最終更新: 2020年12月6日

GEZAN
GEZANのニューアルバム『狂(KLUE)』について書く前に一言。

正直なところ音源を聴かせていただいた瞬間「ちょっと、これは生半可な気持ちで書けないな」とたじろいだ。

武士でいうところの切腹。それに似た、いやそれ以上の覚悟を感じたからだ。

こちらも死ぬ気で書かせてもらう。

GEZANとは

GEZAN
まずはGEZAN(下山 ゲザン)というバンドについて。

マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo./Gt.)とイーグル・タカ(Gt.)、カルロス・尾崎(Ba.)、石原ロスカル(Dr.)の4人からなるオルタナティブ・ロックバンド。

2016年にオリジナルメンバーであるシャーク・安江(Dr.)が脱退し、一度バンドは活動休止となる。

その後、新メンバーとして石原ロスカル(Dr.)が加入し、再始動。

大阪にて結成された彼らは自主レーベル十三月も立ちあげ、投げ銭制フェス『全感覚祭』の主催も行う。

歌詞から読み解く『狂』という覚悟

狂(KLUE)
それではようやく『狂(KLUE)』での覚悟について。

アルバムは1曲目「狂」にていきなり“今、お前はどこでこの声を聞いてる?”と訴えかける。

そして次のように宣言する。

“この音楽は大人のおもちゃにはならないが、時代のおもちゃになることを要求している”

GEZANの音楽を聴くならば、あるいは語りたければこの要求と向きあうしか方法はないのだ。

ケモノや妖怪の類いを思わせるマヒトの唸りや咆哮、そして囁きは全て耳の鼓膜を通過して直接脳に訴えかける。

“神さまを殺せ/権力を殺せ/組織を殺せ/ GEZANを殺せ”(赤曜日)

儀式や礼拝、祭礼に用いられる演奏のように極めて厳粛な雰囲気をまとった音とともに、殺るか殺られるかで音楽をやっているのだ。

「東京」では“政治の歌じゃない”と唄いながらも、

“政治と言葉にした時/一番最初に浮かんだフェイス/好きな人の顔であるべきだから”という一節からは真意を汲み取った。

彼らのその覚悟は“愛すべきたくさん風景”(Soul Material)のためなのかもしれない。

2020、新時代の幕開けとともに届けられたGEZAN通算5枚目のアルバムは命をかけても守りたいものについての作品。

そして、当たり前を見直し、これから訪れる未来のために変革をもたらす音楽である。

一言も、一音も聴き逃してはならない。

リリース情報

最新アルバム『狂』アナログで4月18日発売!

狂(KLUE) [Analog]
狂(KLUE) [Analog]

posted with amazlet at 20.02.20
GEZAN
十三月の甲虫 (2020-04-18)

品番:JSGM-34LP
定価:¥3,500 +税
発売元:十三月
収録曲目:
(A SIDE) 1. 狂 / 2. EXTACY / 3. replicant / 4. Human Rebellion / 5. AGEHA / 6. Soul Material / 7. 訓告 / 8. Tired Of Love
(B SIDE) 9. 赤曜日 / 10. Free Refugees / 11. 東京 / 12. Playground / 13. I
(2020年2月20日追記 BELONG編集部)

狂(KLUE)
狂(KLUE)

posted with amazlet at 20.02.02
GEZAN
十三月 (2020-01-29)
売り上げランキング: 179

Recording & Mixing engineer:内田直之
Recorded at Red Bull Studios Tokyo
Mixed at makisato lab
Mastered by Fumitake Tamura
Cover Photo:Ai Iwane
design:Satoshi Suzuki
収録曲:
1. 狂
2. EXTACY
3. replicant
4. Human Rebellion
5. AGEHA
6. Soul Material
7. 訓告
8. Tired Of Love
9. 赤曜日
10. Free Refugees
11. 東京
12. Playground
13. I

『Tribe Called Discord〜documentary of GEZAN』DVDで発売!

発売日:2020年3月18日
価格:¥3,500(税別)
品番:JSGM-35
特典映像:
・WESTCOAST TOUR ボディビルディングプロジェクト未収録映像
・2019.8.31 ライブ映像2本収録
・○recording with Steve Albini -a Making of Silence will Speak-
配信情報:
GooglePlay、YouTube、Amazon、ひかりTV、ビデオマーケット、Rakuten TV、TSUTAYA TV、GYAO!ストア、DMM他にて配信予定
※配信は映画本編映像のみ

プロフィール

GEZAN
2009年大阪にて結成のオルタナティブロックバンド。
2012年、拠点を東京に移し全国各地で独自の視点をもとに活動を行う。FUJI ROCK FESTIVAL ’19のWHITE STAGEやSXSWなど大型フェスに出場しながら、価値を再考する野外フェスの全感覚祭や、国内外の多彩な才能をおくりだすレーベル・十三月を主催。
2020年1月29日に5枚目となるフルアルバム「狂 -KLUE-」をリリースする
HP:http://gezan.net/

Youtube

GEZAN / 赤曜日(Official Music Video)

GEZAN / 東京 (Official MUSIC Video)

GEZAN – 「赤曜日」「東京」(FUJI ROCK 19)

ライター:滝田優樹
滝田優樹
北海道苫小牧市出身のフリーライター。音楽メディアでの編集・営業を経て、現在はレコードショップで働きながら執筆活動中。猫と映画観賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
Twitter:@takita_funky