最終更新: 2024年3月20日

DYGLのYosuke ShimonakaやSouth PenguinとコラボしているNTsKi(エヌ・ティー・エス・ケー・アイ)は、2017年にプロジェクトを始めてから、2020年代を切り開くニューアーティストに選出されたアーティストである。

彼女の音楽は、日本の音楽をサンプリングしたヴェイパーウェイヴや、海や水にまつわるモチーフを取り入れたシンセポップなど、多彩なジャンルに影響を受けている。

今回は、そんな彼女の新作アルバム『Calla』について、メールインタビューを行った。

写真と絵を組み合わせたアルバムカバーや母との思い出にまつわるアルバムタイトル『Calla』に込められた意味とは?

NTsKi インタビュー

NTsKi
アーティスト:NTsKi インタビュアー:yabori

音楽ルーツ

クレジット:© Kyoto by the sea
-学生時代は京丹後で過ごしたそうですね。京丹後ではまれに野生のイルカが目撃されているというエピソードから、“ALTERNATIVE KYOTO”というアートフェスティバルに参加された際、イルカについての展示をしたという話が興味深かったです。京都出身ということを知っていますが、生まれ育った街や今住んでいる街は、あなたの音楽スタイルや歌詞にどのような影響を与えていますか?
NTsKi:これまで作った曲では歌詞にもトラックにも、気づけば海や水にまつわるモチーフを使用していたくらい、海は身近なもので、京丹後市は海に面しているのですが、海が近くにあるという環境は自分に大きく影響があったように思います。海はいつもそこにあり、私を癒してくれます。どこに住み移ったとしても、その景色や体験は私の中に存在し続けると思います。

NTsKiというアーティスト名の由来

-“NTsKi”というアーティスト名で活動していますが、どうして“NTsKi”という名前で活動しているのでしょうか。また、あなたにとって“NTsKi”という名前にはどのような意味があるのでしょうか。
パリでたまたまYohji Yamamotoさんと出会った際にサインをいただいたのですが、頂いたサインを見てみると大文字と小文字が混ざった「NTsKi」と書かれていました。字の並びが格好良かったので、アーティスト活動をするときにそのまま使用することにしました。

アーティストになったきっかけ

-2017年にプロジェクトを始めて、2020年代を切り開くニューアーティストに選出されたそうですね。アーティストになることを決めた経緯やきっかけは何でしたか?
「アーティストになろう!」という決意を持って始めたわけではなく、子供の頃から音楽を聴くことも歌うことも好きで、その中で自分でも音楽を作るようになり、2016年くらいに音源を作り始めたときに、当時下北沢THREEのPAをしていた友人の村越翔太くんに「ライブしたら?」と言われ、ライブをすることになったのが、NTsKiとしての活動を始めたきっかけでした。

海外在住経験について

-イギリスのマンチェスターに住んでいたことがあったそうですね。あるインタビューでは、マンチェスターにいる友人が“ヴェイパーウェイヴってダサいよね”って言っていた話がとても印象的でした(笑)。“ヴェイパーウェイヴ”は日本の音楽をサンプリングしている作品もありますが、海外に住んで日本の音楽の捉え方について変化した部分はありますか?
私はアジア人なので普段聴いている日本の音楽を「アジアの音楽」と捉えて音楽を聴くことはありませんでした。例えばですが、イギリス人アーティストと楽曲制作をする中で、私がなんとなく曲に入れた旋律を聴いて、「アジアっぽい」と言われたことがありました。彼らと対話をしながら、西洋人が感じるオリエンタリズムを意識して客観的に「アジアの音楽」を聴く体験をしたのは、ある意味では捉え方が変化したと言ってもいいのかもしれません。

言語表現:日本語と英語の使い分け

-あなたの楽曲では日本語と英語の両方を使っていますね。言語を使い分けている理由があれば教えてください。
理由は特にありません。日本語で思い浮かんだ歌詞は日本語で歌い、英語で思い浮かんだ歌詞は英語で歌っています。

Calla

NTsKi『Calla』

環境に配慮したレコード

-ここからは新作アルバム『Calla』について伺います。まず、本作のレコードはCO2排出量ゼロ・100%循環リサイクルできる新素材〈BioVinyl™〉を使用した日本で最初のレコードとなるそうですね。どうしてこの形態でリリースしようと思ったのでしょうか。
今作をリリースするレーベル〈エム・レコード〉の江村さんからこのようなレコードがあると教えていただきました。新譜のレコードを開封したときに香る独特なビニールの匂いがあるのですが、〈BioVinyl™〉はどんな匂いがするんだろうと江村さんと話しています。

エフェクトや歌い方

-本作ではボーカルエフェクトを使用していたり、楽曲やコラボレーションするアーティストによってボーカルの表現方法を変えているのが面白いと思います。歌う際に工夫していることがあれば教えてください。
喉の調子が良くなかったときに田我流さんとのレコーディングの予定が入っていたのですが、それを田我流さんに伝えると「逆にハスキーな声になるかもよ?その状態も楽しんだら?」と言われたことがあります。気候や国によっても喉の状態は変わるし、声の響き方も、場所や録音する環境によって変わってきます。その瞬間瞬間に合った方法で録音を行い、そのときの自分の状態を受け入れて楽しんで歌うようにしています。

アーティストとのコラボ

-「Leila」のMVでは、Jinya Ichikawa (D.A.N.)、Kento Suzuki (never young beach)、Yosuke Shimonaka (DYGL)といった方々がバンドメンバーとして参加していましたね。どうして彼らに参加をお願いしたのでしょうか。
アルバム音源が仕上がり、これはバンドセットで演奏したいと思って、今回のサウンドに合っていて自分の信頼できる演奏をしてくれるプレイヤーに声をかけた結果このメンバーになりました。NTsKi初のフルバンド・セットでの『Calla』のリリース・パーティが1月23日(火)に東京・渋谷WWW、1月28日(日)に京都メトロにて開催されます。バンド・セットには、Jinya Ichikawa(D.A.N.)、Kento Suzuki(never young beach)、Lapistarに、Ryoken Miyazaki(the hatch)が加わったメンバーでのライブを行います。

Calla Lily

クレジット:Pexels
-「Calla Lily」について、調べてみるとオランダカイウという花の名前だそうですね。この花はあなたにとってどのような思い入れがありますか?
オランダカイウ属の花で、日本では「カラー」という名前で呼ばれています。カラーは母親の一番好きな花でした。カラーの季節になると必ず家にはカラーが飾られていました。彼女のウェディングから、お葬式まで、ずっとその花は彼女の側にありました。カラーは私にとって母親にアクセスできる大切な花です。

アルバムのアートワークについて

-アルバムのアートワークは、Shusaku Yoshikawaが撮影した写真を元に、Ellen Thomasが描いた絵が採用されているそうですね。どうして写真と絵を組み合わせようと思ったのでしょうか。
アルバムを作っているときに思い浮かんだ風景を再現したくて、絵をアートワークにしようと思ったのですが、そのイメージを100パーセントEllen伝えるのは難しいと思ったので、似た場所をShusaku Yoshikawaと一緒に探して写真を撮影した後、Ellenにその写真を渡して油絵でペインティングしていただきました。

アルバムタイトル『Calla』の意味

-それではアルバムタイトル『Calla』にはどういう意味があるのでしょうか。
アルバム収録曲「Calla Lily」は上で述べた通り、日本では「カラー」という名前で呼ばれていて、『Calla』も 『Calla Lily』も同じ意味になります。英語では「カーラ」と発音するので、英語読みの「カーラ」の方をアルバムタイトルに採用しました。

NTsKiの音楽のルーツ

-NTsKiの音楽に影響を与えたアルバム3枚について教えてください。また、1枚づつ、どのような部分に影響を受けたかについても教えてください。

Four Tet『Pause』

エレクトロニカ、テクノを聴くきっかけになった1枚です。このアルバムに出会う前はロック・ミュージックばかり聴いていたのですが、初めてこのアルバムを聴いて衝撃を受けて以来、エレクトロニカ、テクノを聴くようになりました。

細野晴臣『MERCURIC DANCE』

アンビエントを聴くきっかけになった1枚です。このアルバムに初めて出会ってから今に至るまで、何度も何度も繰り返し聴いている、私にとって日常に溶け込んでいるようなアルバムです。

Vashti Bunyan『Heartleap』

Vashti Bunyanの歌声はとても優しく、このアルバムを聴く度に私は「音楽」が大好きだと思わせてくれます。このアルバムも私の日常に寄り添ってくれる大切な1枚です。

NTsKiからのメッセージ

-『Calla』をどのような人に聴いて欲しいと思いますか?
どんな人でも。全員に聴いて欲しいです。

-私たちをはじめ、日本だけでなく海外にも『Calla』をリリースされることを楽しみにしているリスナーがいると思います。彼らにメッセージを頂けますでしょうか。
皆さまにとってこのアルバムが、日常に寄り添うような存在になると良いなと思っています。

NTsKiアルバムリリース

2ndアルバム『Calla』

NTsKi『Calla』
発売日: 2023年11月10日
収録曲:
1. Milk White Steed
2. If (Calla Version)
3. Message I
4. Michi
5. Hanauranai
6. Calla Lily
7. Field of Flowers
8. Atlantic Ocean
9. Message II
10. Aloha
11. 2023
12. Leila
13. Clover
14. Sayonar
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
Amazonで見る

NTsKiライブ情報

■東京公演
公演日:2024年1月23日(火)
会場名:SHIBUYA WWW
https://www-shibuya.jp/schedule/017219.php

■京都公演
公演日:2024年1月28日(日)
会場名:KYOTO METRO
https://www.metro.ne.jp/schedule/

AMINO ACID presents “Euphoria”


NTsKi主宰レーベル“AMINO ACID”が、アンビエント&ニューエイジパーティー「Euphoria」を11月27日にForestlimitで開催する。

NTsKiとJinya Ichikawaのコラボレーション・アンビエントセットや、LAの現代音楽家Ynes Monの初来日ニューエイジセットなど豪華出演者が集結。

フライヤーデザインは3DCG・グラフィックアーティストAsahiNaが担当している。

公演日:2023年11月27日(月)
開場/開演:19:00
会場名:FORESTLIMIT(東京都渋谷区幡ケ谷2丁目8−15)
チケット:ADV ¥2,800 / DOOR. ¥3,000 (+1D)

■LIVE
Ynes Mon (from LA)
NTsKi +Jinya Ichikawa (D.A.N.)
Ultrafog

■DJ
Taigen Kawabe (Bo Ningen)

■Flyer Design
AsahiNa

■Ticket
https://www.forestlimit.com/event-details/amino-acid-presents-euphoria

■Euphoriaプレイリスト
https://soundcloud.com/ami_no_acid/sets/euphoria-forestlimit

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NTsKiプロフィール

NTsKi

“NTsKi(エヌ・ティー・エス・ケー・アイ)は京都出身のアーティスト、ミュージシャン。優しくもどこか不気味さの漂うボーカルと多様な音楽性が混在するトラックを制作する。アートワークやMVにおけるスタイリング、ディレクション、編集までを自ら担当。2021年には〈美術手帖〉が選ぶ2020年代を切り開くニューカマー・アーティストに選出。国内外の著名アーティストからの注目度も高く、Giant Claw、食品まつり a.k.a foodman、田我流やKMなどの作品へも参加。その他に、〈Dirty Hit〉の新人シンガーWalliceへの作詞協力、落合陽一氏が統括ディレクターを務めSXSW2019に出展した経済産業省主催日本館や、ヴァーチャル・シンガーte’resa、ファッション・ブランドへの楽曲提供などがある。2021年8月6日、ファースト・アルバム『Orca』を米オハイオのレーベル〈Orange Milk〉/〈EM Records〉よりリリースし、BandcampのAlbum Of The Dayに選出されたほか、Apple Music Japanのエレクトロニック・アルバム・チャートにて3位を記録、Apple Vinegar Awardにて特別賞を受賞するなど好評を得ている。SXSW2023に出演し、開催地の米テキサスのほか、ニューヨークでも自身初のライヴを実施した。”

引用元:NTsKi(エヌ・ティー・エス・ケー・アイ)プロフィール(オフィシャルサイト)

ライター:yabori
yabori
BELONG Mediaの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・​後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻

これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。

過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。

それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行してきた。

現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。

今まで執筆した記事はこちら
Twitter:@boriboriyabori

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