最終更新: 2016年6月8日

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BUMP OF CHICKENとASIAN KUNG-FU GENERATIONの2つを見事に良いとこどりをしたリード曲「記憶について」を始め、収録曲8曲の全て曲調が違う『OK BALLADE』という作品はどのようにして生まれたのだろうか。バンドを結成したいきさつから始まって、ボーカルのエンドウが歌詞の元になった自分の作文をメンバーに見せた事がきっかけでメンバーとの距離が縮まった瞬間までPELICAN FANCLUBの変わり続けるいきさつについて語ってもらった。

アーティスト:エンドウアンリ(Vo./Gt.)、カミヤマリョウタツ(Ba.)、クルマダヤスフミ(Gt.)、シミズヒロフミ(Dr.) インタビュアー:まりりん 撮影:MASAHIRO ARITA

-バンド結成のいきさつとPELICAN FANCLUBの名前の由来を教えてください。
カミヤマリョウタツ:僕とエンドウ、クルマダとシミズが元々別々で組んでいて。
クルマダヤスフミ:エンドウとカミちゃん(カミヤマ)が組んでいたバンドに僕が別のバンドをやっていた時にライブで出会って。その時、僕はエンドウのバンドがすごくいいなと思っていて。一緒にやりたいって思ってたんですよ。その後、僕が豆腐屋のバイトをしていたときがあって、エンドウが住んでる駅でたまたま豆腐を売ってて。そこでエンドウが気付いてくれて「何やってんの!?」ってなって(笑)。
シミズヒロフミ:まあそうなるよね(笑)。
クルマダ:バンドが解散してバイトしてるんだよねって話をして。その後、「ご飯食べに行こうよ」って流れになって。実はずっと一緒にバンドをやりたかったんだよねって伝えたら、エンドウも「俺もクルちゃん(クルマダ)とやりたいって思ってた」って言ってくれて。そこで組もうって話が出たのが最初です。
シミズ:エンドウとカミちゃんは小学校から一緒で、俺とクルちゃんは大学が一緒で出会ったんです。
カミヤマ:最初はドラムが別の方だったんですけど、結成してから2年くらいで脱退して。その時にクルちゃんからシミくん(シミズ)に声かけてもらったんです。元からクルちゃんとシミくんがやってたバンドは知ってて良いなと思っていたので。シミくんも入る前からライブは見に来てくれてて。
シミズ:クルちゃんがPELICAN FANCLUBでやるってなったときに見に行ってね。最初のライブを見てすごくかっこいいなと思って。曲も本当に好きで毎日のように聴いてたんで、ドラムを叩いて欲しいって話が来た時にも気持ちよくスタジオワークができて。

-ずっと聴いていたし、曲も知っているから?
シミズ:そうなんです。練習しなくても叩ける!みたいな感じだったんで(笑)。

-即戦力じゃないですか(笑)。
エンドウアンリ:さっきクルマダくんが話したようにご飯を食べに行って一緒にやろうってなってから1年くらいブランクがあったんですね。その間に僕がひとりでPELICAN FANCLUBって名前を使って曲を作ってネットに上げてたんです。それで本当にバンドを組むってなって、バンド名よりも先にライブが決まって。じゃあどうするって時にクルマダくんが勘違いしてPELICAN FANCLUBっていうのをバンド名として出しちゃって。僕のソロ作を作る時の名前だったのに。
クルマダ:バンド名もそれでいくんだと思ってライブハウスに伝えちゃったんですよね・・・。
エンドウ:それが定着しちゃって。そもそもPELICAN FANCLUBっていうのは、前身バンドで僕が「PELICAN」って曲をやっていて。或るミイっていう先輩バンドの人がその曲名が好きで僕のことを“ペリカンエンドウ”って呼ぶんですよ。でも鳥類がすごく嫌いなんですけど。

-嫌いなんですか!?
エンドウ:大っ嫌いなんですけど、PELICAN FANCLUBって名前をつけて活動していました。結果的にそれがバンドに馴染んでPELICAN FANCLUBって集団になってるんですけど。

-ペリカンは好きではないと。
エンドウ:大っ嫌い。
シミズ:(笑)。エンドウだけ好きじゃないよね。みんなは好き(笑)。
クルマダ:好きっすね。
エンドウ:鳥類は好きじゃない。
カミヤマ:そこまで考えたことないかな(笑)。ペリカンってどんなのだっけ?
クルマダ:でかいやつ。でも響きがすごくいいなって。耳に残るなって思って、それが1番この名前にしたいって思った理由なんですけど。
シミズ:1回聞いたらスッと覚えちゃうよね。
エンドウ:せっかくのバンド名だから嫌いなものはあんまりつけたくなかったんですけどね。動物全般が好きじゃないんですよ。

-でもFANCLUBは固定なんですか(笑)?
シミズ:そうだよね、本来好きなものにつける名前ですからね。
エンドウ:なんだろう・・・。“スーパーゴーストバスターズ”みたいな、そういうかっこいい名前にしたいなと思ってた。結果馴染んでしまったし、それはそれで良かったと思いますけど。

-では今作のタイトル『OK BALLADE』に込められた意味を教えてください。
エンドウ:今作を作るにあたって10ヵ月っていう時間があって、10ヵ月を過ごしていくうちに、ちょうど5ヵ月のときに仮タイトル「BALLADE」って曲を作って。周りがバラードを聴きたいって言ってたんでバラードを作ったんですね。それをきっかけに今作に繋がるいろんなものが変わっていったり、いろんなものが決まっていったりっていう中心ができたんですよね。アルバムの名前の候補には色々ありましたけど、“BALLADE”っていうのはこのアルバムにとって重要な単語なんですよ。ジャンルじゃなくて“BALLADE”っていう単語がすごく大事なものだなと思って。でも“BALLADE”だけだとしっくりこなくて、そこに“OK”ってつけて『OK BALLADE』ってギャグで言ったんですよ。どう?って。そしたらみんなめちゃくちゃいいじゃん!って。それでこのタイトルに決まりました。

-前作のミニアルバムから10ヵ月で、その間にワンマンライブを行ったりとバンドにとって重要な時期だったと思いますが、印象に残っていることはありますか?
カミヤマ:前作を作っていろんな所にツアーしに行ったんですね。初めて行く所も多かったんですけど、例えば札幌は初めて行った場所で、全く知らない人たちが俺らのCDを買って聴いてライブ会場に来てくれるっていうのがすごい嬉しくて。そういうのも含めて今回の作品にも影響したところはたくさんあるなと思いましたね。
エンドウ:ツアーをたくさん回ったことによって、聴いてもらうっていうのが、作品を作って、それを聴いてここに来てもらってるっていう実感があったんですよ。それで人に聴いてもらうっていう意識が強くなって、今作にすごく影響をもたらしたっていうのはあります。あとは人に対しての何かっていう。今までずっと自分たちの音楽だけだったっていうのがあって。自分が良ければいいみたいなスタンスが強かったんですけど、今作は聴いてもらう人のことを考えて、前作だったら絶対に7割は分からないような事も7割は分かるように今作はシフトチェンジしました。

-それが今作のテーマである“今”と“瞬間”を大切にするというのに繋がっていったんですね。
エンドウ:そうですね。“今”と“瞬間”に繋がるひとつの理由としては、人が誰でも持ってるものって時間じゃないですか。でも誰しもが“今”と“瞬間”というものを一番見落としがちで。みんな過去と未来を話したりするけど、過去も未来も今が作ってるものだし。そういう足元を照らすようなことがしたいなと思って“今”と“瞬間”がテーマになりました。

-前作のテーマは“謎(=ハッキリ分からない感覚/人の中にある痒い部分)”で、今作が“今”と“瞬間”。目に見えないし、言葉にして説明するのもとても難しいものをテーマに選んでいますよね。

エンドウ:目に見えないですけれど、それを形にしようと残しているんですよね。写真やお土産もそうで、あの日を思い出したりするもので。そうやって物に依存させようとしているけれど、そういう過去って頭の中にあるものだし、未来も未来に対する予定って今、この瞬間に作れるし。そういう言葉で気づけるというか何か変わるんじゃないかと思ったんです。目に見えないからこそ。

-言葉にすることで?
エンドウ:そう。言葉にすることで、100%気付いて欲しいというよりかは「ああ、そうなんだ。僕の場合こうだよ」って思ってくれたら良いなって。それが今作はPELICAN FANCLUBの場合だし、“今”っていうのをどう使ってもいいんですよ。別に大事にしなくてもいいし、ただぼーっとしたければぼーっとしててもいいし。そういう自由な使われ方をする中で、僕自身は“今”と“瞬間”をすごく大事にしたいと思ったんですよね。というのも時が経つことに対する恐れもあって。未来に予定を立ててても、今ここでこうしなかったらその未来にはならないし。それはツアーに行って学んだというか身に染みたことでもあるんですよ。そんな事ってわざわざ僕たちが言わなくてもいいんじゃないかと思うんですけど、音楽だから僕たち4人でその音で表現するっていう。みんなが言ってることだけど、僕たちの場合はこうだよって。そうしたらシミくんは歌詞を見せてくれって言ってきて。歌詞を見てからドラムのパターンを考えるって。そういった言葉とリンクするものを音で表現するというような、僕らなりの“今”と“瞬間”を伝えるのがテーマでした。

-歌詞を見てからパターンを考えたと言ってましたが、メンバーがそれぞれの解釈を曲に落とし込むのに工夫したところはありますか。
カミヤマ:前作は音の壁を作るみたいにめちゃくちゃ歪んでたりリバーブがかかってたり、そういう空気感を大事にしたものを作ってて。今作ではもっと輪郭のハッキリしたものを作ってみようって感じになって、それは前作を作ったからこその発想なんですけど。だから逆にリバーブや歪みも抑えた所は随所にある。新しいサウンドも前作ではやらなかったようなこともとりあえず試してみようって時間はたくさんあったので、アレンジ面においてそういう試みをたくさんできましたね。

-特に挑戦した曲はありますか?
クルマダ:今まではなかったポイントは一曲一曲あって。
カミヤマ:たぶん1番わかりやすいのは6曲目の「説明」で、あれは最初エンドウが原形を持ってきて。
エンドウ:Beastie BoysやRage Against the Machineの感じを出すって。
カミヤマ:ラップをやってみたら面白いんじゃないかって思って持ってきて。それぞれが持ち寄ってやった時にああいう表現になったというか。メンバー全員の好きな音楽が微妙に違ったりしてて、そこをかけあわせた時にめっちゃ面白くなったりするので、化学反応が生まれたアルバムでもあるなと思います。

-曲の幅が広いですよね。
クルマダ:そこは意識しましたね。こんなこともできるぞというのも聴かせたかったし。

-今までPELICAN FANCLUBってTHE NOVEMBERSやART-SCHOOLみたいなイメージだったんですよ。でもこのアルバム聴いてフジファブリックみたいなバンドなんじゃないかと思いました。フジファブリックってラップもあれば、ポップな曲もある。歌詞も一見すると文学的なんだけど、実は身近で日常的なことを歌っていて。でも志村正彦っていう人物像が絶対にあるっていうのにすごく近いんじゃないかと。
カミヤマ:ありがとうございます。

-まず歌詞の表現がストレートになりましたよね。
カミヤマ:歌詞はみんなで意味を共有して、誰かがこれは分からないってなったり、これだと伝わらないんじゃないかってなったりした時は全部エンドウに伝えてるっていう作業を何度もやってみたんで、前回より言いたいことがクリアになっていると思います。

-歌詞の乗せ方がメロディに対して面白いですよね。「Ophelia」のサビは流れるイメージがあります。
エンドウ:僕が影響を受けている人がいて、Cocteau Twinsってバンドのエリザベス・フレーザーがすごく好きなんですよ。その人のメロディの乗せ方に影響を受けていて、曲を作る時やメロディを作る時とかは彼女のような音階というかメロディの飛び方を意識してやるんですよ。それが結果的に「Ophelia」や前作の「Dali」に出てると思うんです。

-歌詞はどのようなものに影響を受けて、どのような時に出てくるのでしょうか。
エンドウ:日頃から日記みたいなのを書いてて、そこから詞にするというのが多くて。影響を受けていると言ったら、多分小学生の時に読んだ国語の教科書じゃないですかね。作文から作ってるので、それが大きいですね。誰かの書き方を真似しては一切ないです。
シミズ:「今歌うこの声が」はもともとタイトルはめちゃくちゃわかりずらい長い英語の曲名だったんですよ。エンドウは歌詞作る時、その作文をもとにエンドウなりの表現で崩していって曲になっていくんですよ。今回はその大元の方がストレートでいいねってなって歌詞が変わっていきましたね。
エンドウ:もともと歌詞が分かりにくかったんですよ。「記憶について」もタイトルが違いましたし、歌詞の内容も言いたいことは同じなんですけど表現がオブラートに包まれた言い方をしていて、メンバーからも分からないって言われてたんで、自分が元々書いていた作文を見せたらこれが一番わかりやすいってなって、それが採用されました。

-曲の作り方も前作までとは変わったんですね。
カミヤマ:かなり変わりましたね。前作まではスタジオワークで曲作りを完結させてたんですけど、今回は一回全部パソコン上で整理したんです。だから歌詞もそうだし、ひとつひとつのアレンジをめちゃくちゃ試せるようになって。そのなかで一番いいものを選ぼうっていう。だから1曲にかける時間が増えました。コーラスワークも全部きっちり当てはめてくみたいな感じの作り方だったので。

-「youth」は卒業ソングですよね。卒業式って3年間のなかの一瞬で、でもそれまでの3年間が焼き付けられる最後の瞬間っていうので“今”と“瞬間”をとても表しているものだと思いました。
エンドウ:そうなんです。あの歌は自分が3年間はあっという間に過ぎてしまったけどあの時ああすれば良かったっていう悔やんでも悔やみきれない事を書いた詞なんですけど。タイトルももっとひねりたかったっていうのも当時はありましたけど、これはあえて「youth」ってどストレートな感じの方が良いなって思って。

-自分の経験をストレートに歌詞にするのは怖くないですか。
エンドウ:めちゃくちゃ怖いです。めちゃくちゃ怖いし、前作までは自分がやってたことってスーツを着たり、女性でいう化粧をしたりみたいなことが多かったんですよね。でも今回は裸の状態、すっぴんの状態をメンバーに見せるのが恥ずかしかったというか怖かった。僕らしさみたいなものがなくなるんじゃないかって怖がっていた所はあったんですけど、いざ見せたときに「これめちゃくちゃ良いじゃん」って言ってくれて。その言葉にすごく背中を押されて、じゃあ色々書いてみようって思って「youth」も書けましたし。だから自分の作文っていう裸を見せるのはすごく嫌だなって思ってたんですけど、覚悟をさせてくれたんで今となっては怖いことでもないというか。実際には僕一人だけが怖いって思ってるんだから怖い事じゃないんだなと思いました。

-皆さんは裸の歌詞を見て何を感じましたか?
シミズ:歌詞の伝わり方が違うので、すぐに曲のフレーズが浮かぶというか。こういうタッチでこういう音でスネアは作ろうとか、温度が分かりましたね。それがすごく作りやすかったです。
カミヤマ:エンドウがメンバーに歩み寄ってきてくれたのと同時に俺ら3人も伝えきれてない部分があったので、今回はそこをもっと詰めようって事になって。前回までは自分の事をとにかくちゃんとやるって感じだったんですけど、それが前よりも全体を見て自分のパート以外の事もちゃんと考えるという意味で視野が広くなった気がしますね。

-互いに歩み寄ることができた?
クルマダ:そうですね。
エンドウ:それが最初に言ったツアーを回ることで人に気を遣うっていう所に繋がると思うんですけど。ずっと一緒にいますからね。だんだんと距離が近くなる。

-Instagramを見てすごく仲がいいなと思いました。
シミズ:仲はめっちゃいいですよ(笑)。昔から本当に仲が良かったんですけど、その中でも深いところまで突っ込む所が前よりも増えた。前は喧嘩にならないように留めとこうとする雰囲気がみんなにあって。
カミヤマ:仲が良いのを壊したくなくて、楽曲制作の時も曖昧なところが今までは正直あったんですけど、今回はそれを無くそうって。
エンドウ:いいものを作るためだったら喧嘩はしますね。。
クルマダ:喧嘩というか、意見がぶつかってもそれは違うんじゃないかって話せるようになった。

-アルバムを通して完成度が高いだけでなく、ライブで演奏している所も想像できます。
エンドウ:人に歩み寄りたいっていうのはすごくあったので、今まではライブハウスでもステージ上の4人で完結していたのを、フロアも含めて1個のライブだっていう気持ちの共有ができてきて。そういう人に寄り添うってことを考えてジャケットも血の色である赤にして身近にあるものだって伝えたかった。だからアルバムを作る上でテーマカラーは赤ってメンバー間の共通認識があるんです。というのは前作までは人を欺いたり挑発したりしてたんですけど、今作は人に寄り添いたいっていうのをメンバーに話して。そしたら自然にライブで自分たちの曲はこういう曲でこういう気持ちでやっていてっていう事をライブのMCで話す事を始め、色々と変わっていったんですよ。前回までは全然MCがなかったので、作品もライブでも人との距離感が縮まったと思います。

-ジャケットやアー写に使われているレッドロビンっていうものの名前を初めて知ったんですけど、意識してみれば本当にどこにでもありますね。ここの向かいにあるのもそうですよね。
カミヤマ:そうなんですよ。高速道路の脇にめっちゃあるやつ(笑)。
エンドウ:アルバムもそのくらい身近なものになってほしいと思います。

-今後PELICAN FANCLUBとして挑戦してみたいことはありますか?
エンドウ:もっと大きい所でライブをやってみたいです。
カミヤマ:自分ら主催でイベントをやってみたいと思ってるんですけど、それができるような地盤を作っていきたいですね。

-今回の対バンツアーのゲストがThe Mirrazなのはとても驚きました。
カミヤマ:僕らが高校生の時によく聴いていてもともと好きだったんですけど、オファーするきっかけがあって。OKしてくれたらいいなと思ってたんですけど、まさかOKしてくれるとは。めちゃくちゃ嬉しくて今からとても楽しみです。
エンドウ:The Mirrazの活動の姿勢にも憧れがあるし、どこかヒーロー的な感じがあるんで。対バンツアーをすることで僕らも別世界に行けそう。新しい世代のバンドとしてThe Mirrazに見せたいというのもあります。同じ世代じゃないのがいいなと僕は思っていて、互いに影響を与え合うことができたらいいですよね。

-それでは最後に『OK BALLADE』をどんな人に聴いてもらいたいですか。
エンドウ:僕は小中学生っていう多感期に聴いた音楽が結果として僕に1番大きな影響を与えていて、それが音楽を始めた理由の一つだったので、そういうきっかけになりたいとすごく思っていて。だから「youth」という曲の歌詞にあるような多感期に近いテーマを入れたかった。そういう人たちにももちろん聴いてもらいたいし、あとは純粋に僕らがやってる音楽は自分たちの好きな音楽を持ち寄って化学反応を楽しんで曲にしている所があるんで、それを聴いてこれがこうなっているんだって探って欲しいんですよね。だから年齢を問わず音楽好きな人に聴いてもらいたいです。その中でも僕は1番多感期の少年少女に打撃を与えたいですね。
カミヤマ:何も知らないで僕らのアルバムを聴いてくれた子たちが成長して他の音楽を知った時に「PELICANのあの曲ってあのアーティストのこの曲から影響受けてるんだ」っていう発見があったらすごく嬉しいですね。僕らもそうだったので。
エンドウ:僕らもそうだったからそうしたいっていうのがあります。
シミズ:俺は一生懸命頑張ってる人に聴いてもらいたいって思います。ラジオでふとした瞬間に流れてきて、なんかいいな、頑張ろうって気持ちになってほしい。色んな人に前を向いて欲しいって思います。
クルマダ:全く同じ事を言おうと思ってた(笑)。一生懸命に生きてる人。ほぼ全員に言える事だと思うんだけど、学校に行ってる人も仕事をしている人も必ず何かに躓く瞬間があると思うんですけど、そういう時に聴いてもらえたらなと。
エンドウ:当時、僕は感情のぶつけどころみたいものが音楽しかなかったんですよ。力もないし、何か怒りを表現したい時に壁も殴れないし。そういう時に音楽を聴いて発散できる時もあったし、喜怒哀楽を全部音楽にぶつけてたんですね。だから前回からそうですけど、今回のアルバムはそれをぶつけられるようにバラエティに富んでるんですよ。だから怒りがすごくあって叫びたいって時は、僕らが叫んでるから聴いて欲しいし、シミくんやクルちゃんが言ったように元気を出したいなって時はそういう曲を聴いて欲しいし、悲しい時はそれにあった曲を聴いて欲しいですね。


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