BELONGが彼らを発見したのはおよそ一年前のこと。大阪に、いや日本にこんなバンドがいたのかと驚かざるを得ないほどの強い衝撃をもたらした新人バンド・WOMANが、ついにデビューを飾った。個々にバンド活動を経て出会った5人が共に活動を始めたのは2017年。それぞれが培ったスキルや知識を活かした巧みな音使いと洗練された音像美を得意とするWOMANは、じっくりとその才を発揮していった。
今では多くのバンドのサポートアクトに選出され、先日行われたゴート・ガールの来日公演やクラン・アイリーンの国内ツアーにも出演するなど、勢いの止まらないWOMANは関西どころか新しい日本の音楽シーンを切り開く先駆者となり得る存在だ。
デビューアルバム『beautiful』は、国内トップクラスの信頼と実績のあるFLAKE RECORDSからリリース。 「これが僕たちの音楽です」と言わんばかりの“らしさ”をふんだんに取り込んだ名刺代わりとなる存在でもあり、結成当初より掲げる“genreless”“genderless”“fearless”という3つのコンセプトこそが、彼らの音楽のキーワードであり続けることを証明した作品となっている。

『beautiful』という名前にふさわしく、 シンセやエレクトロを介したみずみずしいサウンドを主体に、 アルバムを通して多種多様に変化していく。先日MVが公開されたリード曲 「breaking dawn」では、きらめく音が重ねられていく中で、 音色の違いや時折訪れる刺激的なサウンドエッセンスに彼らのこだわりを堪能することができ、続く「bloom」では、ダークトーンをベースに、シューゲイザーやポストロックから影響を受けた印象派ギターリフや、エッジィの効いた圧の強いサウンドと、独特な音の配色に度肝を抜かれる。
ロック色の強いアクセントを取り入れつつ、クラブミュージックに甘美な彩色を乗せ、ほのかにムーディーな空気を漂わせる姿はライやyahyelに近しく、巧みな音の重ね技で、一曲のはじまりから終わりにかけてじっくりと作り上げていく様はボン・イヴェールを彷彿とさせる。ジャンルの振り幅の広さを感じさせる“genreless”な曲が揃うことこそ、WOMANらしいあるべき姿なのだ。
次に、何と言っても欠かせない崎山弥幹の中世的なヴォーカル。
切なげな声は息を吐くように零れ、歌い上げる時には泣き叫ぶように絞り出す。女性のような繊細さを漂わせるも、英詞を歌うその声は、時には日本舞踊のようなしなやかな輪郭を描き、 男性らしい凛々しさを随所に感じさせるだろう。“genderless”を担う崎山のヴォーカルこそ、このバンドの核に違いない。

WOMANが群を抜く才を発揮する要因。それは、音に対する実験と偏愛にある。
彼らにとって“ギター”や“ベース”というものはあくまで名称であって、“音が出る楽器”として扱うことに変わりはない。
弦楽器がまるでシンセのようなインパクトある音を描いていたり、 “バンド”という既存イメージでは想像ができないような楽器の使い方や役割を果たしている。それは“声”も同様。M-5「brainwash」では歌だけでなく叫び声や話し声までも彼らにとって音楽の材料なのだ。そして間に挟まれる心音までも。世の中にあるすべての音が、WOMANにとっては音楽の材料なのかもしれない。それをどう調理して、仕上げるのか。彼らの音楽は常に実験なのだ。
そしてメンバー全員が多彩な楽器を使用し、 音楽を仕上げるための手段を一切惜しまない。ボリュームからテイスト、 微々たる音の違いで生じるサウンド・スケープの変化にまでこだわられているからこそ、 重なりあう音はひとつひとつ印象的に聴こえ、絶妙な世界観を生み出している。 様々な楽器を駆使して作る多様な音楽は、今もなお変化し続けるレディオヘッドを彷彿とさせ、彼ら同様WOMANはライブでもすべての音を自らの手元からその場で再現するこだわりっぷりを見せている。彼らの作品はすべて、音楽への偏愛から生み出された愛の結晶だ。時代やムーブメントの波に侵されず、実験と偏愛を貫く姿勢こそ、WOMANのコアである“fearless”に繋がるだろう。

WOMANの音楽は、シンセサウンドを多用しているのにも関わらず、作り物の音楽という印象がない。それもそのはず、決して綺麗なままでは終わらないからだ。 人工的な音で満ちる中で、ノイズやアクの強い音を織り交ぜ、 わざと不安定に揺らす様はヒトの感情の起伏にも近しく、最も人間らしい。 まるで、心を失ったおしゃれ音楽にはならないのだと、そう提言するように。 そんな彼らの恐れを知らない攻めた音楽は、きっと世界に響くだろう。このアルバムは、WOMANのはじまりとなる。
環境音とハミングから始まるM-6「ballad」は、 ラストナンバーにして輝かしい未来のはじまりを告げている 。そこはまるで日曜日の朝の教会。パイプオルガンと共に合唱が響き渡るような美しい光景を 彷彿とさせるも、彼らは無宗教。何にも囚われず、ただ偏愛を貫いて音を鳴らすのみ。 そのひたむきさが色濃く反映された『beautiful』は、確実に新たな日本の音楽シーンのはじまりを切り開く作品となるだろう。(pikumin)

【Release】

『beautiful』
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