最終更新: 2025年4月22日

Spotifyで7000万回再生された「summertime」で知られる、日本のポストJポップバンド、cinnamons(シナモンズ)。

ボーカルの鈴木まりこは3児の母、ギタリストの青山慎司は実家の名古屋から東京に戻り、改めて音楽に専念することになった彼らが、苦悩と成長を経て見つけた新たな音楽の形。

カラオケでのバンド名誕生秘話から最新曲「タイムカプセル」に込められた親子の絆まで、“恋したくなるバンド”と称される彼らの素顔に迫るインタビュー。

そして全世界でバズった「summertime」のその後とは?

今回は、cinnamonsの青山慎司と親交があり、メジャーレーベルを経験し、再びBELONGに戻ってきたまりりんが話を聞いた。

また、TikTokで「summertime」が世界的にバズった背景については、後日まりりんと共に更新している“プロインディー”を目指すバンドに向けた、一部有料のコラムで紹介するので、こちらもお楽しみに!

バンド名の意外な由来

cinnamons

アーティスト:cinnamons(青山慎司) インタビュアー:まりりん 編集:Tomohiro Yabe

まりりん:まずはcinnamonsというバンド名の由来から教えていただけますか?
青山慎司:バンド名の由来は、ボーカルの鈴木まりこがカラオケに行った時に、YUIさんの楽曲リストを見て「Cinnamon」という曲名を見つけたのがきっかけなんです。“シナモンって可愛いじゃん!”って。当時、バンド名をなかなか決められずにいた僕らに、彼女が提案してくれたんです。

まりりん:へー!
青山:実はcinnamonsとして活動する前に、バンド名を決められないまま2回ライブに出演したことがあって。初回は考えに考えあぐねた結果、“あぐねる”という名前で出ました(笑)。2回目はさすがにまずいと、それでも決まらずにその場しのぎで会場スタッフが考えてくれた“murphy”みたいな名前で出ました。その時に対バンしたヒゲダン(Official髭男dism)のベースの誠(楢﨑誠)くんから後日談で“あの時、バンド名無かったんですよね?”って言われたり(笑)。

まりりん:バンド名がライブごとに違うなんて、それはそれで面白いですね!
青山:ほんとそうなんです。“cinnamons”というバンド名は、ボーカルのプライベートなカラオケでの発見から生まれた、ある意味ノリで決まった名前なんです。

まりりん:カラオケでバンド名を決めようとしていたわけではなかったんですね。ちなみに、YUIさんの音楽性はcinnamonsの音楽性に影響を与えているんでしょうか?
青山:まりこ自身はボーカリストとしてYUIさんから大きく影響を受けていますね。ただ、半ばノリで決まったバンド名なのでこの話をする度にいつも“かっこつかないんだよな”って思ってるんですけどね(笑)。

バンドのルーツとメンバー集め


まりりん:いえいえ、面白いエピソードですよ!では、ボーカルのまりこさんがYUIさんに影響を受けているとのことですが、バンドとしてのルーツはどこにあるんでしょうか?
青山:cinnamonsを始めた頃に影響を受けたのは、ふくろうずときのこ帝国の2組ですね。ちょうど僕らが学生時代に人気がどんどん出てきたバンドで、“あんな風になりたいな”と思っていました。

まりりん:メンバーが集まって、ふくろうずやきのこ帝国みたいな音楽性を目指そう、となったんでしょうか?
青山:ボーカルが僕を誘ってくれたのが最初で、その時はまだ音楽性は決まっていなかったんです。そこから、僕らが好きなふくろうずときのこ帝国のような方向性で、となり、その音楽に合いそうなメンバーを探した、という流れです。

きのこ帝国
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メンバーの出会いと音楽的背景


まりりん:青山さんとまりこさんが出会ったきっかけは何だったんですか?
青山:大学のフォークソングクラブ、いわゆる軽音部で同期でした。僕が部長で、まりこは一部員だったんですけど。後から聞いたら、部長をやっていた僕なら何でもやってくれると思ったから誘ったらしいです(笑)。

まりりん:それは後から知ったんですね(笑)。青山さんは誘われた時、すぐにOKしたんですか?
青山:即答しました。その直前に、男だけで組んでいたガレージロックバンドが解散したばかりで、ポップスとかJ-ROCKの方向性をやりたいと思っていたところだったんです。

まりりん:ちょうど良かったんですね!
青山:そうなんです。そこに誘ってくれたので、嬉しくてすぐに“やろう”って話になりました。

まりりん:先ほどバンドとしてのルーツをお伺いしましたが、お二人はそれぞれどんな音楽に影響を受けてきたんでしょうか?
青山:共通しているのはふくろうずとYUKIさんですね。まりこは特に邦楽、歌モノが好きなのですが、僕は洋楽も好きでQueenなどからインディーロック、ローファイまでと雑食です。

まりりん:青山さんが以前やっていたガレージロックは、具体的にどんな感じだったんですか?
青山:THEE MICHELLE GUN ELEPHANTにめちゃくちゃ影響を受けていました。BLANKEY JET CITYとか、そういう音楽に影響を受けたバンドをやっていました。

まりりん:その頃から青山さんは曲を作っていたんですか?
青山:その時には曲は作っていなくて、アレンジを一緒にやっていたくらいです。

まりりん:そこからcinnamonsになるって、すごい方向転換ですよね!
青山:そうなんです。めちゃめちゃ違いますよね(笑)。

まりりん:そういうギャップを感じることはありますか?
青山:めちゃくちゃ感じます。cinnamonsを始めた頃は、もっと自分が前に出ていくようなスタイルでギターを弾いていましたし、MCもたくさん喋っていました。でもある時、お世話になっていた人から“青山くんは背も高いし目立つから、もっとボーカルを立てた方がいいよ”って言われて。結構傷ついたんですけど(笑)。

まりりん:(笑)。
青山:でも確かにそうだな、とも思ったし、ボーカルが引っ張っていくべきだとも思ったので、そこから一気におとなしく引くようになりました。そこで“俺、もともとゴリゴリのロックやってたんだけどな”ってギャップを感じたりもしましたね。まあ、今は今だし、cinnamonsの青山慎司としてやるかって。僕も少し大人になったかな。

まりりん:なるほど。
青山:でも最近は、またロックをやりたい気持ちも出てきていて。今後の音源にも影響が出てくるかもしれません。

まりりん:楽しみです!音楽性がパフォーマンスにも影響してくる、と。
青山:そうですね。多くのバンドマンが、バンドのカラーにハマっていくところはあると思うんですが。

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