最終更新: 2020年9月23日
Gorillaz(ゴリラズ)による新プロジェクト、Song Machine(ソングマシーン)が始動!
slowthaiやSlaves、Fatoumata Diawaraを始め、GeorgiaやNew Orderのベーシストとしても知られるピーター・フックなどの豪華ゲストが参加。
さらにはTame Impalaとのコラボまでもが噂されているこのプロジェクト。
Song Machineとは一体どのようなプロジェクトなのか、そしてコラボ曲についても掘り下げているのでぜひ読んでみていただきたい。
目次
Gorillazとは
Gorillaz(ゴリラズ)はBlurのデーモン・アルバーンと世界的コミック・アーティストであるジェイミー・ヒューレットによるバーチャルの覆面音楽プロジェクト。
“世界でもっとも成功した架空のバンド”としてギネスにも認定されたバンドだ。
メンバーは2D(Vo./Key.)、マードック・ニカルス(Ba./Vo.)、ヌードル(Gt./Key./Vo.)、ラッセル・ホブス(Dr./Percussion)による4人組。
Gorillazの結成は1998年。2001年にデビューアルバム『Gorillaz』をリリースし、ソニックマニアで初来日。
2005年にセカンドアルバム『Demon Days』、2010年にはサードアルバム『Plastic Beach』、そして2011年に4thアルバム『The Fall』をリリース。
2017年に5thアルバム『Humanz』をリリースし、フジロック・フェスティバルでヘッドライナーを務めた。
2018年には6thアルバム『The Now Now』のツアーで東京公演で来日を果たした。
Song Machineとは
Gorillaz(ゴリラズ)が始動した新プロジェクト、Song Machine(ソングマシーン)。
まだまだ謎に包まれているこのプロジェクト。
現在3本の動画がSNS上にアップされているが、毎回新たにゲストを招いてコラボした楽曲と、スタジオでの様子などの動画が発表されるようだ。
Gorillazのドラマーであるラッセル・ホブスはインタビューで、下記のように語っている。
Song Machineは古い殻を破った僕たちの新しいやり方なんだ。(ラッセル・ホブス)
従来のアルバムリリースのサイクルとは違うアプローチでエピソードを発信していくスタイルなのだろう。
Momentary Bliss
1月30日に解禁され最初のエピソードとなった「Momentary Bliss」は、イギリス人ラッパーのslowthaiとイギリスのロック・デュオであるSlavesとのコラボ曲。
Slowthaiの反骨精神溢れるラップは今回も健在だが、何よりもラテンのアップビートに伴うギターサウンドに注目して欲しい。
ギターサウンドが意図的にデジタルでカット処理されているにも関わらず、切れ味の鋭いカッティングに仕上がっているあたり、Gorillazはこれまた粋なサウンドデザインを施してくるなと感心させられる楽曲だ。
Désolé
エピソード2として発表された「Désolé」はコートジボワール出身の女性SSW、Fatoumata Diawaraが参加した一曲。
Fatoumata Diawaraといえばベスト・ワールド・ミュージック・アルバムにノミネートされた経験もある、世界が認めるアーティストだ。
タイトルの「Désolé」とはフランス語で”ごめんなさい”を意味し、コートジボワールの言語であるフランス語と英語が交錯する歌詞が異国情緒漂う。
“Désolé”と曲中でリフレインするキャッチーさと悲壮感が同居し、さらにホーンやストリングスも加わり壮大感が増していく曲構成も秀逸だ。
Aries
エピソード3 として発表された「Aries」はJoy DivisionやNew Orderのベーシストとしても知られるピーター・フックと、UKエレクトロ・ポップの新鋭Georgiaがドラマーとして参加した楽曲。
この曲はピーター・フックの影響が色濃く反映されており、まさにNew Orderなのだ。
イギリス特有のひんやりと冷たいポストパンクがテクノの中に同居しており、Georgiaの電子ドラムもどこかNew Orderの「Blue Monday」を思い出さずにはいられないサウンド・メイキングが施されており全体的に統一性が高い。
New Order × Gorillazの方程式に間違いはなかったことが証明された一曲ではないだろうか。
Friday 13th
エピソード4となる「Friday 13th」は、フランス生まれイギリス育ちのラッパーであるOctavianとのコラボ曲。今作のMVは、ロックダウン中に各自宅でセルフで撮影されたものだ。
曲の全体的な音数はミニマルに、メロウなシンセサイザーが丁寧に重ねられていく。
スローテンポなトラックがOctavianのラップと絶妙に絡み合い、同時に全体的なグルーヴも心地よく、見事に調和が取れた一曲だ。
Gorillazのドラマーであるラッセル・ホブスは、「Friday 13th」に関してこう述べている。
”毎日は暗闇から始まり、暗闇に終わる。だがその間には必ず光が射す。”
“Every day starts in the dark, and ends in the dark, but in the middle there is light”
これは、新型コロナウイルスで闇に包まれた状況でも光は射す。だからポジティブに生きよう、という曲のメッセージなのではないだろうか。
PAC-MAN
エピソード5として発表された「PAC-MAN」は、アメリカ人ラッパーであるScHoolboy Qをゲストに迎えた楽曲。
タイトルであり、曲のテーマである「PAC-MAN」とは、その名の通り、日本で生まれたゲーム、”パックマン”であり、生誕40周年を祝福している。MVではパックマンをプレイする2-Dが見所だ。
パックマンで使用されている実際のサウンドエフェクトを曲中で使用しているというのも、パックマンへの愛を感じざるを得ない。
アップビートな曲調がそうさせるのか、その実際のサウンドエフェクト以外に使用されている全てのサウンドにも、どこかゲームを始める時の高揚感を感じさせる遊び心のある一曲だ。(2020年7月29日追記)
Strange Timez
Gorillaz、“Song Machine”プロジェクトのエピソード6として発表された「Strange Timez」。
イングランドのロック・バンド、The Cureのロバート・スミスが参加している。
ダンスビートにポストパンクが組み合わされ、ロバート・スミスのダークでツイストの効いたボーカルと2D特有の語り口の絶妙なマッチングが堪能できる。
今回のMVではGorillazのメンバーがついに月へ降り立つ。
そしてロバート・スミスのユーモア溢れる登場シーンも合わせてチェックしていただきたい。(2020年9月23日追記)
Tame Impalaとコラボも!?
Universal Music Australia Pty. Ltd. (2019-10-30)
Gorillaz(ゴリラズ)のSong Machineはこれからも新たなアーティストを招いてコラボをし続けるのだが、以前SNSにてある画像がアップされ話題となった。
Tame Impalaのサードアルバム『Currents』のジャケットにGorillazのキャラクターが出現したのだ。
次のコラボはTame Impalaの可能性が高く、GorillazもTame Impalaもお互いにコラボを多数経験しているだけに、熟練のコラボが実現するのが楽しみで仕方ない。
アルバム『Song Machine』
Gorillaz(ゴリラズ)の7枚目となるアルバム『SONG MACHINE: Season One – Strange Timez』。
全曲に豪華コラボアーティストを迎え、ベック、セイント・ヴィンセント、エルトン・ジョンを始め、日本からはCHAIが参加している。
“Gorillaz × コラボ”の方程式が示す可能性は無限大で、全曲A面なのでは?と疑うほど捨て曲が一つもないのはコラボならではの利点だと言える。
コラボアーティストのジャンルに合わせた広い振り幅は全ての音楽シーンを巻き込むと同時に、どのジャンルの音楽ファンにも必ずヒットする楽曲が一つは眠っている作品になるはずだ。
Song Machineが革新的な理由
Gorillaz(ゴリラズ)のSong Machine(ソングマシーン)は現在の世界的な音楽の消費のされ方に完全にフィットしている。
これからオンラインで音楽が消費されていく流れに対して、エピソードという名目で曲だけでなく、動画やコラボを一つのパッケージとして提供するのは斬新なアプローチだ。
そのうえ、もともとGorillazは”バーチャルの覆面音楽プロジェクト”というエンターテイメント性を持ち合わせたバンドということが基盤にあるがゆえに、このプロジェクトはただのコラボ企画とは一線を画す、一つの新たなエンターテイメントとして成立しているのではないだろうか。
常に時代の一歩先を想像しながら歩んできたGorillazだからこそ、これからの未来を創る”Song Machine”というとんでもない音楽製造機を作ることができたのだろう。
アルバムリリース
7thアルバム『SONG MACHINE: Season One – Strange Timez』
収録曲:
1. Strange Timez (feat. Robert Smith)
2. The Valley of The Pagans (feat. Beck)
3. The Lost Chord (feat. Leee John)
4. Pac-Man (feat. ScHoolboy Q)
5. Chalk Tablet Towers (feat. St Vincent)
6. The Pink Phantom (feat. Elton John and 6LACK)
7. Aries (feat. Peter Hook and Georgia)
8. Friday 13th (feat. Octavian)
9. Dead Butterflies (feat. Kano and Roxani Arias)
10. Désolé (feat. Fatoumata Diawara) [Extended Version]
11. Momentary Bliss (feat. Slowthai and Slaves)
12. Opium (feat. EARTHGANG)
13. Simplicity (feat. Joan As Police Woman)
14. Severed Head (feat. Goldlink and Unknown Mortal Orchestra)
15. With Love To An Ex (feat Moonchild Sanelly)
16. MLS (feat. JPEGMAFIA and CHAI)
17. How Far? (feat. Tony Allen and Skepta)
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6thアルバム『The Now Now』
収録曲:
01.Humility – feat George Benson
02.Tranz
03.Hollywood – feat Snoop Dogg + Jamie Principle
04.Kansas
05.Sorcererz
06.Idaho
07.Lake Zurich
08.Magic City
09.Fire Flies
10.One Percent
11.Souk Eye
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5thアルバム『Humanz (Deluxe)』
WARNER BROS. RECORDS/PARLOPHONE (2017-09-29)
売り上げランキング: 1,044,218
収録曲:
01.Intro: I Switched My Robot Off
02.Ascension (Feat. Vince Staples)
03.Strobelite (Feat. Peven Everett)
04.Saturnz Barz (Feat. Popcaan)
05.Momentz (Feat. de la Soul)
06.Interlude: The Non-Conformist Oath
07.Submission (Feat. Danny Brown & Kelela)
08.Charger (Feat. Grace Jones)
09.Interlude: Elevator Going Up
10.Andromeda (Feat. D.R.A.M.)
11.Busted and Blue
12.Interlude: Talk Radio
13.Carnival (Feat. Anthony Hamilton)
14.Let Me Out (Feat. Mavis Staples & Pusha T)
15.Interlude: Penthouse
16.Sex Murder Party (Feat. Jamie Principle & Zebra Katz)
17.She’s My Collar (Feat. Kali Uchis)
18.Interlude: The Elephant
19.Halleujah Money (Feat. Benjamin Clementine)
20.We Got the Power (Feat. Jehnny Beth)
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4thアルバム『Fall』
Parlophone (2019-07-19)
売り上げランキング: 82,398
収録曲:
01.Phoner To Arizona
02.Revolving Doors
03.Hillbilly Man
04.Detroit
05.Shy-Town
06.Little Pink Plastic Bags
07.The Joplin Spider
08.The Parish of Space Dust
09.The Snake In Dallas
10.Amarillo
11.The Speak It Mountains
12.Aspen Forest
13.Bobby In Phoenix
14.California and the Slipping of the Sun
15.Seattle Yodel
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3rdアルバム『Plastic Beach』
Wea/Parlophone (2010-09-28)
売り上げランキング: 298,731
収録曲:
01.Orchestral Intro
02.Welcome To The World Of The Plastic Beach (feat. Snoop Dogg)
03.White Flag (feat. Kano & Bashy)
04.Rhinestone Eyes
05.Stylo (feat. Bobby Womack and Mos Def)
06.Superfast Jellyfish’ (feat. Gruff Rhys and De La Soul)
07.Empire Ants (feat. Little Dragon)
08.Glitter Freeze (feat. Mark E Smith)
09.Some Kind Of Nature(feat. Lou Reed)
10.On Melancholy Hill
11.Broken
12.Sweepstakes (feat. Mos Def & Hypnotic Brass Ensemble)
13.Plastic Beach (feat. Mick Jones & Paul Simonon)
14.To Binge (feat. Little Dragon)
15.Cloud Of Unknowing (feat. Bobby Womack)
16.Pirate Jet
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2ndアルバム『Demon Days』
PLG (2018-07-20)
売り上げランキング: 115,220
収録曲:
01.Intro
02.Last Living Souls
03.Kids With Guns
04.O Green World
05.Dirty Harry
06.Feel Good Inc (Album Crossfade)
07.El Mana
08.Every Planet We Reach Is Dead
09.November Has Come
10.All Alone
11.White Light
12.Dare
13.Fire Coming Out Of The Monkey’s Head
14.Don’t Get Lost In Heaven
15.Demon Days
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1stアルバム『Gorillaz』
Emi (2014-06-30)
売り上げランキング: 298,024
収録曲:
01.Re-hash
02.5/4
03.Tomorrow Comes Today
04.New Genious (Brother)
05.Clint Eastwood
06.Man Research (Clapper)
07.Punk
08.Sound Check (Gravity)
09.Double Bass
10.Rock The House
11.19-2000
12.Latin Simone
13.Starshine
14.Slow Country
15.M1 A1
16.Dracula
17.Left Hand Suzuki Method
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プロフィール
“2D(ボーカル、イギリス人)
ヌードル(ギター、大阪出身の日本人)
マードック・ニカルス(ベース兼リーダー、イギリス人)
ラッセル・ホブス(ドラムス、NY出身のアメリカ人)ブラーのデーモン・アルバーンと、世界的なコミック・アーティスト、ジェイミー・ヒューレットによる≪架空のメンバー・キャラクターを作り上げ、音楽面をデーモンが、ヴィジュアル面をジェイミーが担当する≫という構成で活動を続けていく覆面プロジェクト。シンガーの2D、ギタリストのヌードル(Noodle)、ベーシストのマードック・ニカルス(Murdoc Niccals)、そしてドラマーのラッセル ・ホブス(Russel Hobbs)からなるカートゥーン・バンド。
ギネスブックにも「最も成功した架空バンド」として認定されている。”
Youtube
- Gorillaz – Song Machine
- Gorillaz – Humility(6thアルバム『The Now Now』収録)
- Gorillaz – Strobelite(5thアルバム『Humanz』収録)
- Gorillaz – Revolving Doors(4thアルバム『Fall』収録)
- Gorillaz – On Melancholy Hill(3rdアルバム『Plastic Beach』収録)
- Gorillaz – Feel Good Inc.(2ndアルバム『Demon Days』収録)
- Gorillaz – Clint Eastwood(1stアルバム『Gorillaz』収録)
ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
兵庫県出身のサイケデリック・ロックバンド、Daisy JaineのVo./Gt.。アメリカ・ボストンに留学経験があり、BELONGでは翻訳を担当。サイケデリック、オルタナ、60s、ロカビリーやR&Bと幅広く聴きます。趣味はファッション、写真、映画観賞。
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Twitter:@rio_daisyjaine