最終更新: 2022年5月7日

デンマークのポストパンクバンド、Iceage(アイスエイジ)が新曲「All The Junk On The Outskirts」をリリースした。

本記事では新曲「All The Junk On The Outskirts」の歌詞について和訳し、BELONG独自の解釈で内容を考察している。

フロントマンのエリアス・ベンダー・ロネンフェルトが歌詞に書き綴った“詩が失われたその時”とは、どのような意味なのだろうか?

Iceageとは

Iceage(アイスエイジ)2018
Iceage(アイスエイジ)とは2008年、デンマーク・コペンハーゲンで結成されたポストパンクバンドである。

バンドが結成された当時、彼らは平均年齢17歳であった。

メンバーはエリアス・ベンダー・ロネンフェルト(Vo./Gt.)、ヨハン・スールバル・ヴィース(Gt.)、ヤコブ・ティヴィリング・プレス(Ba.)、ダン・ケア・ニールセン(Dr.)の4人組。

フロントマンのエリアスはIceage以外にも、Marching Churchというバンドで活動している。

Iceageは2009年にセルフタイトルのEP『Iceage』をリリースし、2011年にはTambourhinoceros Recordsからデビューアルバム『New Brigade』を発表。

2011年半ばにアルバムがアメリカで発売されると、Iceageはニューヨークのブルックリンで公演を行い、アメリカでのデビューを果たした。

2013年にはセカンドアルバム『You’re Nothing』をリリースし、名門Matador Recordsと契約を結ぶことになった。

2014年、サードアルバム『Plowing Into the Field of Love』をリリースし、ホーン、キーボード、アコースティック・ギターをアレンジに導入して、サウンドの幅を広げることに成功している。

2018年、4枚目のアルバム『Beyondless』をリリースし、先行シングル「Pain Killer」ではスカイ・フェレイラが参加し、1夜限りで行われた東京公演は完売。

2021年には5枚目のアルバム『Seek Shelter』をMexican Summerからリリースし、初めてプロデューサーとしてSpacemen 3のソニック・ブームが担当した。

All The Junk On The Outskirts

Iceage「All The Junk On The Outskirts」
Iceage(アイスエイジ)は2022年4月28日、新曲「All The Junk On The Outskirts」をbandcampでリリースした。

新曲「All The Junk On The Outskirts」は2022年の秋に開催されるオルタナティヴ・ロックバンド、EARTHとのヘッドライナーを飾るアメリカツアーに先駆け、リリースされた。

同曲は2018年にリリースされた4枚目のアルバム『Beyondless』の制作時、原型ができていたものである。

同作に収録されることはなかったが、2021年に改めてレコーディングされ、日の目を見ることとなった。

エリアスからのコメント

フロントマンのエリアス・ベンダー・ロネンフェルトは新曲「All The Junk On The Outskirts」について下記のように語っている。

“(「All The Junk On The Outskirts」は)『Beyondless』のセッションの中でも良いカットの1つだと思っているんだけど、結局、トラックリストを組み立てる際に他の曲と合わないミスフィットになってしまったんだ。『Beyondless』の他の曲と一緒に歓迎されなかったように、この曲は外から見ている人たちのためのアンセムなんだ。”

引用元:Iceage(アイスエイジ)「All The Junk On The Outskirts」(bandcamp)

Iceage(アイスエイジ)「All The Junk On The Outskirts」

All The Junk On The Outskirts歌詞和訳

Iceage(アイスエイジ)の新曲「All The Junk On The Outskirts」について。

リスナーの想像力を掻き立てる歌詞を和訳し、内容を考察していく。

昼と夜という事実は
地球の回転軸に導かれたリズムで俺たちを包み込む
今、混乱の中で脈を見る
楽しむフリでもしないと、こんな地獄には耐えられない

“The fact of day and night means we’re encaptured
By a rhythm led by the globe’s spinning axis
Now I see the pulse In the disarray
Pandemonium laughed away”

引用元:Iceage(アイスエイジ)「All The Junk On The Outskirts」歌詞(bandcamp)

俺たちの肩には重責と義務がある
だが、人生において簡単なことは何一つない、そう言ったはずだ
失意の底にある男は、無神論者の儀式用ワインに酔って、正気を保とうとしている
酸で目がやられたかのように、娯楽と薬でなんとか生きている

“There are burdens and duties on our shoulders
But nothing comes easy in life, could’ve told ya
A broken man keeps in line, drunk on agnostic altar wine
Enduring one passing hour at a time, with entertainment and pills as if acid blinded”

引用元:Iceage(アイスエイジ)「All The Junk On The Outskirts」歌詞(bandcamp)

この世界には言葉を失うほど素晴らしい炎がある
ある者は当然と思い、ある者はその灰を探す旅に出る
彼らの遺骨は土へと還るだろう
という具合に
そう考えると、俺たちは皆同じなんだ

“Such staggering and fabulous flames, this world contains
Some take for granted, some take the journey to its ashes
Their remains will join the grain
uh-uh
In that way, we’re all the same”

引用元:Iceage(アイスエイジ)「All The Junk On The Outskirts」歌詞(bandcamp)

詩が失われたその時
シャッターの閉まった窓と閉じたドアの向こうで
お前が欲しいのは女たちと歌だけだ
部屋の中を行ったり来たりしても何も見つからない

“And at that moment when the poetry is too lost
Behind shuttered windows and closed doors
All you want is women and song
And pacing these four walls don’t find you none”

引用元:Iceage(アイスエイジ)「All The Junk On The Outskirts」歌詞(bandcamp)

その時、世界の孤独が俺を襲う
打ち負かされたアパートのドアベルを押そうとする
郊外のガラクタはすべて、まだ明るみに出ていない
郊外のガラクタ、存在すら知られていない

“Then the collected loneliness of the world strikes me
A finger on the doorbell at the apartment housings of defeat
All the junk on the outskirts, all those yet to emerge
All the junk on the outskirts, all those yet to emerge”

引用元:Iceage(アイスエイジ)「All The Junk On The Outskirts」歌詞(bandcamp)

この世界には言葉を失うほど素晴らしい炎がある
ある者は当然と思い、ある者はその灰を探す旅に出る
彼らの遺骨は土へと還るだろう
という具合に
そう考えると、俺たちは皆同じなんだ

“Such staggering and fabulous flames, this world contains
Some take for granted, some take the journey to its ashes
Their remains will join the grain
uh-uh
In that way, we’re all the same”

引用元:Iceage(アイスエイジ)「All The Junk On The Outskirts」歌詞(bandcamp)

All The Junk On The Outskirts歌詞和訳まとめ

炎(All The Junk On The Outskirts歌詞和訳)
クレジット:pexels

Iceage(アイスエイジ)の新曲「All The Junk On The Outskirts」の歌詞を和訳してわかったことは、具体的なテーマは明示されていないものの、キリスト教からの影響やエリアスの感じている不安感が表現された内容となっている。

まず歌詞に出てくる“パンデモニウム”について。

“パンデモニウム”とは、旧約聖書『創世記』に掲載されているジョン・ミルトン作『失楽園』に登場する地獄の首都の名前である。

“イギリスの叙事詩『失楽園』(1,667年、ジョン・ミルトン)においては地獄の首都の名として登場し、人間の都市よりも遥かに洗練された黄金都市として描かれます。語の意味に準じ通常「万魔殿」が訳語として使われますが、明代(1,368年~1,644年)の中国の小説『水滸伝』に登場する「伏魔殿」が借用される場合もあります。伏魔殿とは魔王を封印した穴の上に建てられた建物のことを指しますが、現在では悪人たちが集う場所や、悪巧みをする者たちの秘密の会合などをを指しても用いられます。”

引用元:パンデモニウム/万魔殿/伏魔殿 (西洋ファンタジー用語ナナメ読み辞典「Tiny Tales」)

“今、混乱の中で脈を見る
楽しむフリでもしないと、こんな地獄(パンデモニウム)には耐えられない”

次に、新曲の歌詞に出てくる“詩が失われたその時”という表現について。

2022年の現在に置き換えて考えてみると、コロナの感染拡大によって演劇やライブの自粛など、芸術活動が止まった時期を想像させる内容である。

歌詞を書かれたのがいつか不明であるが、同曲は『Beyondless』制作時にできたこともあり、同アルバムの収録曲にあたっていくと「The Day the Music Dies(音楽が死んだ日)」という曲がある。

The Day the Music Diesとの関連性

「The Day the Music Dies」の歌詞は不安や行き詰まりを表現したものとなっており、“詩が失われたその時”という表現も不安や行き詰まりを表現した内容と読み解ける。

“詩が失われたその時
シャッターの閉まった窓と閉じたドアの向こうで
お前が欲しいのは女たちと歌だけだ
部屋の中を行ったり来たりしても何も見つからない”

エリアスの書く歌詞は内容に具体的な意味を持たせるのではなく、想像力を掻き立てる言葉を組み合わせている。

それを象徴した内容をエリアス本人が語った内容がBELONGがこれまでに行ったインタビューから引用したい。

Iceageインタビュー

Iceage表紙(BELONG Magazine Vol.23)
BELONG Magazine Vol.23
エリアスはIceageのアルバム『Beyondless』リリース時、アルバムタイトルについて下記のように語っている。

“(アルバムタイトルの『Beyondless』は)サミュエル・ベケットが作り出した言葉で、彼が書いた“Worstward Ho”という詩を読んでいたんだけど、すごく長い詩で、“beyondless”という言葉は辞書には載っていないんだ。存在しない言葉だけど、聞くとしっくりとくる。“less”がつくと、つまりは“beyond” =“あの世、遥か彼方”というものがないという意味になるわけだけど、“beyondless”という言葉に美しさを感じて、その言葉をアルバムタイトルにしたんだ。果てしないわけではなく必ず行けるけれど、それ以上先には行けないくらい遠いどこかの場所へ行く。そんな感じかな。”

引用元:BELONG Magazine Vol.23(Iceage『Beyondless』インタビューより)

“Beyondless”のようにあえて存在しない言葉を使ったり、曲のタイトルになっている“郊外のガラクタ(「All The Junk On The Outskirts」)”のように、答えがなくリスナーに想像させる言葉を使ったりすることがIceageの歌詞の特徴である。

大まかなテーマはエリアスの抱える不安感を表現したものであるが、その先にある歌詞の解釈を他者に委ねるからこそ、リスナーが想像力を働かせ一人ひとり違う解釈を持ち得ることで普遍的な意味を見いだせるのではないか。

「All The Junk On The Outskirts」の歌詞の醍醐味は一人ひとりのリスナーの中にある。

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Iceageリリース作品

これまでに5枚のアルバム(『New Brigade (2011)』、『You’re Nothing (2013)』、『Plowing Into the Field of Love (2014)』、『Beyondless (2018)』、『Seek Shelter (2021)』)をリリースしている。

シングル『All The Junk On The Outskirts』

Iceage「All The Junk On The Outskirts」
発売日: 2022年4月28日
フォーマット:Mp3
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5thアルバム『Seek Shelter』

発売日: 2021/5/7
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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4thアルバム『Beyondless』

発売日: 2018/5/4
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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3rdアルバム『Plowing Into the Field of Love』

発売日: 2014/10/7
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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2ndアルバム『You’re Nothing』

発売日: 2013/2/19
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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1stアルバム『New Brigade』

発売日: 2011/6/21
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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Iceageバンドプロフィール

ICEAGE(アイスエイジ)

“Iceageは2008年、地元コペンハーゲンで10代で結成されたロックバンドである。2011年のデビュー作『New Brigade』は、ポストパンク、ハードコア、ノーウェーブで育ったデンマークのティーンエイジャーの騒々しいエネルギーを結晶化し、世界中で耳と心をつかんだ。2012年の『You’re Nothing』は、ハードかつファストで生々しく、前作の若さゆえの攻撃性と期待を大胆に倍増させた作品となった。『Plowing Into the Field of Love』(2014年)と『Beyondless』(2018年)では、バンドの最もハードなエッジが柔らかくなり、Iceageサウンドに変革と成熟が到来した。ワールドワイドなツアーを経て、バンドは肥沃でハイパーローカルなコペンハーゲンのシーンから世界中のステージに立つようになった。”

引用元:Iceage(アイスエイジ)バンドプロフィール(mexican summer)

Iceage代表曲(Youtube)

  • Iceage(アイスエイジ) – Shelter Song (Official Video)
  • Iceage(アイスエイジ) – Pain Killer (feat. Sky Ferreira) (Official Music Video)
  • Iceage(アイスエイジ) – The Day the Music Dies

Iceage関連記事

Iceage(アイスエイジ)の関連記事について、BELONGではこれまでに『Seek Shelter』リリース記事、同郷のCommunionsのインタビュー記事、Iceageから影響を受けたバンド、ポストパンクの新世代バンドを取り上げている。

  • 『Seek Shelter』リリース
  • Communionsインタビュー
  • ポストパンクの新世代バンド
  • ライター:yabori
    yabori
    BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

    ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

    これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

    過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

    それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。

    現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

    今まで執筆した記事はこちら
    Twitter:@boriboriyabori

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