最終更新: 2022年4月9日
テーム・インパラ(Tame Impala)がファーストアルバム『InnerSpeaker』のリリース10周年記念で行ったスタジオライブ『InnerSpeaker (Live From Wave House)』の映像が公開された。
この記事では『InnerSpeaker』の収録曲である「Solitude Is Bliss」の歌詞を和訳し、BELONG独自の解釈で内容を考察している。
友人関係に恵まれず、孤独に生きてきたフロントマンのケヴィン・パーカー。
テーム・インパラの原点となった、“孤独の素晴らしさ”とは?
目次
テームインパラについて
テーム・インパラ(Tame Impala)は、オーストラリアのマルチ・インストゥルメンタリスト、ケヴィン・パーカーによるサイケデリック・ロックバンドである。
スタジオではケヴィンがすべての音楽の作曲、録音、演奏、プロデュースを行っているのが特徴。
テーム・インパラはケヴィン・パーカー(Vo./Gt.)、ドミニク・シンパー(Gt./Syn.)、ジェイ・ワトソン(Syn./Gt./Vo.)、キャム・アベリー(Ba./Vo.)、ジュリアン・バルガロ(Dr./Vo.)の5人組でツアー活動を行っている。
彼らは2007年にオーストラリア・パースで結成され、同郷のサイケデリックロックバンドのPondと親交があり、同バンドのボーカル、ニック・オルブルックは元テーム・インパラのライブメンバーである。
元々はモジュラー・レコーディングスと契約していたが、現在はアメリカのインタースコープ・レコードとイギリスのフィクション・レコードと契約している。
これまでに4枚のアルバム(『Innerspeaker(2010)』、『Lonerism(2012)』、『Currents(2015)』、『The Slow Rush(2020)』)をリリースしている。
また、テーム・インパラはThe Strokesとともに2020年のフジロックのヘッドライナーに決まっていたが、公演自体中止となった。
Solitude Is Bliss
テーム・インパラ(Tame Impala)の「Solitude Is Bliss」は、ファーストアルバム『InnerSpeaker』のシングル曲。
「Solitude Is Bliss」のミュージックビデオは、リアーナやTwo Door Cinema Clubなどのミュージックビデオを監督してきたMegaforceというグループによって制作された。
テーム・インパラ(Tame Impala) – Solitude Is Bliss (Official Video)
InnerSpeaker (Live From Wave House)
伝説的なデビューを飾ったテーム・インパラのファーストアルバム『InnerSpeaker』。
『InnerSpeaker』のリリース10周年を記念し、全曲を披露したライブ動画『InnerSpeaker (Live From Wave House)』が公開された。
ライブが行われた“Wave House”は、西オーストラリアのヤリンガップにあるケヴィン・パーカーのスタジオで、ファーストアルバム『InnerSpeaker』とサードアルバム『Currents』をレコーディングしている。
Tame Impala – InnerSpeaker (Live From Wave House)
また、『InnerSpeaker』は10周年盤として4枚のアナログ作品でリイシューされており、オリジナル曲だけでなく、デモ音源やリミックス、インストなども楽しめるようになっている。
Solitude Is Bliss歌詞和訳
テーム・インパラ(Tame Impala)の「Solitude Is Bliss」について。
孤独の素晴らしさがテーマの歌詞を和訳し、内容を考察していく。
僕の足下で歩道がひび割れた
そんなこと気にしないし、君への興味も薄れていく
誰も僕のことなんて見ていないから
自分の影を好きなだけ眺めさせてもらうよ
“Cracks in the pavement underneath my shoe
I care less and less about it and less about you
No one else around to look at me
So I can look at my shadow as much as I please”引用元:テーム・インパラ(Tame Impala)「Solitude Is Bliss」歌詞(Genius Lyrics)
僕とは比べ物にならないほど楽しそうな人たち
友達を作る風潮にはうんざりなんだ
“All the kicks that I can’t compare to
Making friends like you’re all supposed to”引用元:テーム・インパラ(Tame Impala)「Solitude Is Bliss」歌詞(Genius Lyrics)
君に僕の感情が分かるはずない
一生分からないさ
“Oh, you will never come close to how I feel
You will never come close to how I feel”引用元:テーム・インパラ(Tame Impala)「Solitude Is Bliss」歌詞(Genius Lyrics)
魂が唯一呼吸できるのは僕の周りの限られた空間だけ
そこでは空想世界へも行くことができる
他はどうでもいい、何か見逃してたとしても気にしない
友達はいらない、孤独こそが至福なんだ
“Space around me where my soul can breathe
I’ve got body that my mind can leave
Nothing else matters, I don’t care what I miss
Company’s okay, solitude is bliss”引用元:テーム・インパラ(Tame Impala)「Solitude Is Bliss」歌詞(Genius Lyrics)
頭の中でパーティーが開かれてる
でも誰も招待なんかしない
“There’s a party in my head
And no one is invited”引用元:テーム・インパラ(Tame Impala)「Solitude Is Bliss」歌詞(Genius Lyrics)
君に僕の感情が分かるはずない
一生分からないさ
“And you will never come close to how I feel
You will never come close to how I feel”引用元:テーム・インパラ(Tame Impala)「Solitude Is Bliss」歌詞(Genius Lyrics)
人生はすんなりとは進まない
でも一人でいる時は別だ
だから僕は自由になる
今日から
みんな見てろよ
(どう感じるべきか僕に聞かないでくれ)
“Movement doesn’t flow
Quite like it does when I’m alone
I’ll be the one who’s free
You and all your friends can watch me
Today
(Don’t ask me how you’re supposed to feel)”引用元:テーム・インパラ(Tame Impala)「Solitude Is Bliss」歌詞(Genius Lyrics)
君に僕の感情が分かるはずない
一生分からないさ
君に僕の感情が分かるはずない
これからもずっと
“You will never come close to how I feel
You will never come close to how I feel
You will never come close to how I feel
You will never come close to how I feel”引用元:テーム・インパラ(Tame Impala)「Solitude Is Bliss」歌詞(Genius Lyrics)
Solitude Is Bliss歌詞和訳まとめ
テーム・インパラ(Tame Impala)の「Solitude Is Bliss」は、孤独の素晴らしさがテーマの楽曲である。まず冒頭の歌詞に登場する“歩道”は、ケヴィン・パーカーの人生と精神状態を暗示しており、ひび割れた歩道は人生につまずいている状態が表現されている。
そして続く歌詞の“影”とはケヴィン・パーカーの潜在意識であり、人前では表にでない本当の自分を影に投影させている、と読み解ける。
“僕の足下で歩道がひび割れた
そんなこと気にしないし、君への興味も薄れていく
誰も僕のことなんて見ていないから
自分の影を好きなだけ眺めさせてもらうよ”
特に日本では友達を作らなければならないという風潮がある。
次の歌詞では、自分を偽ってまで多くの友達を作ることのできないケヴィン・パーカーの苦悩が描かれている。
“僕とは比べ物にならないほど楽しそうな人たち
友達を作る風潮にはうんざりなんだ”
ケヴィン・パーカーの孤独
サビの歌詞では、孤独から得られる感情がいかに素晴らしいかを説くと同時に、誰にもこの感情を共感させたくないというケヴィン・パーカーの孤独愛が綴られている。“君に僕の感情が分かるはずない
一生分からないさ”
次の歌詞ではパーソナルスペースについて語られており、誰にも干渉されない環境でのみ心の底から休息できる人々について示唆している。
Solitude Is Blissの意味
そして、タイトル「Solitude Is Bliss(孤独こそが至福)」の意味を含む次の一文では、孤独でいる時に現実のあらゆる制約から解放される感覚を至福だと表現している。
“魂が唯一呼吸できるのは僕の周りの限られた空間だけ
そこでは空想世界へも行くことができる
他はどうでもいい、何か見逃してたとしても気にしない
友達はいらない、孤独こそが至福なんだ”
次の歌詞では、コミュニケーションを取らずに一人で人生を歩む方が物事がうまく行く感覚を得たケヴィン・パーカーの心情が綴られており、それは楽曲制作においても、作詞作曲を始め、ほぼ全ての楽器を自身が演奏することにも共通していると読み解ける。
“人生はすんなりとは進まない
でも一人でいる時は別だ
だから僕は自由になる
今日から
みんな見てろよ
(どう感じるべきか僕に聞かないでくれ)”
テーム・インパラの歴史を振り返ると、ファーストアルバム『InnerSpeaker』ではケヴィン・パーカーの孤独な人生が反映されており、それはセカンドアルバム『Lonerism(孤独主義)』にも引き継がれている。
『InnerSpeaker』のリリースから10年経った今、「Solitude Is Bliss」はコロナ禍で孤独を感じる人々の孤独と共鳴するアンセムとして、再び大きな意味を持つ曲となった。
孤独を味わったからこそ生まれたのがテーム・インパラ独自のサイケデリックな世界観であり、「Solitude Is Bliss」は孤独を感じる人々の生き方を肯定した楽曲である。
テーム・インパラリリースアルバム
1stアルバム『Innerspeaker』
発売日: 2021/3/26
フォーマット:アナログ
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2ndアルバム『Lonerism』
発売日: 2012/10/9
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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3rdアルバム『Currents』
発売日: 2015/7/17
フォーマット:CD、アナログ
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4thアルバム『The Slow Rush』
発売日: 2022/4/22
フォーマット:アナログ
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ライブアルバム『Live Versions』
発売日: 2014/5/27
フォーマット:Mp3、アナログ
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テーム・インパラプロフィール
“サイケデリックな探検家としてキャリアをスタートさせたオーストラリアのバンド、テーム・インパラは10年間、サウンドを魅力的に変化させ、リスナーの期待を見事に裏切り、アンノウン・モータル・オーケストラやレディー・ガガなど、さまざまなミュージシャンにインスピレーションを与えてきました。ケヴィン・パーカーの音楽的才能に導かれたバンドの2010年のデビューアルバム『Innerspeaker』は、渦巻くサイケデリックな色彩に彩られた巨大でラウドなギターロック・アルバムだった。続く『Lonerism』(2012年)ではギターを減らしてより広がりのあるスタイルとなり、その後パーカーはヒップホップ(2015年『Currents』)やディスコ(2020年『The Slow Rush』)の影響を取り入れながら、ポップなサウンドへと舵を切っている。これは勝利のアプローチであることが証明され、2010年の終わりにはパーカーは地球上の大物アーティスト(カニエ・ウエスト、トラヴィス・スコット)とコラボレートし、大型フェスのヘッドライナーを務めるまで成長した。”
テーム・インパラの評価
“テーム・インパラのデビュースタジオアルバム『Innerspeaker』は2010年にリリースされ、オーストラリアでゴールド認定され、批評家からも好評を博した。
2012年にリリースされたセカンドアルバム『Lonerism』はオーストラリアでプラチナムを獲得し、グラミー賞のBest Alternative Music Albumにノミネートされるなど、高く評価された。
サード・アルバム『Currents』は2015年7月にリリースされ、前作同様、ARIA賞のベスト・ロック・アルバム賞とアルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞した。1曲目に収録されている「Let It Happen」ではAPRA賞のソング・オブ・ザ・イヤー2016を受賞した。
2020年2月14日に4枚目のスタジオアルバム『The Slow Rush』がリリースされ、2020年のARIAミュージック・アワードで、テーム・インパラは5つのトロフィーを獲得した。”
テーム・インパラ代表曲(Youtube)
- テーム・インパラ(Tame Impala) – Expectation (Official Video)
- テーム・インパラ(Tame Impala) – Why Won’t They Talk To Me? (2020)
- テーム・インパラ(Tame Impala) – Breathe Deeper (Lil Yachty Remix) (Official Video)
テーム・インパラ関連記事
テーム・インパラ(Tame Impala)の関連記事について、BELONGではこれまでに必聴の10曲、『The Slow Rush』全曲レビュー、サイケデリックロックの新世代20組でテームインパラを取り上げている。
ライター:Rio Miyamoto(Red Apple)
BELONG Mediaのライター/翻訳。
高校卒業後18歳から23歳までアメリカのボストンへ留学し、大学ではインターナショナルビジネスを専攻。
13歳よりギター、ドラム、ベースを始める。
関西を拠点に活動するサイケデリック・バンド、Daisy Jaine(デイジー・ジェイン)でボーカル/ギターと作詞作曲を担当。
2017年10月、全国流通作品である1st EP『Under the Sun』をDead Funny Recordsよりリリース。
2021年2月、J-WAVEのSONAR MUSICへゲスト出演。
普段はサイケデリック、ソウル、ロカビリーやカントリーを愛聴。趣味は写真撮影、ファッション、映画鑑賞。
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