最終更新: 2020年5月16日

ヴィンテージのミッキーマウスがトレードマークのシンガーソングライター、Oscarことオスカー・シェラーがBloc PartyやThe Cribsを世に送り出してきたWichita Recordingsからデビューアルバムをリリースする。彼の枠にとらわれない曲作りのセンスの本質とは?はたまた写真からも伺える彼のチャーミングさはどこからくるのか?Oscarの音楽家として、人としての魅力に迫った。

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インタビュー:オスカー インタビュアー:yabori 翻訳:木下トモ

-もともとは大学で彫刻を学んでいたそうですが、どういうきっかけで音楽を始めたのでしょうか。
オスカー:僕は6歳からずっと音楽をしていて、ピアノから始まり、8歳には歌を歌うようになっていた。セントラル・セント・マーチンズ芸術大学で学んでいる間、自分で作った音楽のレコーディングを始めたんだ。たくさんの曲のアイデアがあったからね。

-あなたのご両親はThe Regentsというバンドで活動していたようですね。音楽を始めるにあたってご両親からの影響はありましたか?
母がずっと僕に影響を与えてるのは間違いないと思うよ。彼女はいつも僕にクリエイティブでいるよう刺激を与え続けてくれているから。ピアノで初めて僕に曲を教えてくれたのも彼女だった。彼女はいつも僕にこう言い聞かせてくれた。「高等教育は意味のないものよ。テストなんてものは単に政府が人々を抑制し続けるための方法なの。だからあなたは心配することはないわ。」って。そうやって、僕は彼女から常にインスピレーションを受けてきた。僕の父は、僕が8歳のときに亡くなったから今はいないんだ。でも、彼は、僕が行動することすべての中に居て、僕は彼の音楽を聴いているし、毎日彼の新しい部分を発見しているから、影響を受けていると思うよ!

-どうして自身の名前であるOSCARをアーティスト名にしたのでしょうか。
アーティスト名にするのにぴったりの名前だと思ったからね。グーグルで検索されるのは難しいと思うけど、僕はとっても有名になるつもりだから、気にしてないよ。

-ヴィンテージのミッキーのTシャツを着ているのがとてもチャーミングですが、どうしてそのTシャツをよく着ているのでしょうか。
僕は分かりやすいものが好きで、ディズニーのデザインは超有名だし、世界的に認識されているからね。それを着てると、自分が歩くポップアートの絵画になった気分になるしね。あとは、そのデザインの純粋さも好きなんだ。僕はほんとにただの大きい子供なんだ。

-アルバムタイトル『Cut And Paste』に込めた意味について教えてください。
アルバムタイトルの意味は、僕が曲を集めるために取り組んだ方法からとったんだ。過去と未来の時間の中で、音楽の時代や瞬間、僕の日記という別々の色んなところから集めてきたから。そこから切り取って、貼り付けて全部一緒にしたんだ。時間のスクラップブックみたいなものだね。あとは、僕がアルバムを作るのに使ったテクニックやレコーディング過程についても言い表してるんだよ。昔のヒップホップやソウル、クラシックコンチェルト、自分の声さえもサンプリングしてるんだ。そして最後に、アルバムのタイトルには僕のコラージュへの愛情も含めてるんだ!

-今作はセルフプロデュースとの事ですが、どうしてご自身でやってみようと思ったのでしょうか。
そのやり方に慣れているからだよ。息をするのと同じくらい自然な習慣だから。僕は曲を作るのと書くのを同時に行うんだ。そしてその音がどう聴こえるかと、人がその歌詞をどんな風に読むかたくさん考えてて。そうやって、音楽が生まれる自然な過程を大事にしたかったから、正直言ってファーストアルバムを作ったその時には、誰かに任せるなんてことは考えられなかったんだよね。

-今作のミックスはBen Baptieが担当しているようですが、どうして彼にお願いしたのでしょうか。
僕は彼と会ったことがあって、お互いのことを理解してくれているからね!自分の世界において彼が重要な人だと分かっていたし、プロとしても友達としても僕らはすっかり意気投合したんだ。しかも驚くほどの才能を持っていて、彼の仕事ぶりに惹きつけられたよ。本当に才能にあふれているんだ。僕らはたくさんの時間を、大きな音を出したり古い時代のジャマイカのダンスホールのサンプルをいっぱい集めたりするのに費やした。そんな感じで、とても楽しくやれたんだ。

-「Sometimes」のMVには色んなタイプの人々が出てきていますが、どうしてこのような映像を作ろうと思ったのでしょうか。
その曲のエネルギーやカラフルな音を反映するためだよ。ディレクターのBryan Schlamがそのビデオの責任者で、僕がしたことと言えば、くるくる回ってジャンプして、自分のすべてを出しただけなんだ。僕は、お互いが望むことを本当に理解しているような素晴らしいディレクターと一緒に仕事ができてラッキーだと思ってるよ!いいものが組み合わさってできたんだ。素晴らしいものができてとっても嬉しいよ。

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-「Sometimes」のMVを見る限りあなたはどんなタイプの人とでも仲良くなれるように見えますが、どうしてでしょうか。
当たってる!僕は人と話すのがとても好きだし、話を聞くのが好きだから。会話の内容がどんなものでも、僕とって会話は本当に重要なことなんだ。一番いい方法は、人が言うことにただ心を開いて興味を持つだけだよ。それは、僕の両親が僕に教えてくれたんだ。誰に会うか分からないし、その人達から何を学べるかは分からないからね。

-ライブは4人編成で行っているようですが、3人とはどこで知り合いどのようないきさつで4人編成になったのでしょうか。
僕は彼らにバンド友達を通して会ったんだ。ドラマーは僕がずっとファンだった友達のバンドからの紹介で会って。ベースは、僕が初めてCMJ(CMJ Showcase)で演奏する前に友達から紹介してもらって、ニューヨークで会ったんだ。キーボードはロンドンの音楽シーンの中で出会ってね。僕らは皆お互いのバンドが好きだったんだ。ほんとに自由な状態でやってて、一緒にやる人は固定ではなくて変わっているよ。皆色々プロジェクトがあるからね。大きくて幸せな家族みたいな感じだね。

-このアルバムをどのような人に聴いて欲しいと思いますか?
特に聴いてほしい人なんていないよ!音楽は皆のものなんだもの。もしできるんだったら、飼ってる犬にも聴かせてよ!

『Cut and Paste』

【Profile】
本名オスカー・シェラー。UKポップ・バンド、ザ・リージェンツのメンバーを両親に持つ、バリトーン・ヴォイスが特徴のシンガー・ソングライター。2015年に、過去にブロック・パーティー、ザ・クリブス、ヤー・ヤー・ヤーズ、ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンらを輩出したインディー・レーベル<Wichita Recordings>と契約し、3月にデビュー・シングル「Daffodil Days」をリリース。その後1年間に渡りシングルやEPをリリースし、2016年5月、ついに待望のデビュー・アルバム『Cut and Paste』のリリースを迎える。その低音ヴォーカルはもちろん、カラフルでキュートなファッション・センスと彫りの深い顔立ちも人気の秘密。

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