インディーミュージック
目次
今週(11月1週)のインディーミュージック
“indie weekly”とはここ最近、実験的に行っていた“本日のインディーミュージック”で紹介していたアーティストを1週間分まとめたものである。
ここで紹介しているものはどれも基本的に、bandcampでジャケットとジャンル名を頼りに試聴し、ピンときたものだけをピックアップしている。
アーティスト名で検索すると、日本語で情報が出ないものが大半だ。それゆえここで紹介するのが日本で初というアーティストも少なからずいるだろう。
偏見なく未知のアーティストの音楽に触れてもらい、彼らの無垢な楽曲で感動してもらえるととても嬉しい。
Deerhunter – Timebends
奇才ブラッドフォード・コックス率いる、アメリカ・アトランタ出身のインディーロックバンド、ディアハンター(Deerhunter)の新曲。
10分を超える曲だが、丹念に練られた曲展開とコックスの悲痛なボーカルが胸を打つ。
バンドは今年自身の所属する4ADの40周年記念イベントで来日し、1月には新作『Why Hasn’t Everything Already Disappeared?』をリリースしている。
ディアハンターの最新作インタビューはこちら
Garcia Peoples – One Step Behind
アメリカ・ニュージャージーのサイケデリック・ロックバンド、Garcia Peoples。
彼らは今年の10月に3枚目のアルバム『One Step Behind』をリリースしている。
アルバムと言っても3曲収録で1曲30分を超えるというストリーミング全盛時代に中指を立てる痛快な仕様となっている。
今回紹介する新曲「One Step Behind」は、その30分を超える曲の中からシングル1曲分を抽出したというもの。
それでも約8分あるが、まだもの足りない人は1曲30分ノーカットのジャムセッションで異世界にトリップしてみては?
WAN INK – Stop II
南アフリカはヨハネスブルグ出身のSSWである、ラッパーのWAN INK。
WAN INKについての情報はほとんど分からないし、ネット上にもbandcamp以外では情報は見つからないのだが、今作『Stop II』がデビュー作になるようだ。
表題曲「Stop II」はロック調だが、2曲目の「The Police」はヒップホップ調となっている。
曲の作りはしっかりしているものの、ボーカルはお世辞にも上手いとは言い難い。
しかしながらそれを補って余りあるほど、抑えがたい衝動を音楽に宿しているのがはっきりと分かる。
また今作は3曲入りなのだが、1曲目は曲途中で終わるし、2曲目と3曲目はほぼ同じ?というよく分からない作品構成で、謎が謎を呼ぶがもっと知りたくなる新人である。
Beps’n’Johnnies – Bare Bones
THE NOVEMBERS meets Daughterと言うと褒め過ぎだろうか。
チェコ共和国、第二の都市であるブルノ出身の3ピースバンド、Beps’n’Johnnies。
彼らは2015年に結成したバンドで、2017年に1枚のEPとこれまで3枚のシングルをリリースしている。
来年の1月にはデビューアルバム『Bare Bones』をリリースし、今回紹介するのはこのアルバムのタイトル曲「Bare Bones」。
先にDaughterを引き合いに出したように、憂いを湛えたボーカルをフィードバック・ノイズで引き立てる具合が素晴らしい。
ジャンル的にはシューゲイザーであるが、その枠には収まらない豪快なロックサウンドも同時に味わえるのがこのバンドの醍醐味。
世界中で活躍するバンドになるのはもはや時間の問題だろう。今のうちにチェックを!
Astral Brain – Five Thousand Miles
北欧×ドリームポップという組み合わせにハズレなし!
今回紹介するAstral BrainはEinar EkströmとSiri af Burénの二人からなるプロジェクトで、北欧はスウェーデンのストックホルムで活動している。
彼女たちは2019年の4月に2曲入りのシングル「From Above」をリリースしたばかりで、「Five Thousand Miles」がシングル2作目となる。
メンバーのEinar Ekströmは北欧のインディーバンド、Le futur pompisteのメンバーでもあり、2作目といえども完成度はとても高い。
デビュー作「From Above」は勢いで作った感は否めないが、今作では軌道修正し、非の打ちどころのない作品に仕上げているのが素晴らしい。
ドリームポップの新星として是非チェックして欲しい!手作り感満載のチープなMVも必見です。
Shana Falana – “Darkest Light”
ヘビーシューゲイズバンドとは何ぞやと語るとき、これだけは外せないという3拍子がある(あくまで個人的に)。
シューゲイザーの中でも暗い・重い(サウンドが)・ボーカルが良いという3つは欠かせない。
今回はそんなヘビーシューゲイズで飛び切りかっこいいバンドを紹介したい。
今回紹介するのはニューヨーク・ブルックリンのShana Falana。
彼らはShana FalanaとMichael Amariによる、デュオという編成で活動している。
今までに2枚アルバムを出しており、今年の10月25日にサードアルバム『Darkest Light』をリリースした。
アメリカのシューゲイズバンドと言えば、The Pains Of Being Pure At Heartのようなギターポップに寄せたものが多い印象がある。
しかし彼らはひたすら前述した3拍子を徹底的に追求している。
ただビジュアル面がダーク過ぎるゆえ、近寄りがたい印象を与えているのは少しもったいない。
逆に言うとそれだけ自分の表現に忠実なバンドとも言え、それゆえに完成度が高いものを作れるのだろう。
今後、注目していきたいバンドの一つだ。
Michael Seyer – Nostalgia
アグネスチャン!?みたいなジャケットが印象的なマイケル・セイヤー(Michael Seyer)の新作がリリースされた。
マイケル・セイヤーはカリフォルニア・ガーデナ出身のアーティスト。
これまでに数々の作品を発表してきているが、11月8日に『Nostalgia』EPをリリースした。
聴いてお分かりの通り、彼の音楽はノスタルジックで脱力したサウンドが魅力的。
しかし脱力しまくったあまり、Facebookによると自身のジャンルはfart step(直訳すると屁の歩み?)と書いているほど(笑)。
ジャンル名にはやや難ありだが、作曲センスは十二分にあり、楽曲のクオリティも高い。
彼のことを調べていると、中には元ゆらゆら帝国の坂本慎太郎大先生と比較している記事もあったほど。
知れらていないのがもったいない程の有望株なので、是非いち早く押さえて頂きたい。
ライター:矢部友宏
BELONGの編集長。理想のインディーミュージックを追い求め、日夜bandcampを漁っている。
リリース情報
Deerhunter – Timebends
Garcia Peoples – One Step Behind
Beps’n’Johnnies – Witch(『Bare Bones』収録曲)
Astral Brain – Five Thousand Miles
Shana Falana – Darkest Light
Michael Seyer – Nostalgia
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