最終更新: 2020年5月9日

THE NOVEMBERS(ザ・ノーベンバーズ)が覚醒した。

サードアルバム『To (melt into)』には彼ら自身の本質と人生が連れてきた世界と現実、目の前に広がる光景が焼き付けられている。

窓ガラスを砕くように“当然”を破壊した。そしてバラバラになった破片を拾って“普通”という概念に突き刺す。紛れもなく彼ら自身の手で。

『To (melt into)』レビュー

心をざわつかせるダークサウンドが重ねられた変拍子と共に歌詞は過激であり、紛れもなく誰もが気づかないフリをした真実を提示する「永遠の複製」をはじめ、

ヘヴィなアタックの強さが鼓動のリズムに危機感を与え、空間を揺らすエフェクトサウンドが決めつけられた偶像を脅かす曲たちが連なる。

そして『To (melt into)』でも大きな存在である「ニールの灰に」はまるで頭の中の粘着している道理というテレビ画面にノイズを生じさせるように響いた。

意思を持ったアグレッシブな音は動揺をさせる間も与えない。そこにあるのは確定的な現実を揺るがす音楽だ。

あらゆる角度から差し込まれる音は、身体と心の奥底に警報を鳴らす。心臓を握って揺さぶるようなリズムラインは、目の前のモノに向き合う手立て。

今、内側にあるものをそのまま吐き出された言葉と声は教えてくれる。これは、警報だ。

『To (melt into)』は、この“常識への疑い”と共に強く存在するのが“他人の存在の肯定”である。

自分と、あなたと、だれか。住んでいる家や部屋が違う人たち。好きなものと嫌いなものをはっきりとさせることでより鮮明に見える他のモノの存在を認めている。

日々を切り取ったような、優しい空間を持つ曲たちは特に、好きなものや好きな人への愛情を感じた。

その一つである「終わらない境界」は、まるであたたかい光のようにすうっと心に流れていくように溶けて、馴染んでいく。

人間のまっさらな愛と慈しみを、弾かれる音ひとつづつに詰めこんで。今作で彼らの零れるようなギターメロディは以前よりも纏まりと温かみを帯びて、メロウに響いていた。

“「地平線はとても遠い」って誰に聞いた” – 「はじまりの教会」の歌詞より

与えられた常識という足場は綺麗に整備されている。用意された道を壊してみると、瓦礫の下に誰も耕しもしたことがない荒地がある。

瓦礫の道は良くないことだって誰が言っていた?そこで知れるものこそ人間的感情であり、人間的感覚である。これは自分で見ないと、動かないとわからないことである。

好きなものを好きということ。

見たいものを見たいということ。

したいことを、したいということ。

小さい時は何も考えずに口に出せていたこと。

いつの間にか言わなくなったこと。

それはいつから?それはどうして?

そのひとつの答えはTHE NOVEMBERSらのルーツにあり、彼らの音楽に存在する。自分の中の答えを見つける旅。新しい世界への入り口が、目の前にある。(ライター:pikumin 2020年5月7日更新)

“行きたいところなら 行けばいいさ今すぐ” – 「彼岸で散る青 」の歌詞より

リリース

3rdアルバム『To (melt into)』


発売日:2011年8月3日
収録曲:
01. 永遠の複製
02. 彼岸で散る青
03. 瓦礫の上で
04. はじまりの教会
05. 37.2°
06. ニールの灰に
07. 日々の剥製
08. 終わらない境界
09. holy

2ndアルバム『Picnic』


発売日:2010年3月10日
収録曲:
01.Misstopia
02.Figure 0
03.dysphoria
04.pilica
05.パラダイス
06.sea’s sweep
07.Gilmore guilt more
08.I’m in no core
09.Sweet Holm
10.ウユニの恋人
11.tu m’

1stアルバム『Picnic』


発売日:2008年6月4日
収録曲:
01.こわれる
02.Arlequin
03.chernobyl
04.アマレット
05.ewe
06.僕らの悲鳴
07.ガムシロップ
08.アイラブユー
09.白痴
10.picnic

最新アルバム『At The Beginning』

『At The Beginning』 Album Cover
発売日:2020年5月発売
価格:¥3,080(税込)
品番:MERZ-0209
収録曲:
1. Rainbow
2. 薔薇と子供
3. 理解者
4. Dead Heaven
5. 消失点
6. 楽園
7. New York
8. Hamletmachine
9. 開け放たれた窓

ライブDVD『美しい日』

THE NOVEMBERS 11th Anniversary FILM『美しい日』
フォーマット:2DVD
Disc1:11th Anniversary & 6th Album Release Live “Hallelujah” at Shinkiba STUDIO COAST(110min)
Disc2:11th Anniversary Documentary(64min)
レーベル:MERZ
品番:MERZ-0107
発売日:2017年4月22日(土)
価格:5,500円(本体価格)

プロフィール

THE-NOVEMBERS/ANGELS

“2005年結成のオルタナティブロックバンド。2007年にUK PROJECTより1st EP「THE NOVEMBERS」でデビュー。様々な国内フェスティバルに出演。
2013年10月からは自主レーベル「MERZ」を立ち上げ、 2014年には「FUJI ROCK FESTIVAL」 のRED MARQUEEに出演。海外ミュージシャン来日公演の出演も多く、TELEVISION,NO AGE,Mystery Jets,Wild Nothing,Thee Oh Sees,Dot Hacker,ASTROBRIGHT,YUCK等とも共演。

小林祐介(Vo/Gt)はソロプロジェクト「Pale im Pelz」や 、CHARA,yukihiro(L‘Arc~en~Ciel),Die(DIR EN GREY)のサポート、浅井健一と有松益男(Back Drop Bomb)とのROMEO`s bloodでも活動。ケンゴマツモト(Gt)は、園子温のポエトリーリーディングセッションや映画「ラブ&ピース」にも出演。高松浩史(Ba)はLillies and Remainsのサポート、吉木諒祐(Dr)はYEN TOWN BANDやトクマルシューゴ率いるGellersのサポートなども行う。

2015年10月にはBlankey Jet CityやGLAYなどのプロデュースを手掛けた土屋昌巳を迎え、5th EP「Elegance」をリリース。
2016年は結成11周年ということで精力的な活動を行い、Boris,Klan Aileen,MONO,ROTH BART BARON,ART-SCHOOL,polly,Burgh,acid android,石野卓球,The Birthday等錚々たるアーティストを次々に自主企画「首」に迎える。2016年9月に6枚目のアルバム「Hallelujah」をMAGNIPH/HOSTESSからの日本人第一弾作品としてリリース。11周年の11月11日新木場スタジオコーストワンマン公演を実施し過去最高の動員を記録。2017年FUJI ROCK FESTIVAL WHITE STAGE出演。

2018年2月には、イギリスの伝説的シューゲイザー・バンドRIDEの日本ツアーのサポート・アクトを務める。同年5月、新作EP『TODAY』をリリース。”

引用元:THE NOVEMBERS公式HP

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