最終更新: 2021年3月30日
独自のサウンドや奇抜なファッションセンスで注目を集めるポップアイコン・Grimes(グライムス) 。
前作『Art Angels』から5年、Grimesが発表した最新アルバム『Miss Anthropocene』は余りにダークな内容だった。
目次
『Miss Anthropocene』とは
Grimes(グライムス)の最新アルバム『Miss Anthropocene』はタイトルからして耳馴染みのない言葉で、読み方としては“ミス・アントロポセン”だそうだ。
過去にノーベル化学賞を受賞したドイツの大気学者が提唱した“人新生”の考えに基づく造語で、
人類が地球の気候や生態系などに与える影響に関する地質学上のなんちゃらかんちゃら・・・って分からんわ!
要は常用単語ではないということである。
読めたとしても、ネイティブの人でさえ「何これ?」となってしまう言葉がタイトルになっているのである。
Grimesの過去の作品は比較的にシンプルなタイトルが並び、ジャケットも奇抜なデザインが目を引き、そうした所が却ってキャッチーで彼女らしかったように思う。
そう、ジャケットも問題である。Grimesっぽさはあるものの、一見すると誰の作品なのかが分からない。
しかも今作のアー写に本人の姿はなく、そこにあるのはCGによるグラフィックキャラクター。東南アジアの菩薩のような、それでいてメデューサのような・・・何とも形容し難い。
Grimesのアバター
実はこのキャラクター、Grimesが扮する世紀末に現れる終末の女神・Miss Anthropoceneそのものなのである。
つまり今作はGrimesの最新作と言うよりも、架空のキャラクター・Miss Anthropoceneのアルバムと言ってしまう方が正しいのである。
実際、終末の女神が歌う楽曲というだけあって、過去のGrimesの作品と比べて重たく変化のないサウンドが続いていくような内容になっている。誰が聴くんだかなぁ・・・。
Grimes妊娠発表
事実、『Miss Anthropocene』をリリースしたことよりもメディアはGrimesの妊娠を大々的に取り上げている。
しかもお相手は宇宙関連の企画経営を進めるスペースX社を立ち上げ、テスラモーターズの経営者でもある実業家のイ―ロン・マスク。
ポップアイコンから大金持ちセレブリティ、そりゃあアルバムの話なんぞ出んわ・・・。
と、先日亡くなられた野村克也さんのようなぼやきが思わず出てしまったのだが、のむさんのぼやきにはちゃんと愛があるので、
私も愛を持ってこんなダークになってしまった『Miss Anthropocene』の打開策を提案したい。
『Miss Anthropocene』は名盤か迷盤か
まず『Miss Anthropocene』というタイトルと謎のキャラクター、これらを全て【美少女戦士・セーラーグライムス】に変えるべきである。
収録曲「My Name Is Dark」のMVで、自撮り中のGrimesが自らにセーラーマ―ズの合成素材で盛るという、もはや確信犯的な演出を取っている。
さらに、「Delete Forever」のMV中で彼女が被っているウィッグはどう見てもベースに月野うさぎの金髪お団子ヘアがあるとしか思えない。
セットだってどう見ても荒廃したシルバーミレニアム・・・。
と、このままではセーラームーンの専門用語の羅列になるので、結果として今作は“この地球(ほし)は私が守る!月に代わってお仕置きよ!”
というスタンスが一貫していれば、『Miss Anthropocene』というワケの分からない設定に至らずとも済んだように思う。
イ―ロン・マスクも有人宇宙飛行的な計画を打ち上げているとかで、マスク夫人になったのならセーラームーン路線を貫いた方がメディアもおめでたからのアルバムリリースでおめでた祭り状態な取り上げ方に変わっていたのでは?
月に代わってお仕置きできなかった残念なアルバム、それが『Miss Anthropocene』である。(2020年5月7日更新)
アルバムリリース
5thアルバム『Miss Anthropocene』
BEAT RECORDS / 4AD (2020-02-21)
売り上げランキング: 1,149
収録曲:
01. So Heavy I Fell Through the Earth
02. Darkseid (with 潘PAN)
03. Delete Forever
04. Violence (with i_o)
05. 4ÆM
06. New Gods
07. My Name is Dark
08. You’ll miss me when I’m not around
09. Before the fever
10. IDORU
11. We Appreciate Power (with HANA) *Bonus Track for Japan
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4thアルバム『Art Angels』
4AD (2015-12-11)
売り上げランキング: 150,950
収録曲:
01. laughing and not being normal
02. California
03. SCREAM ft. Aristophanes
04. Flesh without Blood
05. Belly of the Beat
06. Kill V. Maim
07. Artangels
08. Easily
09. Pin
10. Realiti
11. World Princess part II
12. Venus Fly ft. Janelle Monáe
13. Life in the Vivid Dream
14. Butterfly
15. REALiTi (Demo)
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3rdアルバム『Visions』
4ad / Ada (2012-02-21)
売り上げランキング: 387,258
収録曲:
01. Infinite Without Fulfillment
02. Genesis
03. Oblivian
04. Eight
05. Circumambient
06. Vowels = Space And Time
07. Visiting Statue Face
08. Be a Body
09. Colour of Moonlight (Antiochus) – (featuring Doldrums)
10. Symphonia IX (My Wait Is U)
11. Nightmusic – (featuring Majical Cloudz)
12. Skin
13. Know the Way (Outro)
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2ndアルバム『Halfaxa』
Arbutus (2012-01-31)
売り上げランキング: 197,307
収録曲:
01. Outer
02. Intor / Flowers
03. Weregild
04. ?Rasik?
05. Sagrad ?
06. Dragvandil
07. Devon
08. Dream Fortress
09. World ? Princess
10. River
11. Swan Song
12. O O O O O O O O
13. My Sister Says the Saddest Things
14. Hallways
15. Favriel
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1stアルバム『Geidi Primes』
Arbutus Records (2016-02-05)
売り上げランキング: 563,747
収録曲:
01. Caladan
02. Sardaukar Levenbrech
03. Zoal, Face Dancer
04. Rosa
05. Avi
06. Feyd Rautha Dark Heart
07. Gambang
08. Venus in Fleurs
09. Grisgris
10. Shadout Mapes
11. Beast Infection
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Grimesプロフィール
“カナダのバンクーバーを拠点に活動中の女性ソロアーティスト。本名クレア・バウチャー。独学で作曲を学び、宅録で作品を作り始める。これまでに自主レーベルからスプリット作を含むアルバムをリリース。3枚目となる『ヴィジョンズ』より、英名門レーベル<4AD>に移籍した。NMEの”最もエキサイティングな新人バンド2012″の1位に選出され、今年最も飛躍が期待される女性アーティストとして既に高い注目を浴びた。サマーソニック 2012で待望の初来日を果たし、2013年には日本ツアーを開催。渋谷クアトロ公演はソールドアウトとなった。2016年1月には東京と大阪でツアーを行った。”
Grimes代表曲(Youtube)
- Grimes – Darkseid with 潘PAN (Lyric Video)
- Grimes – IDORU (Slightly Longer Version)
- Grimes – IDORU (Slightly Shorter Version)
- Grimes – Violence
- Grimes – We Appreciate Power
- Grimes – So Heavy I Fell Through the Earth
- Grimes / 4ÆM
- Grimes – Delete Forever
ライター:桃井 かおる子
スマホ、SNSはやっておらず、ケータイはガラケーという生粋のアナログ派。