最終更新: 2020年5月9日

2013年10月、THE NOVEMBERS(ザ・ノーベンバーズ)は長年所属していたレーベルを離れ、自主レーベルMERZを設立した。

それと共に彼らは音楽を作るだけでなく、作品の販売や流通すべてに関して自分自身で提案し、実行することになる。 そしてそれは、すぐに実現される。

『zeitgeist』レビュー

THE NOVEMBERSは翌月、11月に『zeitgeist(ツァイトガイスト)』をリリースした。

独立後の初作品である『zeitgeist』はTHE NOVEMBERSとしてだけではなく、間違いなく日本のロックシーンにおいて新境地を展開した作品である。

趣味嗜好とあらゆる好奇心が音とリズムと展開を作り、バリエーションの幅を大幅に増幅、変化させている。

その試みが強大なパワーとなり、『zeitgeist』という一つの作品を生み出した。

それはまるでRadioheadが『OK Computer』を作ったように実験的な楽しみ方を一つの形としてまとめたかのように。

“おまえが自分自身を 選ぶか選ばないかを選ぶ瞬間” 「Wire(Fahrenheit154)」の歌詞より

downyの青木ロビンが参加

前作『To (melt into)』で提示したTHE NOVEMBERSが間違いなくここにはある。

そこに加えてEP『GIFT』や『Fourth wall』を経て様々な人間、環境、感情に出会ったことがこの作品のインスピレーションとなっている。

そして今作『zeitgeist』では日本のロックに多大なる影響を与えたdownyの青木ロビンがプロデュースする3曲(「zeitgeist」、「Meursault」、「Ceremony」)が存在し、

愛に溢れ先を見据えた強さ、そして小刻みに打ち込まれている衝動がサウンドに化けたこの曲たちでは、未だ見たことがない新しいTHE NOVEMBERSの姿がある。

リズミカルなベースが作られている上に重なる音は、様々な手法で繰り出される。

まさに声までも楽器である。本心に疑いのない野太さ、深奥なサウンドメイクは彼らの描く世界の拡張に直結的に繋がっている上にリスナーの感覚世界をも広げる効力を持っている。

一曲ずつの展開と演出が重厚であり、濃密。彼らには広いステージがとてもよく似合うことが容易にイメージできるほどに。

均等な存在でいる意味を問う「D-503」、朝日が差したように広がっていく「Ceremony」。

ダウナーなのに胸の奥がざわつく音楽たち。生死にまつわる必要不可欠とされる生活への疑問と本当に必要なものへの問いかけ、そして興味と好意と意思。

これらを含んだ歌詞に込められた二択はとても単純であり、とても重大。大きな選択も小さな選択も、そのひとつひとつが筋となって幹となり、花となってゆく。

いい未来と人生に花を咲かせるための選択を、常に見失ってはいけない事をこの作品は教えてくれる。(ライター:pikumin 2020年5月7日更新)

リリース

4thアルバム『zeitgeist』


発売日:2013年11月30日
収録曲:
01. zeitgeist
02. We
03. Louder Than War (2019)
04. Wire (Fahrenheit 154)
05. D-503
06. 鉄の夢
07. Meursault
08. Sky Crawlers
09. Ceremony
10. Flower of life

3rdアルバム『To (melt into)』


発売日:2011年8月3日
収録曲:
01. 永遠の複製
02. 彼岸で散る青
03. 瓦礫の上で
04. はじまりの教会
05. 37.2°
06. ニールの灰に
07. 日々の剥製
08. 終わらない境界
09. holy

2ndアルバム『Picnic』


発売日:2010年3月10日
収録曲:
01.Misstopia
02.Figure 0
03.dysphoria
04.pilica
05.パラダイス
06.sea’s sweep
07.Gilmore guilt more
08.I’m in no core
09.Sweet Holm
10.ウユニの恋人
11.tu m’

1stアルバム『Picnic』


発売日:2008年6月4日
収録曲:
01.こわれる
02.Arlequin
03.chernobyl
04.アマレット
05.ewe
06.僕らの悲鳴
07.ガムシロップ
08.アイラブユー
09.白痴
10.picnic

最新アルバム『At The Beginning』

『At The Beginning』 Album Cover
発売日:2020年5月発売
価格:¥3,080(税込)
品番:MERZ-0209
収録曲:
1. Rainbow
2. 薔薇と子供
3. 理解者
4. Dead Heaven
5. 消失点
6. 楽園
7. New York
8. Hamletmachine
9. 開け放たれた窓

ライブDVD『美しい日』

THE NOVEMBERS 11th Anniversary FILM『美しい日』
フォーマット:2DVD
Disc1:11th Anniversary & 6th Album Release Live “Hallelujah” at Shinkiba STUDIO COAST(110min)
Disc2:11th Anniversary Documentary(64min)
レーベル:MERZ
品番:MERZ-0107
発売日:2017年4月22日(土)
価格:5,500円(本体価格)

プロフィール

THE-NOVEMBERS/ANGELS

“2005年結成のオルタナティブロックバンド。2007年にUK PROJECTより1st EP「THE NOVEMBERS」でデビュー。様々な国内フェスティバルに出演。
2013年10月からは自主レーベル「MERZ」を立ち上げ、 2014年には「FUJI ROCK FESTIVAL」 のRED MARQUEEに出演。海外ミュージシャン来日公演の出演も多く、TELEVISION,NO AGE,Mystery Jets,Wild Nothing,Thee Oh Sees,Dot Hacker,ASTROBRIGHT,YUCK等とも共演。

小林祐介(Vo/Gt)はソロプロジェクト「Pale im Pelz」や 、CHARA,yukihiro(L‘Arc~en~Ciel),Die(DIR EN GREY)のサポート、浅井健一と有松益男(Back Drop Bomb)とのROMEO`s bloodでも活動。ケンゴマツモト(Gt)は、園子温のポエトリーリーディングセッションや映画「ラブ&ピース」にも出演。高松浩史(Ba)はLillies and Remainsのサポート、吉木諒祐(Dr)はYEN TOWN BANDやトクマルシューゴ率いるGellersのサポートなども行う。

2015年10月にはBlankey Jet CityやGLAYなどのプロデュースを手掛けた土屋昌巳を迎え、5th EP「Elegance」をリリース。
2016年は結成11周年ということで精力的な活動を行い、Boris,Klan Aileen,MONO,ROTH BART BARON,ART-SCHOOL,polly,Burgh,acid android,石野卓球,The Birthday等錚々たるアーティストを次々に自主企画「首」に迎える。2016年9月に6枚目のアルバム「Hallelujah」をMAGNIPH/HOSTESSからの日本人第一弾作品としてリリース。11周年の11月11日新木場スタジオコーストワンマン公演を実施し過去最高の動員を記録。2017年FUJI ROCK FESTIVAL WHITE STAGE出演。

2018年2月には、イギリスの伝説的シューゲイザー・バンドRIDEの日本ツアーのサポート・アクトを務める。同年5月、新作EP『TODAY』をリリース。”

引用元:THE NOVEMBERS公式HP

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