最終更新: 2024年4月14日

1970年代に登場したパンクロックは、誕生から40年を経た今でもその人気は衰えず次々と新しいバンドが誕生している。

今回はそんなパンクロックのおすすめ新人バンドを特集し、当時から変わったこと、変わらなかったことに焦点を当てて新人バンドを紹介していく。

また、取り上げた新世代バンドのプレイリストも併せて聴いてみて欲しい。

パンクとは

パンクとは1970年代中盤に登場したロックの1ジャンルである。

ルーツとなったバンドは“パンクのゴッドファザー”と言われるイギー・ポップ率いるThe StoogesやMC5を始め、アメリカから誕生した。

その後、アメリカのニューヨークからNew York Dollsが登場し、同時代のRamonesらと共にニューヨーク・パンクと言われるようになった。

パンクという音楽の地位を確固たるものにしたのはイギリスのSex Pistolsで、彼らはNew York Dollsのマネージャーであったマルコム・マクラーレンが結成したバンドであった。

このようにパンクとは、アメリカとイギリスの音楽カルチャーが結びついて誕生した。

パンクの音楽性

パンクの音楽性はテクニック不問の速弾きや単純なコードを使用した攻撃的な演奏にある。

そもそもパンクという音楽が熱を帯びてきた背景には、当時のハードロックやプログレッシヴ・ロックなどによる、テクニックや機材重視のロックに対する反動があった。

それゆえパンクは60年代のガレージロックに先祖返りするかのような初期衝動に任せたシンプルな演奏をモットーとしている。

そのような背景もあってDIY(Do It Yourself 自分たちでできることは自分たちでやる)志向のバンドが多く、独自のファッションや自費出版で作品をリリースするなど、カルチャーの源になっていった。

パンクロック・バンドおすすめ曲プレイリスト


パンクのルーツを踏まえて、パンクロックの新世代バンド5組をまとめたおすすめ曲のプレイリストを作った。是非、彼らの紹介と一緒に音楽も楽しんで欲しい。

Amyl and The Sniffers

Amyl and The Sniffers(アミル・アンド・ザ・スニッファーズ)
撮影:Jamie Wdziekonski
Amyl and The Sniffers(アミル・アンド・ザ・スニッファーズ)は2016年にオーストラリアで結成されたパンクロック・バンドである。

バンドメンバーはエイミー・テイラー(Vo.)、ガス・ローマー(Ba.)、ブライス・ウィルソン(Dr.)、デクラン・マーチンス(Gt.)の4人組。

これまでに1枚のアルバムをイギリスの名門レーベルであるラフ・トレードからリリースしており、セカンド・アルバム『Comfort To Me』は2021年9月10日にリリースされた。

エイミーのエネルギー溢れるボーカルと、それに火を付けるバンドの演奏はかのThe Stoogesを思わせる圧倒的な破壊力がある。

Amyl and The Sniffers Twitter

MOURN

MOURN(モーン)
MOURN(モーン)はスペイン・バルセロナを拠点に活動するパンクロック・バンドである。

10代でデビューアルバムを名門レーベルCaptured Tracksからリリースし、大きな話題となった。

デビュー当時は4人編成のバンドであったが、現在は3人編成となっている。

これまでに3枚のアルバムをリリースしており、4枚目のアルバム『Self Worth』は2020年10月30日にリリースされた。

MOURNのキャリアを重ねても決して初期衝動を失わない演奏は何度聴いても素晴らしく、彼らのピュアな姿勢に心打たれる。

MOURN Twitter

The Linda Lindas

The Linda Lindas(ザ・リンダ・リンダズ)
撮影:JESS COWAN
The Linda Lindas(ザ・リンダ・リンダズ)はアメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動する10代のパンクロック・バンド。

バンド名は日本のバンド、THE BLUE HEARTSの楽曲「リンダリンダ」から名付けられた。

メンバーはエロイース(Vo./Ba.)、ミラ(Vo./Dr.)、ベラ(Vo./Gt.)、ルシア(Vo./Gt.)の4人組。

これまでに1枚のEPをリリースしており、2021年7月23日に新曲「Oh!」をリリースしている。

The Linda Lindasの名前が一躍有名になったのはロサンゼルスの図書館で行われたアルバムで、人種差別をテーマにした「Racist, Sexist Boy」を演奏したことがきっかけ。

10代であるが自分の信念を曲げず、パンクロックという音楽に変換する姿勢は70年代に活躍していた往年のパンクバンドと何ら変わりない。

The Linda Lindas Twitter

Waater

Waater(ウォーター)
Waater(ウォーター)は秋田県出身で、現在は東京を拠点に活動しているパンクロックバンドである。

メンバーはYuya Akiyama(Vo./Gt.)、Shion Hosobe(Gt.)、Taisei Watanabe(Ba.)、Takashi Kudo(Syn.)、Taiki Yano(Dr.)の5人組。

これまでに2枚のアルバムをリリースしており、新曲「SPIDER」を2021年9月18日にリリースしたばかり。

様々な音楽を取り込み情報量の多い楽曲を作っていながら、わずか2分にも満たない驚異的な楽曲の簡潔さが素晴らしい。

Waater Twitter

Chubby and the Gang

Chubby and the Gang(チャビー・アンド・ザ・ギャング)
Chubby and the Gang(チャビー・アンド・ザ・ギャング)はロンドンを拠点に活動するパンクロックバンドである。

メンバーは”Chubby Charles” Manning-Walker(Vo.)、Ethan Stahl(Gt.)、Tom “Razor” Hardwick(Gt.)、Joe McMahon(Dr.)、Maegan Brooks Mills(Ba.)の5人組。

セカンドアルバム『The Mutt’s Nuts』はIDLESやFontaines D.C.らを擁するパルチザン・レコードから、2021年8月27日にリリースされた。

Chubby and the Gangの魅力何と言っても3分にも満たない単純で爆発的な演奏にあり、怖いもの知らずの痛快さは病みつきになること間違いなし。

Chubby and the Gang instagram

新世代パンクロック・バンドまとめ

パンクロック新世代バンド5選
この記事ではパンクロック・バンドの新世代アーティストとして、5組(Amyl and The Sniffers、MOURN、The Linda Lindas、Waater、Chubby and the Gang)を取り上げた。

1970年代に誕生したばかりのパンクロックは政府に楯突くような歌詞を歌うものも多かったが、現代ではむしろThe Linda Lindasのように身の回りの差別を声高に訴える内容にシフトしてきた。

一方で簡潔な演奏をモットーとしてきたパンクであるが、その姿勢は今のバンドにも変わらず引き継がれている。

恐れるものは何もないパンクバンドの怒涛の演奏が多くのリスナーに広く聴かれるようになって欲しいと思う。

パンクロック・バンド関連記事

パンクロック・バンドの関連記事について、BELONGではこれまでにAmyl and The Sniffers、MOURN、The Linda Lindas、Chubby and the Gangの記事を取り上げている。

  • Amyl and The Sniffers
  • MOURN
  • The Linda Lindas
  • Chubby and the Gang
  • ライター:yabori
    yabori
    BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

    ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

    これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

    過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

    それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。

    現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

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    Twitter:@boriboriyabori