爽やかに駆け抜けるメロディックサウンドと苦悩と葛藤、そして青春を歌うPELICAN FANCLUBが待望のセカンドアルバム『Home Electronics』がいよいよ、5月10日に発売される。2015年に発売されたファーストアルバム『OK BALLADE』から2年。メンバーみんなで見た景色の投影と“自分の憧れたもの”への原点回帰でもある今作が生まれるまでに、彼らに何があったのか。そして、このアルバムに映るPELICAN FANCLUBの“今”をVo./Gt.のエンドウアンリに問いかけてみた。

アーティスト:エンドウアンリ(Vo./Gt.) インタビュアー:pikumin

−どうしてアルバムタイトルを『Home Electronics』にしたのでしょうか。
エンドウ:たくさん曲ができた中で、絞った12曲のタイトルは何がいいかってずっと考えてたんですよ。で、頭の中に出てきた単語が“家電”だったんです。でも『家電』よりも『Home Electronics』の方がしっくりくるなって事でこのタイトルになりました。

− “家電”を直訳したら“Consumer Electronics”となりますが、あえて“Home Electronics”にしたのはどうしてでしょうか。
ちゃんとした“家電”の英単語は違うと思ってて、それなら造語にするのもいいなと思って。単語的には“家電”だけど、“Home”と“Electronics”っていうそれぞれの単語を使いたいなと思って。12曲あったら12通りの使い方があって欲しいと思うんです。前作は8曲あって、あえて全て違うタイプの曲にしていたんですけど、今回は違うけど統一感があるようにしたいと思っていて。

−なるほど。今作は歌詞で伝えたいことが多いと思うのですが、その中でも「深呼吸」の“壊しに行こう”や「夜の高速」の“誰もまだ見つけていない惑星があるはず”という未知のものを強く求める表現が印象的でした。これは今のエンドウさんの気持ちが等身大で写されているのでしょうか。
今までセルフタイトルだったら、自分が主人公で自分が見えてるものを詩にしていたんですけど、今回は、“僕が書く主人公”に感情移入できるようなものを目指したんですよ。だから特に聴いて欲しい思春期の方々にとって、詩の物語の中の“僕”っていうのはその人自身で、詩に出てくる“君”っていうのは、その人にとっての“君”で。クラスのあの人なのかもしれないし、とか。そういう風に感情移入できるドラマや映画のようにしたいなって思って書きました。

-前作よりも歌詞の内容が分かりやすくなったと思うのですが、工夫された部分があれば教えてください。
今作の方がわかりやすいというのは、具体名詞を入れていったっていうのが一つだと思いますね。前作の『OK BALLADE』に収録されている「youth」だったら、自分の学生時代のコンプレックスを書いたんですけれど、結局主人公は僕自身であって。今作は固有名詞も使って、あとは現実離れしたような物語を歌っています。言いたいことは現実的なんだけれど、それを例える上でSFのような書き方をしたり。だからイメージは膨らみやすいんじゃないのかなっていうのはメンバーにも言われて。

−「ダダガー・ダンダント」や「Trash Trace」、「花束」などどれが最後を飾ってもいいような壮大な爽やかさを持った存在の大きい曲が多くてPELICAN FANCLUBとしての 視野や表現の広さが確実に拡大してきてますよね。前作から今作が出るまでにバンドでの大きな変化などはありましたか?
ありましたね。バンドの見えている目標が今まで曖昧だったんですけれど、今作を作るにあたってメンバーみんなで口揃えて言っているのが、「スタジアムでやってるような感じ」や「大草原でやってるような感じ」とか。そういう開けたイメージや共通意識が、曲作りでもフレーズだったり色んなもので表現できたのはすごいと思ってて。そういう考えの基で「深呼吸」の詩が大自然のような感じだったり、対象物の規模感も宇宙規模で話を進めてたり。月だったり太陽だったりとか、そういう規模感の広さが今の自分たちには合ってるなっていうのはありましたね。特に「花束」はこのアルバムの中でも一番古い曲でもありますし、詩がすごい好きなんですよね。この曲は詩を書いてて「きた!」って思えた一つで、自分の中で革命が起きたような感じがして。これを書けたから何かすごいことになるんじゃないのかっていう根拠のない自信みたいなのができました。

−なるほど。「花束」に限らずどの曲もリード曲と言えそうですね。
前まではリードを見つけるっていうのがすごい大変だったんですけれど、今作の12曲はそれぞれ自信持てる部分があるので、全曲リードだと思います。特別って言ったら自分の思い入れが入ってしまいますけど、バンドとしてこれで勝ちにいきたいっていうのは2曲目の「Night Diver」です。この曲で戦いたいなって思った曲です。

−数あるドリームポップバンドの中でも曇りないハイトーンで疾走感のあるサウンドかつバランスが非常にきれいにとられているバンドである印象を受けます。 サウンドを作るにあたってバンドとして意識していることはありますか?
作る上では、音を重ねすぎないっていうは僕らが常に思っていることです。重ねすぎてしまうと逆に自分達の表現したいものが埋もれてしまってできないっていうのが過去に多かったんで、自分がギターで表現したいフレーズが一つあったら、それ主体でそれをどうやったら良く聴かせられるかっていう作り方をしたり。ドラムでここを聴かせたいってなったら、ドラムを上手く聴かせるために他の弦楽器三人はどうするかっていうのだったり。軸になってるのはやっぱり歌なんで、この歌を聴かせるためにこういう詩を歌ってるからドラムはこう、ベースはこう、ギターはこうっていう感じで、聴かせたいものを主体に音を構成していってます。レコーディングの下準備の時に、ベースがある上で隠し味みたいなものを色々付け足していって、これが必要なんじゃないか、とか、いらないんじゃないか、とか話をして完成系に近づけていきますね。でも好みみたいなものがそれぞれ違うんで、好みが違う部分やそれぞれの絶対にやりたいことみたいなのはみんな口出ししないで、みんなそれぞれやってってます。それが合わさるとむちゃくちゃ面白い形の、「こんなの想像してなかったよ」みたいなものが出来上がったりするんで。まず曲を作る上では、一番伝えたいことみたいなのをみんなで共有して、まわりをくっつけていくという事をします。最初は僕らも足し算足し算足し算で、結果こうなったからこれが完成なんだよっていう形だったんです。前作からちょっとずつ変わっていったんですけれども、僕が歌を聴いてもらうっていうのを意識したのはCDを出してからなんです。CDを出して聴いてもらう人がいるっていうのを実感したときに、もっと自分のこの声で伝えたいって思うようになって、そういう作り方になりました。今はもう4人が合致して歌を聴かせたいっていう感じになったんで、歌を聴かせるためのベストな形を追求してます。

−先ほどの回答で「思春期の方々に聴いてほしい」という言葉が印象的だったのですが、どうして思春期の方に聴いてほしいと思うのでしょうか。
僕とカミヤマくんは小学校からずっと一緒で、家も近所で、いつも彼の家の下でずっと喋ってたりしてたんですけれど、僕らがPELICAN FANCLUBというバンドをやる上できっかけになったものというか、そこで自分たちがバンドをやろうっていう風になったきっかけっていうのと同じようなものに僕らもなりたいっていう風に話してて。それはずっとバンドを続けて行く中で、曲がらず根底にあったんですよね。だから僕らPELICAN FANCLUBが当時影響受けたような、思春期の子達に刺さるようなものを作りたいねって話になって。確かに自分が13,4歳の頃ってサビのない曲ってわかりづらいなって思いましたし、日本語じゃないだけで難しいなって思いましたし。時代にもよるんですけれど、そういう部分で僕らは思春期の人たちのきっかけになりたいっていうのがあって今の曲の形が出来て。今の自分たちの曲を聴いて、5年後10年後にもう一回聴いたときには色々音楽を知ってて、ルーツっていうものが見えてくるはずなんですよね。だから12曲それぞれに自分たちの影響を受けたものをわかりやすいように残したりしてて。そういう人たちのきっかけになりたいなと思って今の形になったんですよね。ただ単純にかっこいいと思ったから、自分たちもかっこいいことをやるだけですね。

−なるほど。それではエンドウさんが思春期の時に刺さった音楽について教えてください。
一番最初に憧れを抱いたのはBUMP OF CHICKENでしたね。バンプを聴いて、当時YouTubeっていうものが出てきて、それで色々関連付いて幅が広くなっていきましたね。その時は知ってる人しか知らないみたいな感じだったんですよね、バンプが。後はASIAN KUNG-FU GENERATION(アジカン)やELLEGARDEN(エルレ)がすごく流行ってましたね。アンダーグラウンドと言っても何を聴いてても関係なくみんなが耳に入って良いと思えばいいんだし、そうあるべきだなって思うんで。だから普段は何を聴いててもPELICAN FANCLUBは良いんだって思われたいです。今作の「Black Beauty」みたいな曲はアルバムに1曲は入れたいなと思ってて。最初は、今作そういう曲入れるのやめようって事を言ったんですけれど、結局歌う人からしたら自分の伝えたいことっていうのが一番強いなぁって思うんで、思うこと全て吐き出すというか、感情を全て知ってもらうっていうか。アルバムの中で喜怒哀楽みたいなものが全てあったほうが、僕自身のことも聴いたらわかるんじゃないのかと思うんで。

−このアルバムをどのような人に届けたいですか?
10代に聴いて欲しいなって思いますね。10代だったら素直にそのまま聴いて欲しくて、20代だったら聴いてルーツとか見えてくるかもしれないですし。聴き方の違いっていうか、純粋にこれを王道のロックとして聴く人もいれば、色んなものから影響受けてるな、このバンド、とか、そうやって探りながら聴いて欲しいっていうのもありますし、詩集を読む感覚で聴いて欲しいとも思いますし、だからすごい様々なんですけれど、でも一番自分が届けたいなって思って作ったのは思春期の方々なので、10代に聴いて欲しいなって心から思いますね。だからまずこの作品が影響力のあるものになって欲しいって思います。その上で自分たちが未来を見据えてもっと日常に対して敏感に生きていきたいなというか、それこそメンバー4人の肩を強くガシっと組めるような関係になっていきたいなと思いますね。その先は絶対に説得力のある4人組になってるはずなんで。

【Release】

『Home Electronics』
発売日:2017年5月10日(水)

【Live】
PELICAN FANCLUB TOUR 2017 “Electronic Store”
■ワンマン公演
6/09(金) 名古屋・APPOLO BASE
6/18(日) 大阪・阿倍野ロックタウン
6/25(日) 東京・代官山UNIT

■対バン公演
6/30(金) 福岡・graf
7/02(日) 広島・BACK BEAT
7/03(月) 高松・DIME
7/11(火) 新潟・CLUB RIVERST
7/12(水) 金沢・vanvanV4
7/13(木) 仙台・enn 3rd
7/14(金) 千葉・LOOK

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