最終更新: 2021年7月8日
さかしたひかる(Vo./Gt.)と長谷川啓太(Dr./Cho.)による2ピースバンド、ドミコ(domico)がミニ・アルバム『VOO DOO?』をリリースした。
活動当初から何かに括られることを拒み、オリジナリティのある歌詞を大切してきたドミコは、捉えどころのないバンドだと称されてきた。
そして、常に自分たちがやりたいことをやりぬき、作品毎に“こんなドミコはいかがですか?”と聴き手に解釈を委ねてきた。
事実、2ndミニ・アルバム『DELIVERY SONGS』を除いて、ドミコの作品タイトルには“?”が冠せられている。
今回リリースされる『VOO DOO?』も、その例外ではない。
果たして、今作をもってドミコというバンドを暴き、その問いかけに確信を持って答えることはできるのだろうか?
目次
ドミコとは
2011年に結成された埼玉県川越市出身のドミコ(domico)は、2014年に初の全国流通盤となるミニ・アルバム『深層快感ですか?』をリリースした。
その後2016年には1stフルアルバム『SOO COO?』(ソークール)を、2017年には2ndアルバム『hey hey,my my?』を発表。
全国ツアーの開催やフジロック、フジロックといった国内大型フェスへの出演に加えて、全米や中国ツアーといった海外でもライブを行ってきた。
ドミコCM曲に起用
2019年にリリースしたドミコの3枚目となるアルバム『Nice Body?』。収録曲の「ペーパーロールスター」は、Apple Musicの日本オリジナルCM曲に起用される。
自然発生的に生まれたようなクセと野性味のあるサウンド。高揚感を与え、不思議な響きを聴かせるゆらゆらとしたヴォーカル。その一方で、歌詞はナイーブな一面が見え隠れしたりする。
決して知られたくない様な 知られてみたいような 胸は鼓動を打ち温め込む(「こんなのおかしくない?」)
額を殴ってくれないときっとわかんないんだよI Dont Know(「わからない」)
そんな音楽性を生んだのは、自分たちでもドミコをまだわかっていなく、それを知るために模索した結果だったようにも思える。
しかしながら、魅力であるパンクやサイケ、グランジを交配させつつ浮遊感を纏わせたメロディは、その過程のなかでドミコのアイデンティティとして確立したといえよう。
VOO DOO?
ドミコ(domico)の前回のアルバム『Nice Body?』は過去最大に音圧を感じる力強い作品であったのに対して、今作『VOO DOO?』はやや肩の力の抜けた印象。
その代わりに全体的にサイケデリックの色合いが増し、巧妙に立ちまわった作品となっている。
「化けよ」歌詞のからくり
「化けよ」や「さなぎのそと」は、突飛なギターサウンドが映えるナンバー。
特にディレイの効いたアルペジオがループし、怪異な音を奏でる「化けよ」。
これだけでも陶酔感たっぷりだが、歌詞も遊び心あるものになっている。
“化けろ 化けろ”“化けよ 化けよ”という歌詞は何度もリフレインされ、“おばけ おばけ”という響きに聴こえてくる不思議。
そう、1曲目にクレジットされている曲は「おばけ」だ。
そんなからくりにうっとりしていると、豪快なロックンロールを展開する「びりびりしびれる」がやってくる。
動物みたいに どうでもいいこと 気にしたりしないで “LA LA LA LA LA “(「びりびりしびれる」)
タガが外れたかのように凶暴なサウンドも、自由奔放な歌詞もアルバムの中での緩急として機能する。
また、静謐なアルペジオが優しく響き渡る「地動説」。ドミコでは珍しい、スロウなバラードを前作に続きラストに持ってきた。
ぐるぐる回ってよ あたしの周りに ぐるぐる回ってね 誰かのために(「地動説」)
どこまでも澄んだピュアな音色が、無邪気な歌詞にどこか悲しいニュアンスを与える。
このように今作は楽曲にドミコらしさを残しつつも、様式も音質もすべてがバラバラで統一感はない。
情緒が多方面にふれており、アルバムを通して聴いても掴みどころのない内容となっている。
またしてもドミコの“?”に振り回されることとなってしまった。
先述にてドミコは、ドミコを知るために模索していると記したが訂正させて欲しい。
もはや天然さを気取って、リスナーをかき乱すこの状況を楽しんでいるに違いない。
何ものでもないからこそ、何ものにでもなれる。実に憎らしいが、そういう意味で飄々と立ちまわり続けるドミコはまだまだ底しれない。
猿犬蛙馬
ドミコ(domico)が新曲「猿犬蛙馬(さるいぬかわずうま)」を2021年6月9日にリリースし、7月7日にミュージックビデオが公開された。
映像ディレクターはこれまでのドミコのミュージックビデオを手掛けている今原電気が担当している。(2021年7月8日 BELONG編集部追記)
ドミコ(domico) / 猿犬蛙馬(SARU INU KAWAZU UMA) (Official Video)
アルバムリリース
ミニアルバム『VOO DOO?』
発売日:2020年4月15日
収録曲:
1 . おばけ
2 . 化けよ
3 . びりびりしびれる
4 . 噛むほど苦い
5 . 問題発生です
6 . さなぎのそと
7 . 地動説
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3rdアルバム『Nice Body?』
RED Project Room, a division of Sony Music Entertainment(Japan)Inc. (2019-04-10)
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収録曲:
1 . ペーパーロールスター
2 . さらわれたい
3 . My Body is Dead
4 . 裸の王様
5 . 服をかして
6 . わからない
7 . アーノルド・フランク&ブラウニー
8 . あたしぐらいは
9 . マイダーリン
10. ベッドルーム・シェイク・サマー
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2ndアルバム『hey hey , my my?』
RED Project Room, a division of Sony Music Entertainment(Japan)Inc. (2017-10-18)
売り上げランキング: 27,610
収録曲:
1. マカロニグラタン
2. こんなのおかしくない?
3. ロースト・ビーチ・ベイベー
4. ミッドナイトネオン
5. 怪獣たちは
6. バニラクリームベリーサワー
7. 家出をして
8. 深海旅行にて
9. くじらの巣(album ver.)
10. 幽霊みたいに
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1stアルバム『SOO COO?』
RED Project Room, a division of Sony Music Entertainment(Japan)Inc. (2016-11-09)
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収録曲:
1.my baby
2.まどろまない
3.グレープフルーツジュース
4.Pop,Step,Junk!
5.Slip In Pool
6.さなぎのなか
7.マイララバイ
8.haii
9.おーまいがー Album ver.
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VOO DOO TOUR?
料金:ADV. ¥3,500 / 当日 ¥4,000 ※ドリンク代別
※オールスタンディング
チケット:一般発売:3月21日(土)〜
ドミコ プロフィール
“2011年結成。さかしたひかる(Vo/Gt)と長谷川啓太(Dr,Cho)の2人からなる独自性、独創性で他とは一線を画す存在。
過去『soo coo?』(2016.11)『hey hey,my my?』(2017.10)『Nice Body?』(2019.02) 3枚それぞれ異なる個性を放つアルバムをリリース。
ドミコの真骨頂は音源のみならず、ステージ上2人だけで音を重ね原曲を変幻自在に進化させていくライブにも定評があり、
既にFUJI ROCK FES.’17’、19、RISING SUN、RUSH BALL、ROCK IN JAPAN’19 等の大型ロックフェスに軒並み出演。
JET全国ツアー(2018.03)帯同、中国ツアー(2017.11)、SXSW及び全米6箇所のツアー(2018.03)、台湾公演(2018.12) 等を経て、
2019年に全国15箇所で開催したアルバムレコ発ワンマンツアー『Nice Body Tour?』を開催すると、恵比寿リキッドルームで行われた東京公演もSOLD OUT。
ワンマンツアーを成功させ全国の夏フェスへの出演も果たしたドミコのこの先の活動から目が離せない。”
HP:https://www.domico-music.com/
Twitter:https://twitter.com/hikarururururu
instagram:https://www.instagram.com/hikarucchi_domico/
ドミコ 代表曲(youtube)
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ライター:滝田優樹
1991年生まれ、北海道苫小牧市出身のフリーライター。TEAM NACSと同じ大学を卒業した後、音楽の専門学校へ入学しライターコースを専攻。
そこで3冊もの音楽フリーペーパーを制作し、アーティストへのインタビューから編集までを行う。
その経歴を活かしてフリーペーパーとWeb媒体を持つクロス音楽メディア会社に就職、そこではレビュー記事執筆と編集、営業を経験。
退職後は某大型レコードショップ店員へと転職して、自社媒体でのディスクレビュー記事も執筆する。
それをきっかけにフリーランスの音楽ライターとしての活動を開始。現在は、地元苫小牧での野外音楽フェス開催を夢みるサラリーマン兼音楽ライター。
猫と映画鑑賞、読書を好む。小松菜奈とカレー&ビリヤニ探訪はライフスタイル。
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Twitter:@takita_funky