最終更新: 2024年9月28日
ケイト・ボリンジャー(Kate Bollinger)は、夢のような歌声で注目を集める新進気鋭のアーティストである。
彼女の楽曲「Candy」が、カニエ・ウェストの2021年アルバム『Donda』でサンプリングされ、一躍脚光を浴びた。
アメリカ・バージニア出身のケイトは、セラピストの母から受け継いだ感性と映画製作の経験を融合させ、独自の音楽世界を築いている。
60年代の雰囲気を漂わせる楽曲とファッションセンスで人気を集め、デビューアルバム『Songs From A Thousand Frames Of Mind』で新たな挑戦に。
Ghostly Internationalからリリースされる本作で、彼女の音楽はどのような進化を遂げるのか?ケイト・ボリンジャーの魅力に迫る。
目次
ケイト・ボリンジャー インタビュー
アーティスト:ケイト・ボリンジャー インタビュアー:Tomohiro Yabe 翻訳:BELONG編集部
-Lazy Womenに掲載されたインタビューを読ませてもらいました。ケイトの母親は療法士で、夜驚症(※眠りについてからあまり時間が経たないうちに、極度の不安から目覚めてしまうこと)だったあなたに子守唄を歌ってくれたそうですね。こういった経験は、あなたの音楽にどのような影響を与えていますか?
ケイト・ボリンジャー:母は音楽への深い愛を与えてくれました。音楽はいつも私にとって心地よさと楽しさに結びついていて、幼い頃から曲作りを通じて自分の感情を処理することを学びました。
-”ソングライティングは夢を見るようなもの”というあなたの言葉が印象に残っています。私たちも音楽における”夢”や”無意識”に強い関心を持っています。このコメントについて詳しくお聞かせください。
はい。夢の中でより賢明になれるのと同じように、曲の中でもより賢明になれると感じます。曲を書こうと座ると、その瞬間まで自分が感じていたことに気づいていなかった感情を表現するフレーズが浮かんできます。夢と同じですね。
-ケイト・ボリンジャーは本名でしょうか。もしそうであれば、本名で音楽活動を行うことにした理由を教えてください。
ケイト・ボリンジャーは本名です。私は好きなものにもすぐに飽きてしまうので、バンド名もすぐに古く感じてしまうと分かっていました。19歳の時に自分の名前を決めなかったことに本当に安心しています。
-大学で映画製作を学ばれたそうですが、その経験は音楽制作にどのように活かされていますか?
映画を撮ったり、ミュージックビデオを作ったりすることができるようになりました。それが今の私の仕事の大きな部分を占めています。
-Jessica Prattの「World on a String」のミュージックビデオを監督されましたね。60年代を彷彿とさせるレトロな映像でした。このレトロ感は、映像だけでなく、ファッションやあなたの音楽からも強く感じられます。60年代風のレトロな要素に惹かれる理由を教えてください。
60年代の音楽とファッション、そして60年代にインスピレーションを受けた90年代の音楽にとてもに惹かれます。楽しくて漫画のようなファンタジーがあって、それが私を幸せにしてくれるんです。
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-ケイトの音楽的ルーツとなった3枚のアルバムについて教えてください。それぞれのアルバムからどのような影響を受けたのかも併せてお聞かせください。
of Montreal『Cherry Peel』
このアルバムが大好きで、とても楽しくてばかばかしくて、素晴らしいメロディがあります。聴くと最高の意味で10代に戻ったような気分になります。
Feist『Let it Die』
子供の頃からこのアルバムが大好きです。とてもダイナミックで、様々なジャンルと録音スタイルがあります。全ての曲が好きです。
Alex G『TRICK』
高校生の時、このアルバムに本当に刺激を受けました。短い曲が好きで、それぞれが日記のような感じがします。
-デビューアルバム『Songs From A Thousand Frames Of Mind』について伺います。本作は故郷のヴァージニアからロサンゼルスをはじめ、全米各地を移動しながら制作されたそうですね。ヴァージニアからロサンゼルスへの引っ越しは、あなたの音楽スタイルや創作プロセスにどのような変化をもたらしましたか?
引っ越しで制作プロセスが大きく変わったわけではありませんが、ここ2年で人として最も変化したと思います。それが確実に異なる種類の曲、異なるインスピレーションや興味につながっています。
-本作ではマシュー・E・ホワイト、Big Thief、Blonde Redheadなどを手掛けたサム・エビアンとコラボレーションされたそうですね。彼らの参加はアルバム制作にどのような影響を与えましたか?
友達と森の中で録音しているような感じでした。実際そうだったんですけどね。友人のJacobがドラムを叩き、友人のMatt(マシュー・E・ホワイト)が来て、彼と一緒に書いた曲のキーボードを弾きました。全てが自然な形で展開されました。
-本作はエレクトロニカ色の強いGhostly Internationalからリリースされますが、このレーベルを選んだ理由を教えてください。
彼らのスタイルと細部へのこだわりが気に入りました。また、彼らが転換点を迎え、新しいことに挑戦しようとしていたことも良かったところです。私もその時同じような状況だったので。彼らは私がスタイルを一つに固定することを決して期待しないだろうと感じました。そういった創造的な自由が、当時も今も私にとって最も重要なことです。
-先行曲「What’s This About (La La La)」のミュージックビデオをあなた自身が監督されています。自ら監督を務めようと思った理由を教えてください。
アイデアがあって、それを完全に表現したいと思ったんです。
-『Songs From A Thousand Frames Of Mind』のアルバムカバーに描かれた大きな金魚が印象的です。このカバーアートにはどのような意図が込められているのでしょうか。
私の多くのアートや音楽と同じように、自分が住みたいと思う世界を作ろうとしています。カバーアートでもそれをしたかったんです。
-『Songs From A Thousand Frames Of Mind』というタイトルは直訳すると”1000の心のフレームからの歌”という意味になります。言葉では捉えきれない複雑な心情を音楽で表現しようとする意図があると解釈しましたが、このタイトルに込めた意味について教えてください。
はい。人生の浮き沈み、20代の極端さ、ある日は全てが分かったように感じ、次の日には何も分からなくなるという極端さを表現しています。
-私たちが全てのアーティストに尋ねている質問があります。デビューアルバム『Songs From A Thousand Frames Of Mind』をどのような人に聴いてほしいと思いますか?
音楽に夢中な人々、何かを意味するものになる人々です。でも本当は、誰が聴いてくれても嬉しいです。
-最後に、私たちをはじめ、ケイトの来日を楽しみにし、今この瞬間にもあなたの音楽を聴いている日本のファンがたくさんいます。彼らへのメッセージをお願いできますか?
日本に行きたいです!近いうちに訪れて演奏できることを願っています。子供の頃から日本に興味がありました。実は10歳の時に日本のペンパルがいました。しばらく手紙をやり取りしていましたが、最終的に彼女から返事が来なくなり、ずっと彼女のことが気になっています。
Kate Bollingerアルバムリリース
1stアルバム『Songs From A Thousand Frames Of Mind』
発売日: 2024年9月27日
収録曲:
01. What’s This About (La La La La)
02. To Your Own Devices
03. Any Day Now
04. God Interlude
05. Lonely
06. Running
07. In A Smile
08. Postcard From A Cloud 09 . I See It Now
10. Sweet Devil
11. All This Time
12. You At Home (Bonus Track)
13. J’aime Les Filles (Bonus Track)
フォーマット:Mp3、CD、アナログ
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Kate Bollingerプロフィール
“ケイト・ボリンジャーは、ヴァージニア州出身のインディーシンガーソングライターで、インディー・ポップやジャズの影響を受けた内省的な楽曲を特徴としています。彼女の音楽は、複雑な拡張コードで構築された穏やかな雰囲気と、明るく温かい歌声が融合しています。
初期の作品ではフォーク、インディーロック、R&Bの要素を取り入れていましたが、2019年の2ndEP「I Don’t Wanna Lose」でメロウなインディーポップスタイルを確立しました。同EPに収録された「Candy」は、カニエ・ウェストの2021年の楽曲「Donda」でサンプリングされました。
2022年には、4thEP「Look at It in the Light」でGhostly Internationalからデビューを果たしました。音楽療法士の母親と歌うことが多かった幼少期を経て、2013年から自作の楽曲をオンラインで公開し始めました。その後、地元でライブ活動を開始し、2017年に初のオフィシャルEP「Key West」をリリースしました。
ボリンジャーは、サッカー・マミーのオープニングアクトを務めたり、ワイルド・ナッシングとツアーを行うなど、活動の幅を広げています。2021年には、カニエ・ウェストの楽曲でサンプリングされたことで注目を集め、ジェフ・トゥイーディやリアル・エステートなどの前座を務めました。最新作の「Look at It in the Light」では、60年代と70年代の録音、特にビートルズのデモからインスピレーションを得て制作されています。”
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ライター:Tomohiro Yabe(yabori)
BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース”を執筆。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・後藤正文が主催する“only in dreams”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻
これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。
過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。
それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine”を26冊発行。
現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。
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Twitter:@boriboriyabori