最終更新: 2025年3月30日
インドと日本にルーツを持ち、ロサンゼルスを拠点とするアーティスト、Sahara Grim(サハラ・グリム)。そんな彼女が先日アルバム『Fable』をリリースした。
今作はHere We Go Magicのフロントマンだったルーク・テンプル(Luke Temple)をプロデューサーに迎え、R&Bとソウルミュージックを基盤にインディーポップから、
アンビエントミュージック、サーフロック、ブラジリアンジャズ、そしてインドの古典音楽などの多様な音楽をブレンド。
自身の内なるルーツミュージックの素晴らしさをレコメンドした内容となっている。
それゆえ、今回は多岐にわたる音楽的な教養と勤勉さを掘り下げるべくインタビューを敢行。
アルバム『Fable』についてはもちろん。芸術学校で触れた、視覚芸術やダンス、演劇などについて、The Maríasやジャーロック・デイ・ウィルソンといったアーティストたちのオープニングアクト経験、
そして日本での滞在時のエピソードと日本の音楽との関係など、気になる話題は尽きない。
ここまで自身のルーツや経験が作品に反映されたアルバムは珍しい。
敢えて断言しよう。今作と今回のインタビューはセットで楽しむべきだ。どちらが先でもかまわない。
『Fable』を聴いて、インタビューも読んでみてほしい。きっと新しい音楽体験が待っている。(滝田優樹)
アーティスト:サハラ・グリム インタビュアー:滝田優樹 翻訳・編集・校正:Tomohiro Yabe
目次
サハラ・グリム インタビュー
-滝田優樹:私たちはアーティストのルーツや音楽がうまれた背景、そして影響を受けた音楽・文化・芸術を大切にしているメディアです。今回私たちとははじめてのインタビューなのでまずはあなた自身のことからお聞きすることで読者にもあなたの魅力を知ってもらいたいです。あなたはサンディエゴで育ち、現在はロサンゼルスを拠点に活動されていますね。8歳の時にギターを習い始めたそうですが、ギターを習い始めたきっかけから教えてください。またその時にはどのような音楽を演奏していたのでしょうか。
サハラ・グリム: とても幼かったので、ギターを学び始めた時のことは思い出せません。子供の頃から音楽、演劇、絵画、物語や劇の創作、友達と仮装して踊ることなど、芸術やパフォーマンスに自然と惹かれていました。すべての子どもは何らかの形で遊ぶことを好みますが、私の魂がなぜ音楽家になることに惹かれ、それがどのように人生の道筋を形作ったのかを振り返ることに興味があります。
芸術学校での経験とジャズコミュニティについて
-滝田優樹:その後、中学校から高校卒業まで舞台芸術学校に通い、視覚芸術、ダンス、演劇にも一貫して携わっていました。学校以外では、地元のジャズコミュニティで積極的に活動し、自分の曲をたくさん書いて、自分のバンドで演奏していたのですよね?これらの経験についても詳しく知りたく、舞台芸術学校で学んだことやジャズコミュニティなどで今のあなたの音楽に影響を与えたことがあれば教えてください。
サハラ・グリム: はい!私はこれまでの道のりのあらゆる段階で芸術に触れることができて、とても幸運でした。アートスクールでは、様々な形式のダンス(バレエ、モダン、ジャズ、タップ)、演技、ミュージカル、合唱、さらには写真など、多くの異なる媒体について学びました。私は主にミュージカル演者ではありませんでしたが、パフォーマンスの理解と確かな基礎を与えてくれたことに感謝しています。また毎日クラシックオペラを合唱で歌っていたことも、音楽性と耳を鍛えるのに本当に役立ちました。
地元のジャズコミュニティは、学校で提供されていた専攻のどれにも合わなかった私が、学校外で音楽アーティストとして成長する機会を与えてくれました。私の真の情熱は常に自分自身の音楽を書くことにあり、ジャズシーンは私自身のサウンドを発見する上で大きな役割を果たしました。この時期、エスペランサ・スポルディングやHiatus Kaiyoteのようなジャンルの枠を超えるアーティストに強く影響を受けたことも覚えています。地元のジャズコミュニティで活動していたことが、大学でジャズを学ぶきっかけにもなりました。
大学時代とシタールについて

サハラ・グリム: 私の音楽がさまざまなサウンドの融合であるにもかかわらず、インドの影響を聴き取っていただけて嬉しいです!シタールを学び始めた理由は、私が4分の1インド人であり、文化的には日系アメリカ人の家庭で育ったため、自分のルーツともっと繋がりたいと思ったからです。また、シタールの音色も大好きで、催眠的であり、瞑想的、ドローンのような音色でもあります。そして弦楽器であることから、ギターを弾く私にとって取り組みやすく感じました。
また、ジャズとインド古典音楽の共通点もとても魅力的でした。即興の精神、一般的でない拍子、興味深い旋法構造など共通する要素があります。そして、とても美しい楽器でもあります!シタールはすべて素晴らしい芸術作品で、ひょうたんから作られ、長い木製の首と金属弦を持っています。最大で21本の弦がありますが、実際に演奏するのは最大で7本だけで、残りの弦の目的はそれらのメイン弦と共鳴してドローン音を作り出すことです。
The Maríasやシャーロット・デイ・ウィルソンとの共演
-滝田優樹:ここまであなたの経歴について教えてもらいましたが、非常に幅広い音楽に触れて意欲的に勉強をしてきていますよね。Sahara Grimとしてアーティスト活動をするきっかけは何だったのでしょうか。インディーロックバンドのThe Maríasやシャーロット・デイ・ウィルソンの前座を務めたことであなたの知名度が上がったと思うのですが、その時の感想も知りたいです。
サハラ・グリム: はい、私は一生学び続けるでしょう!学べば学ぶほど、音楽がいかに奥が深いかを実感します。私は常に音楽に対して目的意識と直感を大事にして、繋がってきました。今考えてみると、これが私が追求したいと思った唯一のことでした。音楽は癒し、言葉では表現できないものを表現し、時に醜い世界に美しいものを与えてくれるものであり、それが私ができることなのだと思います。
最初は自分自身の経験や考えを反映するために曲を書きましたが、他の人たちとの共通点を見つけ出し、それらを解放することが大事だと思うようになりました。The Mariasやシャーロット・デイ・ウィルソンと共演できたことはとても楽しく、幸運だと感じています!それはワクワクする瞬間でしたし、私が正しい道を歩んでいることを確信させてくれました。たくさんの観客の前でパフォーマンスする経験を得られたことにも感謝しています。
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