最終更新: 2022年6月10日

アメリカLAのロックバンド Starcrawler (スタークローラー) が新曲「Roadkill」を発表した。

本記事ではこのStarcrawlerの最新曲「Roadkill」を和訳し、BELONG独自の解釈で内容を考察している。

楽曲を作る背景となったボーカルであるアロウ・デ・ワイルドを襲った事件と、“自身の敵”とは一体何なのだろうか?

Starcrawlerとは

Starcrawler(スタークローラー)
撮影:Cameron McCool
Starcrawler (スタークローラー) は2015年にアメリカはロサンゼルスで結成されたバンドである。

音楽性について英国ガーディアン誌は“Starcrawlerは70年代ロックのDNAを持っており、ブラック・サバス的なダークな世界観とランナウェイズのようなポップパンクの要素が混在している”と評価している。

Starcrawlerからオースティンが脱退

Starcrawlerのメンバーは以下の通り。2020年10月、オースティン・スミスが脱退し、代わりにセス・カロライナ(Dr.)が新たに加入している。

また、ビル・キャッシュはバンドの創設メンバーであるヘンリー・キャッシュの兄弟であり、ギター以外にもペダル・スチールの演奏も行っている。

・アロウ・デ・ワイルド(Vo.)
・ヘンリー・キャッシュ(Gt.)
・ティム・フランコ(Ba.)
・セス・カロライナ(Dr.)
・ビル・キャッシュ(Gt.)

Roadkill

Roadkill
新曲「Roadkill」はStarcrawler (スタークローラー)がRoughTradeからBig Machineへレーベル移籍後はじめてのシングルである。

MVではStarcrawlerのメンバーが車に追いかけられ続け轢き殺される=ロードキルされるという驚きのストーリーが展開される。

Roadkill和訳

Starcrawler (スタークローラー)の新曲「Roadkill」について和訳し、解説していく。

これから私の実力を見せてあげる
泣くのはやめて、目覚める時間だ
怠け者はベッドで寝ている
嫌な気持ちにはさせたくないけど、そろそろ起きる時間だよ

“I’m about to show you what I’m made of
Quit your cryin’, now it’s time to wake up
Deadbeat sleeping on a bed of lies
I hate to put you down, but I think it’s time”

引用元:Starcrawler(スタークローラー)「Roadkill」歌詞(Genius Lyrics)

ロードキル、ロードキル
回転する車輪で巻き込んでやる
ロードキル、ロードキル
君を轢き殺せば、どんな気持ちかな

“Roadkill, roadkill
Wrap you ‘round my spinning wheel
Roadkill, roadkill
Run you over, see how it feels”

引用元:Starcrawler(スタークローラー)「Roadkill」歌詞(Genius Lyrics)

あなたの憎み方嫌いじゃないよ
私はラインストーンを身につけているから、赤ん坊のように扱う
それが真実でなければと強く願う
でも、昔からずっと私は君より優れた男だった

“I like the way you try and hate me
You know I’m rhinestoned up, so you treat me like a baby
I wish, wish it wasn’t true
But this whole time, I’ve been a bigger man than you”

引用元:Starcrawler(スタークローラー)「Roadkill」歌詞(Genius Lyrics)

ロードキル、ロードキル
回転する車輪で巻き込んでやる
ロードキル、ロードキル
君を轢き殺せば、どんな気持ちかな

“Roadkill, roadkill
Wrap you ‘round my spinning wheel
Roadkill, roadkill
Run you over, see how it feels”

引用元:Starcrawler(スタークローラー)「Roadkill」歌詞(Genius Lyrics)

君は手を繋いでくれるママが欲しいんでしょう?
手を握ってくれるママが欲しいんだよね?

“You want mommy to hold your hand?
You want mommy to hold your hand?”

引用元:Starcrawler(スタークローラー)「Roadkill」歌詞(Genius Lyrics)

ロードキル、ロードキル
回転する車輪で巻き込んでやる
ロードキル、ロードキル
君を轢き殺せば、どんな気持ちかな
ロードキル、ロードキル
回転する車輪で巻き込んでやる
ロードキル、ロードキル
轢き殺す

“You’ll be my roadkill, roadkill
Wrap you ‘round my spinning wheel
Roadkill, roadkill
Run you over, see how it feels
Roadkill, roadkill
Wrap you ‘round my spinning wheel
Roadkill, roadkill
Run you over”

引用元:Starcrawler(スタークローラー)「Roadkill」歌詞(Genius Lyrics)

Roadkill和訳まとめ

roadkill
クレジット:pexels
Starcrawler (スタークローラー)の新曲「Roadkill」は“行く手を阻む奴を打ち負かせ!”というメッセージを持っている。

ロックやパンクといった言葉はしばし“強い者への反抗”といった言葉で使われるが、そんな精神を直に表現しているのが「Roadkill」という曲だ。

アロウからのコメント

そして「Roadkill」を書いた背景について、ボーカルであるアロウは以下の通りコメントしている。

“「Roadkill」はあなたの行く手を阻もうとする誰かへ向けた曲であり、私たちは今まで彼らに打ちのめされてきたが、時には立ち向かって乗り越えなくてはいけない”

引用元:Listen to Starcrawler’s defiant new single ‘Roadkill’
(NME)

新曲「Roadkill」の作詞はボーカルのアロウに加えてメンバーのヘンリ、ティムの3人による共作である。

Starcrawlerを襲った事件

実際、Starcrawlerはバンドとして大きな事件に襲われた。

2019年のThe Growlersのツアーに同行中、アロウは男性ストリッパーから楽屋で性的暴行を受けた事をインスタグラムの投稿で明らかにした。

暴行が行われている間、Starcrawlerのメンバーは楽屋から締め出された一方で、The Growlersのメンバーは誰もその行為に直接参加していなかったものの、笑いながらその様子を撮影し、アロウは何度もその場を離れようとしたが押さえつけられたと語っている。

Starcrawlerのヘンリーは後に、アロウの主張は事実であり、バンドは事件が起こった部屋に入ろうとしたが、できなかったと声明を発表している。

事件を起こした張本人であるThe Growlersのリード・シンガー、ブルックス・ニールセンはインスタグラムで謝罪し、ギタリストのマット・テイラーが疑惑を否定しながらも一時的に休暇を取ったと述べている。

そのため上記のアロウが発したコメント内の“私たち”というのは具体的なStarcrawlerというバンドを指し、楽曲「Roadkill」は彼らの活動を邪魔しようとした誰かに宛てた強い意思表示に違いない。

Roadkill作品クレジット

Starcrawler(スタークローラー)「Roadkill」のクレジットは下記となっている。

プロデューサー:Tyler Bates
作詞・作曲・アレンジ:Tim Franco, Henri Cash & Arrow de Wilde
レーベル:Big Machine Records
リリース日:2022年5月9日

Starcrawlerリリース作品

シングル『Roadkill』

Roadkill
発売日: 2022年5月9日
フォーマット:Mp3
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2ndアルバム『Devour You』

Devour You
発売日: 2019年10月11日
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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1stアルバム『STARCRAWLER』

STARCRAWLER(Album)
発売日: 2018年1月19日
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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Starcrawlerバンドプロフィール

Starcrawler(スタークローラー)
撮影:Cameron McCool

“Starcrawlerは2015年にカリフォルニア州ロサンゼルスで結成され、RunawaysとBlack Sabbathの中間に位置するサウンドとスタイルを確立した。2018年のセルフタイトルのデビューアルバムで荒々しいロックサウンドのテンプレートを確立し、より攻撃的で、かつ艶っぽい音を誇る2019年の『Devour You』でレベルアップを果たした。

Starcrawlerはグランド・アーツ高校でアロー・デ・ワイルドがヘンリー・キャッシュと出会い、オースティン・スミスと始めた駆け出しの音楽プロジェクトに参加するよう誘われたときにバンドは始まった。アロー・デ・ワイルドはミュージシャンのアーロン・スパースク(Beachwood Sparks、Ariel Pink)と写真家のオータム・デ・ワイルドの娘であり、ティーン・ヴォーグのモデルとしての経験やレナ・ダナム監督によるBleachersのビデオにも出演していた。リードヴォーカルを担当した彼女は、ヘンリー(Gt.)、オースティン(Dr.)と共に、Starcrawlerのファーストシングル「Ants」をレコーディングした。その後まもなくベースにティム・フランコが加わり、このシングルはエルトン・ジョンの“Beats 1(ラジオ番組)”で取り上げられることになった。

アロウとヘンリーはバンドの主要なソングライターとなり、The Lemon Twigsと共にロサンゼルスで大規模なライブを行った。Starcrawlerは、その荒唐無稽で演劇的なパフォーマンスで急速に評判を高めていった。アロウは、彼女のヒーローであるオジー・オズボーンを意識してか、ステージ上でフェイクの血を多用し、しばしば病院のガウンや拘束衣を身に着けてショーに臨んでいた。アメーバ・ミュージックでのインストアセットの際、バンドはBeckの10歳の娘チューズデーに紹介され、彼女は後にStarcrawlerのデビュー盤のカバーアートに血まみれのドレスで登場することになる。彼らは2017年、サンバーナーディーノで行われたFoo Fighters主催のカルジャム、LAのエコーパーク・ライジング、ジョシュアツリー・ハプニング・デザートデイズに出演し、過密なツアーを繰り広げた。彼らのライブ・パフォーマンスはライアン・アダムスの目と耳を引き付け、彼はバンドのファーストアルバムを自身のPax-Am Studioでアナログ・テープに録音することになった。セルフタイトルのデビューアルバムは、2018年1月に名門インディーレーベルのRough Tradeからリリースされた。

北米、ヨーロッパ、イギリスでの長いツアーの後、Starcrawlerはセカンドアルバムをレコーディングするためにスタジオに戻った。ニック・ラウネイのプロデュースによる『Devour You』は2019年10月に発行され、彼らの楽曲の爆音にマッチした、より大きく強固なサウンドを特徴とした。2020年10月、StarcrawlerはナッシュヴィルのThird Man Recordsでライブ・テープ録音された限定シングル「Lizzy」、「Bet My Brains」をリリースし、同レーベルからリリースされた。同月、ドラマーのオースティン・スミスがグループを脱退。”

引用元:Starcrawler(スタークローラー)バンドプロフィール(AllMusic

Starcrawlerの評価

“記念すべきデビュー・シングル「Ants」が、ユニクロの海外TVCMに起用されCM賞を受賞し、エルトン・ジョン、マイ・ケミカル・ロマンスのジェラルド・ウェイ、音楽マニアとして知られるロード・オブ・ザ・リング主演俳優のイライジャ・ウッドなどが、早くから彼らのファンであることを公言するなど、たった一枚のシングル・リリースで凄まじい反響を呼んでいる彼ら。当初はザ・レモン・ツイッグスの前座としてのみパフォーマンスを披露してきたが、ファンがスマホで録画したライブ映像をYouTubeにアップしたことをきっかけに更に人気が爆発。叫ぶようなギターリフと雷鳴のようなビートからなる4人の演奏と、アロウ・デ・ワイルドの人 を引き寄せる浮き世離れした力を前面に出した煽動的なライブパフォーマンスが魅力だ。その後、ザ・ストロー クスのニック・ヴァレンシ率いる新バンド、CRXのサポートを務め、バルセロナの大型フェス 《Primavera Sound》、最近ではフー・ファイターズのデイヴ・グロールがキュレーターを務めた《Cal Jam》で、デイヴ・グロールが真っ先に出演依頼をするなど、アルバム・デビュー前にして、話題が話題を呼んでいた。ちなみにデイヴ・グロールは、フェス ティバル翌日にラジオ出演した際にも、スタークローラーを大絶賛している。

スタークローラーには度肝を抜かれた。70年代の芝居がかった感じと、ザ・ストゥージズの電流のようなエネルギーとの融合を見るのは非常に新鮮だ。
– ジェラルド・ウェイ(マイ・ケミカル・ロマンス)

スタークローラーはロックの未来さ。キッス、エックス、ソニック・ユース、ストゥージズのような存在になるだろう。紛れもなく、マジで本物だよ。
– ライアン・アダムス

オジー・オズボーンとパティ・スミスが1975年に一緒になって子供をもうけていたら、きっとアロウ・デ・ワイルドのようだったろう
– Classic Rock誌

魅惑的だ。ロサンゼルスの不良少年たちが、ロックンロールへの希望を見出している
– Mojo誌

しょげ返ったインディー・ロックのシンガーたちは、後ずさりするしかない。なぜなら、アロウ・デ・ワイルドという名の若く荒々しいボーカリストが、タスマニアデビルのような力強さで、ロックンロールの砂ぼこりを蹴り上げながら、街を駆け抜けているからだ
– Los Angeles Times紙

スタークローラーは、90年代の最も偶像的なバンドの数々と、最高のやり方で交信している
– Teen Vogue誌

もし君が、ロックンロールはもう死にかけで、本来の遊び心やパフォーマンスや原始的なエネルギーを失っていると思うのなら、それはまだスタークローラーに出会っていないということだ。
– ジェフ・トラヴィス(ラフ・トレード・レコーズ創設者)”

引用元:Starcrawler(スタークローラー)の評価(Beatink)

Starcrawler代表曲(Youtube)

  • Starcrawler(スタークローラー) – I Love LA
  • Starcrawler(スタークローラー) – Bet My Brains
  • Starcrawler(スタークローラー) – She Gets Around

Starcrawler関連記事

Starcrawler(スタークローラー)の関連記事について、BELONGではこれまでに1stアルバム『STARCRAWLER』、2ndアルバム『Devour You』のインタビュー、ガレージロック新世代バンドの記事で取り上げている。

  • 1stアルバム『STARCRAWLER』インタビュー
  • 2ndアルバム『Devour You』インタビュー
  • ガレージロックの新世代バンド
  • Seiya
    Seiya
    ジャンルは幅広く音楽について研究するのが好きです。

    楽器、レコード、ファッションも好きでその文脈からも音楽を楽しんでいきたいです。

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