最終更新: 2022年1月19日
downyの青木ロビンとテクノアーティスト、Manukan(マヌカン)による新プロジェクト、zezeco(ゼゼコ)がデビューアルバム『燦然』をリリースしました。
downyは一貫してアルバムタイトルを『無題』としてきましたが、今作には『燦然』というアルバムタイトルが付けられています。
どうして青木ロビンはzezecoをスタートし、本作に『燦然』というアルバムタイトルを付けようと思ったのだろうか?メールインタビューで真相に迫りました。
また、本記事はメールで届いた改行部分や句読点をあえて編集せずに掲載しています。
インタビュー:青木ロビン インタビュアー:yabori
目次
zezeco(ゼゼコ)とは
-zezeco(ゼゼコ)はロビンさんと同じく沖縄在住のmanukanさんとのプロジェクトですが、彼とはどのように知り合ったのでしょうか。
レイハラカミさんが来沖した際にお互い飲みに呼ばれて、そこで初めて顔合わせして
意気投合した感じです。
-どのようにしてzezecoのプロジェクトがスタートしたのでしょうか。
元々2004年に一人でzezecoを始めて一曲リリースして、downyと共に音楽活動自体を活動休止したので
動いていなかったのですが、
僕もそろそろ音楽作り始めたいなというタイミングで(活動休止中でした)
マヌカンさんも今までのテクノ一色な制作内容を変えて新しい事にチャレンジしたという事だったので
今僕の頭の中にある音楽像のアイデアに乗っからないかという感じで
セッションを始めました。
-zezecoという名前で活動していますが、どのようないきさつがあってこの名前に決まったのでしょうか。
アルファベットの最後のZで始めたいというのと
響き的にそれを二個続けた名前にしたいと思い、ZAZA,ZUZU,とか最終的にzezecoになりました
意味がなくて申し訳ない。。笑
downyとの違い
-downyとzezecoで表現しているものや表現方法の違いがあれば教えてください。
downyはあくまでバンドなので、4人で演奏出来る事という軸はありますし
zezecoは逆に制限が無いという違いはありますが。
大雑把にいうとdownyは一枚絵を描いて額装しているイメージです。
zezecoはCGデザインに近いですね。
どちらが重い軽いという事はありませんが
zezecoは発表した音源でもメロディー以外は総取替してもいいスタンス、
いくらでも角度を変えれるといいますか。
-テオ・ヤンセン展の館内BGMを担当していましたが、どのようないきさつがあって担当することになったのでしょうか。また、テオ・ヤンセンの展示から影響を受けることもありましたか?
割とファッションショーのBGMや、ホテルの環境音などの製作もしていたので
いろいろ巡って依頼がありました。
僕もマヌカンさんも元々テオ・ヤンセンは大好きでしたし、展示会でリアルに作品を観れたときは
本当に興奮しました。
-沖縄の新人アーティスト、norkéの作品を手掛けていましたね。どうして彼らの作品を手掛けるようになったのでしょうか?
お互い沖縄に住んでいて、友人の紹介で確か結成前にnorkéの音源を聞かせてもらいました
シンプルにかっこいい音楽を作っていて感銘を受けたのと、一応沖縄から発信している
先輩としていろいろ手伝える事があればという流れでした。
トリップ・ホップからの影響
-日本の音楽シーンでもD.A.N.やyahyelなど、トリップ・ホップの影響を受けて再解釈していこうとするバンドが出てきています。D.A.N.はdownyの自主企画“情けの庭”にも出演していましたが、彼らに共感するところがあれば教えてください。
そうですね、やっぱりかっこいいサウンドを作っているアーティストは好きですね。
zezecoはざっくりいうと トリップ・ホップアーティストだと思っている節はあります。
また再燃している感覚ありますよね。
-『ocean side liveEP』では、Tricky「Makes Me Wanna Die」をカバーされていたのが印象的でした。どうしてこの曲をカバーしようと思ったのでしょうか。
それはもう、僕はトリップ・ホップど真ん中なので。笑
若いころはライブ終わりでも朝までDJイベントに顔出して帰る日常で
今の曲何?とかインプットの要でした。
僕は割と雑食というか音が良ければ何でも良いというか、あまりジャンルに拘りは無かったのですが
この曲好きと思って調べるとトリップ・ホップと言われる物が多かったように思います。
まあ、トリップ・ホップ自体、雑食と言えますよね。
特にこの曲が好きでいつもわがまま言ってDJに流してもらってりしていました。笑
なんというか青春の曲なんでしょうね
なんとなく一人でループ組んで遊んでいたら「Makes Me Wanna Die」を
嵌めたら良さそうだなと思いライブで演奏してみました
Tricky – Makes Me Wanna Die (Official Video)
-ロビンさんの歌い方は、日本のアーティストの中では独特だと思います。聴かせたいサウンドと別の場所(周波数帯)で歌っているような印象があるのですが、歌うときはどのようなことを考え、もしくはイメージしながら歌っているのでしょうか。
あまり自分をボーカルという風には捉えていなくて、あくまで声という楽器の一つで
どうやって溶け込むか、またはどうやって違和感を作るかという事を意識しています。
元々自分の声があまり好きではありませんでしたが
最近やっと好きな部分が出てきたので生かせるようになった気はします。
燦然
-『燦然』では英詞の曲と日本語詞の曲と2つありますが、どうして英詞の曲と日本語詞の曲があるのでしょうか。
元々両方で作るのですが、downyでは特に日本詩に拘っていたのであまり発表する機会がなかっただけなのですが
(ちなみにDhalというバンドは全英詩でした)曲のキャラクターでこれは日本語で行こうとか決めています。
-シングル「然」について、ロビンさんは“眠っていた愛情の全てと“生きる”事への執着”と表現していたのが印象的でした。どのようないきさつがあってこういうことを表現したいと思ったのでしょうか。
どこから話せばというのはありますが、この曲は娘が産まれた時の事を曲にしました。
もちろん感動というか、希望が一番大きいのですが
不安というか、ドロドロした感情含めいつもの景色がまるで違って物凄く立体的で
濃い色どりに見えました。
-downyでは一貫して『無題』というアルバムタイトルをつけられていますが、今作にはアルバムタイトルがあります。どうして今作には11曲をまとめた一つの名前を付けようと思ったのでしょうか。
downyのアルバムを作る際にはコンセプトというものを決めずに作ったものを
纏める(選定する)ので後付けでアルバム名をつける必要性を感じないというのが主でして
zezecoの『燦然』は生活していること、生きていることの色彩を音で表現したいという明確なコンセプトがあったので
そのままタイトルにしました。
僕に限らずだと思いますが、生きていて目にしたものってどう見えるかフィルターをかけれると思うんですよね
モノクロに見えている自分と、カラフルに見えている自分とという感じで。
モノクロだから落ちているとか、カラフルだから陽気とかシンプルな物では無く
見えた心象をどう焼き付けて表現するかが大切でして。
『燦然』はグロいくらいコントラストが強いものを集めたアルバムになっています。
-(上記を踏まえて)アルバムタイトルの『燦然』にはどのような意味が込められているのでしょうか。
そのままです。眼窩に広がる世界は絶望も希望も入り混じったまま色彩を放っていて、
燦然と輝いています。
-『燦然』をどのような人に聴いてほしいと思いますか?
大分攻めたサウンドですし、寄り好みがある音楽です。
分からない人には抽象的に感じるかと思いますが
背骨のある音楽表現になっています。
だからこそ音楽が好きな人に聞いてほしいですね
噛めば噛むほど味が出る曲たちだと思います。
zezecoリリース作品
1stアルバム『燦然』
発売日: 2022年1月19日
収録曲:
1. goodgirl
2. coffee stone
3. SAN
4. romeo
5. 茜射す
6. 然
7. んで、No Medicine
8. work that
9. 夜明けのキックバック
10. THEO
11. death lotus
フォーマット:CD
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1st EP『ocean side liveEP』
発売日: 2021/12/22
収録曲:
1. underdog (ocean side Ver.)
2. 16bass (ocean side Ver.)
3. Makes Me Wanna Die (ocean side Ver.)
フォーマット:Mp3
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1stシングル『然/N.E.Z』
発売日: 2021/12/8
フォーマット:Mp3
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zezecoプロフィール
“downyの中心人物、青木ロビンのNewプロジェクト
RYUKYUDISKOへの参加や海外アーティストのremixなどを多数手掛け活躍する
テクノアーティストmanukanによる『ポスト”ポストロック』『ロックトロニカ』
『トリップホップ』ユニット。 ノイズやダブの要素を取り入れたエレクトロを軸にして
繊細なメロディーと緻密に構築されたリズムが特徴。”
zezeco代表曲(Youtube)
- zezeco 1st album『燦然』teaser movie
- zezeco [ ocean side live ]
ライター:yabori
BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻
これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。
過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。
それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。
現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。
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Twitter:@boriboriyabori