デビューアルバム『Rips』がPitchforkでベスト・ニュー・ミュージックに選ばれた、USガールズ・ロックバンド、エクス・ヘックス。

最新作『It’s Real』が切り開く悲しみのその先。時は1999年。人類滅亡前最後のパーティーで鳴らされる至上のロックサウンドとは!?

アーティスト:メアリー・ティモニー インタビュアー:矢部美咲(桃井 かおる子) 翻訳:Red Apple

-まずはメンバーの自己紹介と、Ex Hexというバンドの名前に込められた意味について教えて下さい。
メアリー:私とベッツィーがギターとボーカルを担当していて、ローラがドラムを担当しているわ。このバンド名は響きが良くて、韻も踏んでるから気に入ってるの。“Hex”は誰かにかける呪文だったり呪いみたいな意味だけど、これは”EX(過去の)”と“Hex”だから、全て完結していて今は全て最高ってことなの。

-フロントマンのメアリーさんを中心に2013年にバンドが結成されたとのことですが、メアリーさん自身はもともと別のバンドで活動されていたようですね。そこからどのようにしてベッツィーさんとローラさんと出会われたのか、バンド結成の経緯について詳しく教えて下さい。
ローラとベッツィーとはみんな住んでるワシントンD.C.の音楽のコミュニティーで出会ったの。そのコミュニティーは狭かったからみんながみんな知り合いみたいな感じだった。私はずっと、この2人はめちゃくちゃクールで一緒にプレイしたら楽しいだろうなって思ってたの。そしてすぐにバンドを始めて、たくさん曲を書いて、友達のガレージで練習したの。

-今作は、一貫して音質にフィルターのようなものがかけられているような、カーステレオを想わせるような音作りがされていると思います。なぜ、このような音の質感に仕上げているのでしょうか?
ありがとう!私たちは車で聴いたら良いなと思えるようなアルバムを作りたいとすごく思ってた。私たちは爆音で音楽を聴きながらドライブするのが好きなの!このアルバムは豊かなサウンドで、ファーストアルバムよりもガレージロック感を少なくして、もう少しハイファイ感と三次元感のあるアルバムにしたいと思ってたの。そしてこのアルバムは、ボルチモアでJ Robbinsっていう友達とレコーディングしたの。メアリーの家にある地下スタジオでもレコーディングしたけどね。たくさん時間を費やして、全て正しくできているか確かめたりしながら、色んな種類のマイクやアンプ、ギターやサウンドを試したりしたの。

-フィルターがかけられたような音質の中でも、ボーカルや楽器といった生の音が前面にしっかり押し出されているような印象を受けました。生音の部分に関しても、何かこだわりを持って作り込まれているのでしょうか?
このアルバムはまるで部屋の中で演奏してるように聞こえるようにもしたかったけど、サウンドを作り込み過ぎたり、偽物のようになるのは避けたかった。だから多重録音をし過ぎないようにしながら、生のサウンドをそのまま残せるように努力したわ。

-音質やバンドサウンドだけでなく、ボーカルのメアリーさんの歌声やメンバー3人の声の重なり合いもまた、今作の特徴であると思います。歌声の部分に関しても、何かこだわりを持って取り組まれたのでしょうか?
ありがとう!私たちはみんな歌うのが大好きで、このアルバムではもっとハモったり、二重に歌ったりできるように挑戦したの。

-今作は、かわいいしカッコイイしで、大人の女性が作ったアルバムのはずがどこか少女らしさも感じられます。バンドやその音楽から無邪気さを感じさせる、もしくは醸し出す秘訣を教えて下さい!
ありがとう。私たちの最大の目標は、私たちが人生の中で一番好きでよく聴いてきたロックのヒットソングのような音楽を作ることなの。作曲やアレンジはゲームやパズルのようなもので、その音楽が記憶に残りやすいか、聴いてて楽しいか、それにアレンジがしっかりできているかを確認するのにとても時間を費やしているわ。私は音楽って楽しいっていう要素があると思っていて(たまに悲しいことを歌ってる歌もあるけどね)、だから多分それが少女らしさのあるサウンドの理由かな?多分純粋に楽しんでるから?そしてシリアスでもないし、芸術的過ぎることもないからかな。

-今作は内容もさることながら、ジャケットデザインもどこか80年代のデザインを想わせるようなヴィヴィッドな色使いが印象的です。このデザインには、どのような意味が込められているのでしょうか?
ありがとう!私たちはWill Sweeneyの大ファンなの。このデザインは彼がアルバムを聴いてから考えてくれたコンセプトなの。このデザインは私たちの音楽の感じを完璧な景色として描かれていて。多くの曲は喪失についてだったり、大きな悲しみに直面しながらも前に進むことだったり、例え不可能に見える課題があったとしても強くあり続けることについて歌っていて。このアルバムカバーは世界の終末の寸前のような感じがあるの。全てが無くなって未来がやってくるように、ある種奇妙で見慣れない感じ(でもクールな感じで楽しいけどね(笑)!)。このアルバムは、”Party like it’s 1999(人生最大のパーティー)”の様な感覚があるの。音楽や、人々、そしてアートのある楽しい人生のような、そういう美しいものを楽しむ感じもあって。残りの人生で嫌なことも絶対あると思うし。そして嫌なことも世界では絶対に起こっているからね。

-あらためまして、『It’s Real 』というアルバムタイトルにはどのような意味が込められているのでしょうか?
これは、人生は時にとても”リアル”で、クレイジーなことも起こるし、ドナルド・トランプが大統領になったり、病気になって亡くなる人々もいるし、戦争も起きているっていうことを意味しているの。だからこそ今可能なら、音楽や人々、そして人生の美しいものに感謝したい。だってそれが最終的に私たちに残された全てのものだから。

-『It’s Real 』というこのアルバムをどんな人に聴いてほしい、もしくは届けたいですか?
ただこのアルバムのことが好きな人たちに届けばいいなと思う。みんなをハッピーにしたいし、私たちの音楽がみんなの心に響いてくれることを願ってる。宇宙の波動に乗って虹の島に行きたい人はこのアルバムを気に入ってくれると思うわ:)

-最後になりますが、日本のリスナーにメッセージをお願いします!
近い将来、日本で演奏できることを願ってるわ!バンドとしての大きなゴールの1つだしね!

It's Real
It’s Real

posted with amazlet at 19.02.01
Merge Records (2019-03-22)

収録曲:
1. Tough Enough
2. Rainbow Shiner
3. Good Times
4. Want It to Be True
5. Diamond Drive
6. No Reflection
7. Another Dimension
8. Cosmic Cave
9. Radiate
10. Talk to Me

【Profile】
Ex Hexは2013年に結成された米ワシントンDCのインディ・ロック・バンドだ。メンバーはMary Timony、Betsy Wright、Laura Harrisの3人。フロント・ウーマンのMary TimonyはAutoclave、Helium、Wild Flagでの活躍でも知られる。2014年10月、デビュー・アルバム『Rips』をリリース。アルバムはPitchforkで8.4/10を獲得しベスト・ニュー・ミュージックに選ばれ、NMEやExclaim!も9/10を与える等、高い評価を獲得。数多くのメディアで同年の年間ベスト・アルバムの1枚に選ばれた。アルバムのリリース後、バンドはツアーを行い、2016年にはコーチェラ・フェスティヴァルにも出演した。