという泥くさいブルース&ロックの曲であるが、リズムの輪郭がはっきりしており、ダンスミュージックも連想させる。それが証拠に、次のM5『Fortress』は全然毛色が違うダブステップの曲だが、まったく違和感なくリズムのつなぎがとれている。M11『Living Lux』はディレイギターをバックにケリーがエモーショナルに歌い上げる。エンディングにふさわしい、まるでクラブ終演後のチルアウトだ。ここまで聴くとロックとエレクトロ・ミュージックは表裏一体なのだということを気づかせてくれる。ケリーのソロ作品の延長でもなく、前作『FOUR』の延長とも言えない。あくまでBloc Partyとして新境地のサウンドを作り出している。

今作に至るまで、バンドの状況も一変している。前作をリリース後、Dr.のマットが脱退し、続いてBa.のゴードンも脱退を表明。実質ケリーとGt.ラッセルの2人だけになってしまう。その時期「もともとBloc Partyはケリーと2人で始めたバンドなんだ。また戻ったんだ」と消沈のコメントしている。今作『HYMNS』は、ケリーとラッセルが再び2人で曲を書き始めたところから始めたと言う。本人たちにとってはショックな出来事だったであろうが、4人でセッションをするように作成された前作によりも、楽曲の聴きどころが明解で非常に整理されている。作品にはプラスになったのかもしれない。

現在は新メンバーが加入し、再び4人編成になっている。昨年の来日で目撃された方も多いと思うが、新編成後のBloc Partyが音のバランスが丁寧になり、まさに今作のような繊細な音の重なりを表現するには相応しい。音楽性としても、バンドとしても、壁を乗り越えたBloc Partyはこれからも僕らを魅了してくれそうである。

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【Writer】ŠŠŒTJ(@indierockrepo)
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