Mura Masa(ムラ・マサ)の新作『R.Y.C』を一言で語るならば、インディロックやパンク由来のギターサウンドをふんだんに使用した、力動感に溢れる作品。

ここだけ切り取るとロックバンドの紹介かと勘違いされてしまうかもしれない。

が、Mura MasaはプロデューサーやDJ、シンガーソングライターとして活動する若きアーティストである。

驚くべきは、そのギター音の調理方法。後ほど詳しく記載するが細部を探れば探るほどワクワクしてしまうアルバム『R.Y.C』を作りあげた。

そんなMura Masaが8月に開催される“フジロック2020”に出演することが決定。新作を発表してからの来日は、これが初めてだ。

果たしてMura Masaはライブにて新曲をどのように届けてくれるのか――。

そこで彼のプロフィールや作品を紹介しながら、フジロックでの見どころをお届けする。

Mura Masaとは

Mura Masa
Mura Masa(ムラ・マサ)こと本名アレックス・クロッサンは1996年生まれ、イギリスのジャージー島で育った。

Mura Masaという名前はあの名刀“村正”から付けられている。

15歳から本格的に曲づくりを行ってきた彼は、2015年にEP『Someday Somewhere』にてデビュー。

エレクトロやハウスを土壌に、ヒップホップやインディロック、そして民族音楽などを練り合わせながら、これまでに2枚のフルアルバム(『Mura Masa』、『R.Y.C』)を発表している。

2016年のフジロックにて初来日を果たし、2018年初の単独来日公演を開催。昨年、2019年には東京・大阪でのジャパンツアーも行った。

プロデューサーとしては、“XL Recordings”所属のLåpsleyやUKグライムの代表Stormzyの楽曲も手掛けており、

Travis ScottやEd Sheeranといった大物アーティスト達のリミックスも行っている。

『Mura Masa』

日本との関わりも深く、アーティスト達からも支持を受けるMura Masa(ムラ・マサ)の1stフルアルバム『Mura Masa』。

2017年にリリースされたアルバムは、第61回グラミー賞にて2部門にノミネートされ、“最優秀リミックスレコーディング賞”を受賞する。

スティールパン、鉄琴といった打楽器を有効的に使用しつつ、水流音やTVの音声などもサンプリング。

ダンスミュージックのように躍動的に音を鳴らしつつも、聴くほどに惹きつけられてしまう音の工夫が施されている。

代表曲「what if i go」

デーモン・アルバーン(Blur、Gorillaz)やA$AP Rocky、Charli XCX、Naoなどなど多数の客演を迎えられている豪華な作品の中でも白眉に挙げるのは「what if i go」。

ロンドンを拠点とする女性シンガーBonzaiが参加の楽曲で、先述の打楽器を余すことなく楽しめる。

音質が荒いドラミングと煌びやかな音色が敷き詰められた、南国な雰囲気。

エレクトロやEDM、民族音楽など多要素を切り貼りされたサウンドとの一体感を成すのは、Bonzaiのヴォーカルだ。

リズム感をバッチリと捉えたノリのよさに加えて、抑揚の効いたヴォーカルさばきは天性のものといっていい。

発想力と自由度の高い楽曲に、的確なゲストを迎えたデビューアルバム『Mura Masa』。

Mura Masaのソングライティングとともにプロデューサーとしての才能が光る作品だといえよう。

『R.Y.C』

そんなデビューアルバム『Mura Masa』から約3年後のリリースとなった2ndアルバム『R.Y.C』(Raw Youth Collageの略)。

今回ゲストに迎えられたのはClairoやSlowthai、Georgia、エリー・ロウゼル(Wolf Alice)など、またしても豪華な顔ぶれ。

前作『Mura Masa』も隠し味程度にその色合いは隠されていたものの、序文で明記した通り、新作の主題は完全にギター音。

故に70年~80年代パンク・ロックや90年代インディロックの香りを醸し出し、それらに憧憬やに充ちているノスタルジックな作品・・・ではない。

ローファイなギターサウンドをはじめとするバンドサウンドも完全にそれらを再現しているといえよう。

しかしながら、ギター音はアンプを通されておらず、生ドラムも使用されていない。

Televisionの楽曲のサンプリングや打ち込みを導入。現代的な手法を駆使して、このパンキッシュなバンドサウンドを創造したのである。

この突飛なプロダクションを鑑みると懐かしさの一言に片づけられるわけがない。パンク・ロックをやりたいなら、バンドを組んだ方が手っ取り早いに決まっている。

それでもそれをやらなかった理由とは――。

『R.Y.C』がパンクの理由

Mura Masa
過去作や今作においてもMura Masa(ムラ・マサ)の歌詞では、世界情勢や彼が住むイギリスに対しての苛立ちや非観を反映させたものが見え隠れする。

こうした姿勢はパンク・ロックの精神に通ずる。

そうした私的な感情を直接注入するためにも、これまでMura Masaがやってきたやり方で、パンクをやることこそが彼にとってのリアリティーだったに違いない。

サンプリングでの引用と打ち込み、そして客演といった他者やデジタルを介しても彼のやり方はずっと一貫しており、嘘偽りは一切ない。

これらを踏まえて、来日での見どころとは。

フジロックの見所

フジロック 2020
マルチプレイヤーとしても知られるMura Masa(ムラ・マサ)は、ライブにおいてギターやドラム、キーボードなど自ら演奏する。

それにより肉体的に音の生々しさやその場の空気感も充分に感じることができる。

音源を単に再現するパフォーマンスなのではなく、即興的に新たに創り上げるといった言い方が適切かもしれない。

そのライブにおいて『R.Y.C』をどのように披露するのか、それを確認するだけでも意味がある。

バンドを携えてか、はたまたBUDX Tokyoにて行われたDJセットとなるのか今から楽しみにしておこう。

Georgiaとのコラボも!?

Georgia
また、新作『R.Y.C』収録の楽曲「I Don’t Think I Can Do This Again」ではClairo。「Live Like We’re Dancing」ではGeorgiaが参加。

両者ともにMura Masaと同じフジロック初日(8月21日)でのアクトが決定しているため、夢のようなコラボにも期待したい。(2020年5月8日更新)

アルバムリリース

2ndアルバム『R.Y.C』

R.Y.C [Explicit]
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ムラ・マサ
Polydor Records (2020-01-21)
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収録曲:
01.Raw Youth Collage
02.No Hope Generation
03.I Don’t Think I Can Do This Again (with Clairo)
04.a meeting at an oak tree (with Ned Green)
05.Deal Wiv It (with Slowthai)
06.vicarious living anthem
07.In My Mind
08.Today (with Tirzah)
09.Live Like We’re Dancing (with Georgia)
10.Teenage Headache Dreams (with Ellie Rowsell)
11.(nocturne for strings and a conversation)

1stアルバム『Mura Masa』

Mura Masa [Explicit]
Mura Masa [Explicit]

posted with amachazl at 2020.04.09
ムラ・マサ
Polydor Records (2017-07-14)
売り上げランキング: 30,597

収録曲:
01.Messy Love
02.Nuggets (feat. Bonzai)
03.Love$ick (feat. A$AP Rocky)
04.1 Night (feat. Charli XCX)
05.All Around The World (feat. Desiigner)
06.Give Me The Ground
07.What If I Go (feat. Bonzai)
08.Firefly (feat. Nao)
09.NOTHING ELSE! (feat. Jamie Lidell)
10.helpline (feat. Tom Tripp)
11.Second 2 None (feat. Christine & The Queens)
12.Who Is It Gonna B (feat. A. K. Paul)
13.Blu (feat. Damon Albarn)

フジロック2020詳細


FUJI ROCK FESTIVAL ’20
8月21日(金)22日(土)23日(日)@新潟県湯沢町 苗場スキー場

プロフィール

Mura Masa

“96 年生まれ、UK 出身。幼いころアメリカンのインディ・ロック、パンク・ロックやポップ・ミュージックを 聴いて育つ。15 歳でエレクトロニック・ミュージックに触れ、自らビートをプロデュースするようになる。 Soundcloud に音楽を公開すると、すぐにメジャー・レーベルと契約を結ぶ。2017 年に発表されたセルフ・タイトルのデビュー・アルバムには、A$AP ROCKY からまだ無名であったイン ディー・アーティストまで、MURA MASA が認めた才能の持ち主が多く参加。2018 年グラミー賞 2 部門に ノミネートされる。 デビュー以来、ジャケ写や映像など音楽以外のクリエイティブ・コントロール全てに関わっている。2nd アルバ ムとなる『R.Y.C.』のジャケット写真も考案。希望を見出しづらい灰色の時代に覗く と描かれたニコちゃんマークが象徴的だ。”

引用元:フジロックHPより

Youtube

Mura Masa, Georgia – Live Like We’re Dancing (Official Video)

Mura Masa – No Hope Generation (Official Video)

Mura Masa, Clairo – I Don’t Think I Can Do This Again (Official Video)

ライター:滝田優樹

北海道苫小牧市出身のフリーライター。音楽メディアでの編集・営業を経て、現在はレコードショップで働きながら執筆活動中。猫と映画観賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
Twitter:@takita_funky