最終更新: 2025年2月18日
エレクトロニック・ミュージックの巨匠マーク・プリチャードと、Radioheadのフロントマン、トム・ヨークによる待望の新曲「Back in the Game」。
この記事では、アメリカのホームコメディーから飛び出してきたようなキャラクター、アリアとプニポンの掛け合いを通じて、彼らの音楽の魅力に迫る。
音楽の専門知識を持つアリア博士と、独特な発想で物事を理解しようとする、音楽知識ゼロのスライムことプニポンの会話を通じて、
時に難解に感じられる現代音楽の世界を、楽しく分かりやすく解説していくことが目的だ。
彼らの掛け合いを通じて、エレクトロニカとオルタナティブロックという異なるジャンルが融合した「Back in the Game」の革新性と魅力について、
音楽ファンはもちろん、音楽に詳しくない方々にも分かりやすくお届けしたい。
また、これはキャラクターによるコラムで、どこまで音楽の魅力を伝えられるかということの実験であり、BELONGとしての新たな挑戦である。
テキスト:アリア・ソムナンブラ、プニポン 使用ツール:Claude 編集・校正:Tomohiro Yabe(編集長)
導入:アリアとプニポンの研究室での会話
プニポン、マーク・プリチャードとトム・ヨークの新曲「Back in the Game」ってもう聴いた?
え?何、それ?ミーは最近、M.C.ハマーの“ペンタックス!”って言ってる曲を聴いてるよ!
もう、プニポン!それは『U Can’t Touch This』でしょう。それに“ペンタックス”じゃなくて、“You can’t touch this”よ!
え、違うの?!じゃあ、カメラのCMソングじゃなかったのか…!
M.C. Hammer – U Can’t Touch This
VIDEO
違うわよ…。まあ、それは置いといて、「Back in the Game」は、電子音楽界ではすごいコラボ曲なの! ほら、Radioheadって聞いたことあるでしょ?
あ!この前、出てくれたThe Faxが影響を受けたって言ってたバンドだ!
そうそう!トム・ヨークはRadioheadのボーカルで、マーク・プリチャードはエレクトロニカの巨匠。この二人が再びコラボしたのが「Back in the Game」なのよ!
マーク・プリチャードとは?
マーク・プリチャードはイギリスのエレクトロニック・ミュージシャンで、90年代から活躍してるの。テクノ、アンビエント、IDM、ジャングルなど、幅広いジャンルを手がけているのよ。
へぇ~!ジャングルって、もしかしてターザンみたいに“ああああ~!”って叫ぶ音楽?!
違うわよ!ジャングルは高速なブレイクビーツを使った電子音楽のジャンルよ。それに彼は“グローバル・コミュニケーション”や“ジェダイ・ナイツ”なんかの名義でも活動してるよ。
ジェダイ?!もしかしてスター・ウォーズのフォースを感じる音楽なの?!
…まあ、ある意味フォース的な影響力はあるかもね(笑)。彼は2016年に『Under the Sun』っていうアルバムを出していて、その中にトム・ヨークとコラボした「Beautiful People」があるのよ。
VIDEO
どうして、この二人は一緒に音楽を作ることになったの?
マークは昔からトム・ヨークやRadioheadのリミックスを手がけていて、2011年には彼らの曲「Bloom」のリミックスも発表しているの。それで自然にコラボする流れになったのよ。
VIDEO
トム・ヨークとは?
撮影:Alex Lake
さっきも紹介したけど、トム・ヨークは、言わずと知れたRadioheadのフロントマンね。彼らは90年代から活躍しているオルタナティブロックのバンドで、『OK Computer』や『Kid A』とか、音楽史に残る名作を生み出しているわ。
トム・ヨークはソロでもエレクトロニカや実験音楽に挑戦しているの。1998年には、UNKLEとコラボした「Rabbit In Your Headlights」が印象的ね。最近だと、2018年に『サスペリア』っていう映画のサウンドトラックを手掛けていたわ。
VIDEO
「Back in the Game」とは?
さて、本題の「Back in the Game」よ!この曲はトム・ヨークのソロツアー“Everything”の初日、ニュージーランドで初披露されたの。その後、日本やオーストラリアでも演奏されて話題になったのよ。
「Back in the Game」ってどんな曲なの?
目の前に迫ってくるように感じる立体感のサウンドがとても刺激的な曲よ。電子楽器みたいに加工されたトム・ヨークの歌声が印象的ね。
マークはH910ハーモナイザーっていうエフェクターを使って、トム・ヨークのボーカルを変幻自在に操っているの。
よくぞ聞いてくれました(鼻息荒く)!H910ハーモナイザーはね、Eventideっていう会社が1976年に作った、世界で初めてのデジタル・エフェクターなのよ!
世界初!?なんだかすごい響きだね!でも、アリアの鼻息がすごくて机の上の資料が…
あら、失礼!当時としてはまさに革命的な機材だったの。 これが登場するまで、音のピッチ(音程)を変えるには、テープの回転速度を変えるしかなかったんだけど、それだと音の長さも変わっちゃうでしょ?でもH910は、音の長さはそのままで、ピッチだけを自由に変えることを可能にしたの。
もちろん!H910は、発表されて数年で世界中に広まったのよ。 例えば、パティ・スミスとブルース・スプリングスティーンが共作した「Because the Night」や、デヴィッド・ボウイの「Breaking Glass」って曲は、イントロのスネアの音も、H910で作られたものなのよ!
VIDEO
VIDEO
“実験的な音作りをずっと繰り返してきたデヴィッド・ボウイですが、この曲で非常に特徴的なサウンドがイントロ部からインパクトを持って鳴り響くスネア。これは生のスネアをマイクで取り込んだ音に対してH910をかけて作りこんだサウンド。” 引用元:John Lennon、U2、Van Halen、Ozzy Osbourneなどが愛用した音作りの要、H910のプラグイン、H910 Harmonizer
ええ!ミーでも知ってるようなすごい人たちばっかり!まるで伝説の武器みたいじゃない!音楽界のライトセイバーだね!
まぁ、そんなところかな😅H910はピッチシフター、モジュレーション、ディレイっていう、色々なエフェクトを複雑に組み合わせて、独特なサウンドを作り出すことができるの。トム・ヨークの「Back in the Game」では、マーク・プリチャードはこのH910を使って、トムの声にハーモニーを加えたり、機械的なエフェクトをかけたり、まるで声そのものを楽器のように操っているのよ。
この機材がトムのボーカルの可能性をさらに引き出して、この曲を特別なものにしているんだね。
VIDEO
読者参加:リスナーの皆さんと一緒に探る音楽の世界
さて、ここからは皆さんが主役です!音楽は一人一人で感じ方が違うものですよね。だからこそ、皆さんの意見を聞くのがとても楽しみなんです。是非、今回のコラムの感想や次回取り上げて欲しいアーティストについて教えてください。
1. コラムの感想を教えてください♪: 今回のコラムを読んで、どう思いましたか?SNSやこの記事のコメント欄で教えてください!
2. 次回のリクエスト: 次はどんなアーティストについて知りたいですか?皆さんのリクエストをお待ちしています。
参加方法
次回のリクエストについて
このコラムで取り上げて欲しいアーティストについては、自薦・他薦を問わずに受け付けています!下記のURLから“アーティスト応募フォーム(Googleフォーム)”にて受け付けていますので、是非ご応募ください。応募は匿名でもできますので、自分が作った楽曲でも構いませんので、是非ご参加くださいね♪
アーティスト応募フォームはこちら
コラムの感想募集について
SNSやこの記事のコメント欄でコラムの感想についても募集しています。共有する際は、X(旧Twitter)のハッシュタグ #レンジタウン で参加してくださいね!また、応募いただいたものはSNSもしくは、このコラムのいずれかで取り上げさせてもらいますので、是非参加してください♪
#レンジタウンで感想をツイート
まとめ:コラボのすごさとは?
このコラボが特別な理由は、トムはRadioheadでロックという音楽を電子音楽の手法でとことん解体して、再構築した音楽を作っていたの。一方で、マークは、電子音楽家としてRadioheadの音楽を尊敬していて、彼のボーカルを自身の音楽に組み込んで新しい音楽を作ってみたかったんじゃないかと思うの。
そうなんだ。二人とも音楽の作り方は違うけど、電子音楽で新しい音楽を作りたいって気持ちは一緒ってことなんだね。
そういうこと!トムとしても、自分のボーカルを楽器として扱ってもらえるという体験も新鮮だったんじゃないかな。マークの緻密なサウンドデザインが合わさることで、唯一無二の音楽が生まれたのよ。
それって、カレーにチョコを入れるみたいな予想外の組み合わせが大成功したってこと?
……まぁ、そういう例えもアリかもしれないわね(笑)。それに、彼らのコラボは新しいリスナー層を広げる効果もあるの。
なるほど!じゃあ、エレクトロニカ好きもロック好きも一緒に楽しめるってことだね!じゃあ、ミーも聴いてみるよ!
OK!…でもその前に電子レンジの中にマイクをセットして…
Back in the Game
リリース:2025年2月13日
フォーマット:デジタル
レーベル:Warp Records
配信リンク:Amazon
これまでのレンジタウン・ノート
【New songs playlist | 新曲プレイリスト】
We update our playlist with new songs every week.
We are always happy to accept songs that you would like to add to the playlist, so please send us your information using the contact form : ✉️
BELONGでは毎週新曲プレイリストと更新しています。
プレイリストに追加希望の曲も随時受付ですので、問い合わせフォーム から情報をお送りください✉️
ライター:Tomohiro Yabe(yabori)
BELONG Media/A-indieの編集長。2010年からBELONGの前身となった音楽ブログ、“時代を超えたマスターピース ”を執筆。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル・後藤正文が主催する“only in dreams ”で執筆後、音楽の専門学校でミュージックビジネスを専攻
これまでに10年以上、日本・海外の音楽の記事を執筆してきた。
過去にはアルバム10万タイトル以上を有する音楽CDレンタルショップでガレージロックやサイケデリックロック、日本のインディーロックを担当したことも。
それらの経験を活かし、“ルーツロック”をテーマとした音楽雑誌“BELONG Magazine ”を26冊発行。
現在はWeb制作会社で学んだSEO対策を元に記事を執筆している。趣味は“開運!なんでも鑑定団”を鑑賞すること。
今まで執筆した記事はこちら
Twitter:@boriboriyabori