最終更新: 2023年5月23日

Snail Mail(スネイル・メイル)が新曲「Valentine」をリリースした。

この記事では、セカンドアルバム『Valentine』の先行シングルである「Valentine」の歌詞をBELONG Media独自の解釈で和訳し、内容を考察している。

様々な愛の形が世界的に認められつつあるが、同性愛は未だに偏見や差別が存在しているのも確かだ。

Snail Mailが「Valentine」で描いた同性愛者の恋愛と、そこから生まれる苦しみとは?

また、Snail Mailはフジロック2022に出演し、Youtubeでライブを配信することも決定している。

2023年12月には単独来日公演も決定した!(2023年5月23日 BELONG編集部追記)

Snail Mailとは

Snail Mail(スネイル・メイル)
撮影:tina tyrell
Snail Mail(スネイル・メイル)とは1999年生まれのアメリカ人シンガーソングライター、リンジー・ジョーダンによるソロ・プロジェクトである。

彼女は15歳のときに自宅で録音したソロEP『Sticki』を発表し、その後バンドを結成してライブ活動を始めた。

2016年にシスター・ポリゴン・レコードからEP『Habit』を発表し、Pitchforkなどの音楽メディアから注目を集める。

Snail Mailの音楽

Snail Mailの音楽はインディー・ロックやインディー・ポップ、ローファイなどの要素を含んでおり、90年代のサウンドに影響を受けている。

デビューアルバム『Lush』

Snail Mailは2017年9月にマタドール・レコードと契約し、2018年にデビューアルバム『Lush』をリリースした。

このアルバムは批評家から高い評価を得ており、Pitchforkがベスト・ニュー・ミュージックに選んだほか、Liberaアワードにもノミネートされた。

Snail Mailはこのアルバムを携えて北米やヨーロッパなどでツアーを行った。(2023年5月23日 BELONG編集部追記)

Valentineについて

Snail Mail(スネイル・メイル)の新曲「Valentine」は、セカンドアルバム『Valentine』の先行シングル。

共同プロデューサーに、Bon IverやWhitneyなどを手掛けてきたブラッド・クックを迎えて制作された。

このアルバムは前作から3年ぶりであり、彼女が経験した失恋がテーマとなっている。

その歌詞は他者への怒りや自己嫌悪など赤裸々で痛々しい感情が溢れており、彼女の心の変化や成熟が感じられるものとなっている。

Snail Mailは、若くして名声を得たことやツアーの疲れから、『Valentine』の制作前にアリゾナのリハビリ施設に滞在していたことも明かしている。(2023年5月23日 BELONG編集部追記)

Snail Mailからのコメント

Snail Mailは『Valentine』について下記のようにコメントしている。

“「このアルバムでは、皆に聴いてもらう前に、できるだけ多くの時間をかけて、細部まで自分が満足できるものにしたかった。このプロセスを、私がこれまで経験した中で最も深いレベルのカタルシスとセラピーと呼ぶことすら、すごく控えめな表現になる。『Valentine』は私の子供のみたいなものだから!」-Snail Mail”

引用元:Snail Mail / 2021年USインディ大本命!スネイル・メイル待望の2作目『Valentine』11月5日発売決定。タイトル・トラックのMVも同時公開!(Beatink)

Snail Mail(スネイル・メイル) – “Valentine” (Official Music Video)

Valentine歌詞和訳

Snail Mail(スネイル・メイル)の新曲「Valentine」について。

同性愛者の叶わぬ恋愛について描かれた歌詞を和訳し、内容について掘り下げていく。

二人きりになろう
誰にも見つからない場所でね、ハニー
あの部屋では気をつけて
この監視カメラはあなたをずっと追いかけ続けるの?

“Let’s go be alone
Where no one can see us, honey
Careful in that room
Those parasitic cameras, don’t they stop to stare at you?”

引用元:Snail Mail(スネイル・メイル)「Valentine」歌詞(Genius Lyrics)

私たちは愛し合えないの
あなたはちゃんと生きてね、私は行くわ
この二人でいる限りは
誰も思い出してくれなくたっていい、私はあなたのために生まれてきたの

“Can’t love for us both
You’ve gotta live and I gotta go
As long as it’s us two
Fuck being remembered, I think I was made for you”

引用元:Snail Mail(スネイル・メイル)「Valentine」歌詞(Genius Lyrics)

なんで私を記憶から消そうとするの、ダーリン・バレンタイン?
もし気が変わっても、私の居場所は分かるでしょ

“So why’d you wanna erase me, darling valentine?
You’ll always know where to find me when you change your mind”

引用元:Snail Mail(スネイル・メイル)「Valentine」歌詞(Genius Lyrics)

あなたが他の人と一緒にいるのを想像するのが苦痛なの
横になって泣き崩れたわ
二ヶ月間で何が起こるか想像つかないでしょ
私は前より年を取ったけど、信じて、あなたが大好きよ

“I’d hate to picture someone with you
I’ll lay down and start to cry
You won’t believe what just two months do
I’m older now, believe mе, I adore you”

引用元:Snail Mail(スネイル・メイル)「Valentine」歌詞(Genius Lyrics)

なんで私を記憶から消そうとするの、ダーリン・バレンタイン?
もし気が変わっても、私の居場所は分かるでしょ
どうして私を忘れようとするの、ダーリン・バレンタイン?

“So why’d you wanna erase mе, darling valentine?
You’ll always know where to find me when you change your mind
So why’d you wanna erase me, darling valentine?”

引用元:Snail Mail(スネイル・メイル)「Valentine」歌詞(Genius Lyrics)

あなたを嫌いになんてなれない
あなたのためなら自分を犠牲にしたっていい
必要なら私を非難してちょうだい
でもあなたを愛してる
あなたを愛してる
あなたを愛してる
あなたが大好きよ

“No, I can’t hate you
I’d ruin me for you
Blame me if you need to
But I adore you
I adore you
I adore you
I adore you”

引用元:Snail Mail(スネイル・メイル)「Valentine」歌詞(Genius Lyrics)

Valentineと同性愛

Snail Mail(スネイル・メイル) Valentine(Official Music Video)サムネイル
Snail Mail(スネイル・メイル) Valentine(Official Music Video)サムネイル
Snail Mail(スネイル・メイル)の新曲「Valentine」は、同性愛者の叶わぬ恋愛がテーマである。

Valentineの意味

Valentineの意味(pexels-picjumbocom-196664)
Pexelsのpicjumbo.comによる写真
タイトルの“Valentine(バレンタイン)”は恋人や特別な人という意味を持つ。

冒頭の歌詞では、同性カップルは人目のつかない場所へ隠れなければならないという、同性愛者の社会的状況を示唆している。

そして歌詞に登場する“カメラ”とは、監視カメラ以外に“世間の目”や“同性愛者の有名人を追うパパラッチ”などを比喩していると捉えることができる。

“二人きりになろう
誰にも見つからない場所でね、ハニー
あの部屋では気をつけて
この監視カメラはあなたをずっと追いかけ続けるの?”

次の歌詞では、同性同士で愛し合うことが許されないが故に離れなければならない主人公の諦念を示している。

そして、“誰も思い出してくれなくたっていい”という一文は、歴史を振り返ると過去のセクシャルマイノリティーに関する記述があまりない、もしくは忘れ去られることが多いという事実に対する遺憾の意を表していると読み解ける。

“私たちは愛し合えないの
あなたはちゃんと生きてね、私は行くわ
この二人でいる限りは
誰も思い出してくれなくたっていい、私はあなたのために生まれてきたの”

サビの歌詞では、愛する相手を忘れて異性への恋に踏み出した方が社会的に生きやすい、というパートナーの決断が表現されている。

“なんで私を記憶から消そうとするの、ダーリン・バレンタイン?
もし気が変わっても、私の居場所は分かるでしょ”

最後の歌詞では、同性愛がまだ完全に認められていない世界でも愛することを諦めない主人公の決意が綴られている。

“あなたを嫌いになんてなれない
あなたのためなら自分を犠牲にしたっていい
必要なら私を非難してちょうだい
でもあなたを愛してる”

セクシャルマイノリティーを意味する“LGBT”という言葉も浸透しつつあり、世界的に愛の形に対する考え方は少しずつだが良い方向へと変化してきている。

Snail Mailも自身がレズビアンであることをカミングアウトしており、近年自分がセクシャルマイノリティーであることを告白するアーティストも多い。

同性愛者の生き辛さが描かれた内容が歌詞として表現される必要がなくなる日が来ることを切に願っている。

Valentine作品クレジット

Snail Mail(スネイル・メイル)の「Valentine」のクレジットは下記となっている。

プロデューサー:Snail Mail & Brad Cook
作詞・作曲:Snail Mail
レーベル:Matador Records
リリース日:2021年9月15日

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Snail Mailリリースアルバム

2ndアルバム『Valentine』

発売日: 2021/11/5
収録曲:
1.Valentine
2.Ben Franklin
3.Headlock
4.Light Blue
5.Forever (Sailing)
6.Madonna
7.C. Et. Al
8.Glory
9.Automate
10.Mia
11.Adore U (Valentine Demo)※国内盤のみボーナストラック収録
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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発売日: 2021/11/5
Tシャツサイズ:S~XL
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1stアルバム『Lush』

発売日: 2018/6/8
収録曲:
1.Intro
2.Pristine
3.Speaking Terms
4.Heat Wave
5.Stick
6.Let’s Find An Out
7.Golden Dream
8.Full Control
9.Deep Sea
10.Anytime
11.Second Most Beautiful Girl In The World ※国内盤のみボーナストラック収録
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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Snail Mail来日公演

SNAIL_MAIL来日公演
Snail Mail(スネイル・メイル)はセカンドアルバムをリリースし、フジロックのホワイト・ステージに出演。

単独公演を行うことが待ち望まれている中、遂に再来日が決定した!

  • 2023年12月4日(月)@大阪・梅田クラブクアトロ
  • 2023年12月5日(火)@名古屋・名古屋クラブクアトロ
  • 2023年12月6日(水)@東京・渋谷 Spotify O-EAST
  • 開場/開演: 18:00 / 19:00
    チケット:¥7,500 (税込)ドリンク別
    チケット発売日: 2023年6月10日(土) 10:00~
    オフィシャル先行: 5/23(火)17:00 – 29(月)23:59
    最速プレオーダー: 5/30(火)12:00 – 6/4(日)23:59
    受付URL: https://eplus.jp/snail-mail/

    フジロックで来日決定

    フジロック2022
    Snail Mail(スネイル・メイル)が2022年に開催されるフジロックへの来日が決定した。

    フジロック2022
    2022年7月30日(土)新潟県苗場スキー場

    Snail Mail:フジロックでライブ生配信決定

    フジロック2022 YouTube ライブ配信アーティスト 7月30日(土)
    Snail Mailのフジロックでのライブ配信はチャンネル3の16:20~を予定している。

    Snail Mailプロフィール

    Snail Mail(スネイル・メイル)
    撮影:tina tyrell

    “ボルチモア郊外で生まれ育ち、若干16歳で地元のパンク・レーベル〈Sister Polygon Records〉からリリースしたEP作品『Habit』(2016年作)が、ニューヨーク・タイムズをはじめとする主要メディアから賞賛を集め、デビュー前にも関わらずベル・アンド・セバスチャンのツアーサポートに抜擢されたりと、早耳リスナーの間で話題となっていた若きシンガー・ソングライター、リンジー・ジョーダンことスネイル・メイル。

    アルバム全体を通して、ティーンエイジャーなら誰もが持つ悩みや葛藤を込めたメッセージ性のある歌詞に、90年代オルタナティヴへの憧憬が隠せない物憂げな歌声が、ストレート且つ伸びやかに響くローファイ・ロック・サウンドで聴くものを自然と惹きつける魅力に溢れた内容に完成したデビュー作は、2018年のUSインディーシーンでも大きな注目を集めた作品となった。”

    引用元:Snail Mail(スネイル・メイル)プロフィール(Beatink)

    Snail Mailの評価

    “18歳の子が、インディーロックのテンプレートにものすごい揺さぶりをかけ、音楽と歌詞のかけらをかき集めた曲を作っている…素晴らしいデビューアルバム…さりげなさと熱烈さ、冷静さと激怒が同居している。” – Sunday Times ‘Breaking Act’

    “春になって初めて窓を開け放つ日のために作られた、幸福感漂うインディーロック” – The Guardian

    “リンジー・ジョーダンはインディーロックのお気に入り新星アーティストの一人に早くもなりつつある。” -Pigeons and Planes

    “絶対に侮れない威力” – Wonderland”

    引用元:Snail Mail(スネイル・メイル)の評価(Beatink)

    Snail Mail代表曲(Youtube)

    • Snail Mail(スネイル・メイル) – “Pristine” (Official Lyric Video)
    • Snail Mail(スネイル・メイル) – “Heat Wave” (Official Video)
    • Snail Mail(スネイル・メイル): NPR Music Tiny Desk Concert

    ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
    Rio Miyamoto
    BELONG Mediaのライター/翻訳。

    高校卒業後18歳から23歳までアメリカのボストンへ留学し、大学ではインターナショナルビジネスを専攻。

    13歳よりギター、ドラム、ベースを始める。

    関西を拠点に活動するサイケデリック・バンド、Daisy Jaine(デイジー・ジェイン)でボーカル/ギターと作詞作曲を担当。

    2017年10月、全国流通作品である1st EP『Under the Sun』をDead Funny Recordsよりリリース。

    2021年2月、J-WAVEのSONAR MUSICへゲスト出演。

    普段はサイケデリック、ソウル、ロカビリーやカントリーを愛聴。趣味は写真撮影、ファッション、映画鑑賞。

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